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GemMed塾 看護モニタリング

見守り機器導入する老健施設等でも夜間人員基準緩和、介護施設等で「生産性向上」委員会設置を義務化へ—社保審・介護給付費分科会(2)

2023.12.4.(月)

見守り機器を導入する老健や特定施設、グループホームなどで人員配置の緩和を進めてはどうか—。

また入所・泊り・居住系サービスでは「生産性向上」委員会の設置を3年間の猶予措置を設けたうえで「義務」付けるとともに、より進んだ取り組みを行う場合には加算等で評価してはどうか—。

人員配置基準に関するローカルルールについては「厚労省の規定の範囲内とする」「一律対応は好ましくない」「説明を必要とする」点を明確化したうえで、個別ルールの対応を検討していくこととしてはどうか—。

11月30日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会で、こういった議論も行われました(関連の第1ラウンド論議の記事はこちら)(同日の介護職員等処遇改善加算に関する記事はこちら)。

見守り機器を導入する老健や特定施設、グループホームで人員配置の緩和を進める

介護人材不足が深刻化する中では「介護報酬における事業所・施設の人員配置基準柔軟化」や「ロボット、ICT技術を活用した生産性の向上」がどうしても必要となります。一方、これらの取り組みには「介護従事者の負担が増さないか」「サービスの質が低下しないか」「利用者・入所者の安全・安心が阻害されないか」という不安も付きまといます。

厚生労働省は、こうした点を総合的に勘案し、実証事業結果も踏まえながら「サービスの質を確保し、介護従事者の負担が増さない」ように配慮しながら、「人員配置基準の柔軟化」などを進めていく考えを示しています。

まず「ロボット、ICT技術を活用した生産性の向上」については、2024年度に次のような対応を行ってはどうかと厚労省老健局高齢者支援課の峰村浩司課長から提案がなされました。

(1)3年間の経過措置を置いたうえで、入所・泊まり・居住系サービス(介護予防を含めた短期入所生活介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、看護小規模多機能型居宅介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、以下同)において「利用者の安全・ケアの質の確保、職員の負担軽減対策を検討する委員会」の設置・定期開催を義務づける

(2)入所・泊まり・居住系サービスにおいて、次のような取り組みを行うことを評価する((b)加算>(a)加算)
(a)「利用者の安全・ケアの質の確保、職員の負担軽減対策を検討する委員会」の設置・定期開催▼必要な安全対策を講じた上で「業務の効率化、質の向上、職員負担軽減に資する機器」(見守り機器、インカム等の職員間の連絡調整迅速化に資するICT機器、介護記録ソフトウェアやスマートフォン等の介護記録の作成効率化に資するICT機器、以下同)のいずれか1つ以上を導入(希望する利用者・入所者へ100%導入)し、生産性向上ガイドラインに基づいた業務改善を継続的に行う▼業務改善やケアの質向上等に関する効果のデータを提供する—

(b)(a)に加え、▼「業務の効率化、質の向上、職員負担軽減に資する機器」をすべて導入(希望する利用者・入所者へ100%導入)する▼業務の明確化や見直し、役割分担(介護助手活用など)を行うなど「生産性向上の取り組み」をパッケージで行う—

(3)特定施設において、▼上記(2)の(b)の「生産性向上の取り組み」パッケージすべてを一定期間(数か月程度)の「試行」を実施▼その結果、「ケアの質の確保」「職員の負担軽減」などをデータ等で確認—できた場合には、人員配置基準の柔軟化(基準上は利用者3名に対し看護・介護配置1名のところ『常勤換算0.9名以上』に緩和)を行う

(4)老人保健施設、短期入所療養介護において、「見守り機器を全床に導入する」場合には夜間における人員配置基準を緩和する(2018・2021年度改定で特別養護老人ホームでの緩和を実施しており、同様の緩和を行う、関連記事はこちら

老健施設における見守り機器を導入した場合の効果実証結果(社保審・介護給付費分科会(2)1 231130)

2021年度改定における特別養護老人ホームの見守り機器導入による人員配置基準緩和1(社保審・介護給付費分科会(2)2 231130)

2021年度改定における特別養護老人ホームの見守り機器導入による人員配置基準緩和2(社保審・介護給付費分科会(2)3 231130)

2021年度改定における特別養護老人ホームの見守り機器導入による人員配置基準緩和の効果例(社保審・介護給付費分科会(2)4 231130)



(5)認知症対応型共同生活介護(グループホーム)において、▼利用者の動向を検知できる見守り機器を利用者の10%以上に設置する▼ 施設内に「見守り機器を安全・有効に活用するための委員会」を設置し、必要な検討等を行う—に場合には、【夜間支援体制加算】(夜勤の介護従業者・宿直勤務者の加配を評価する)の「加配する介護職員数の最低基準」を0.9人に緩和する

グループホームにおける見守り機器を導入した場合の効果実証結果(社保審・介護給付費分科会(2)5 231130)

2021年度改定における見守り機器導入による人員配置基準緩和(社保審・介護給付費分科会(2)6 231130)



こうした提案内容に対し、「人員配置基準の柔軟化はありがたいが、それに伴って報酬が引き下げられてはモチベーションが下がってしまうので、十分に配慮してほしい。また見守り機器導入を嫌がる利用者・入所者もおられ、こうした方は計算対象から除外することを認めてほしい」(稲葉雅之委員:民間介護事業推進委員会代表委員)、「機器導入支援もセットで行うべき」(小林司委員:日本労働組合総連合会総合政策推進局生活福祉局長)、「(3)の特定施設の試行データに基づく人員配置柔軟化に当たり、ケアの質等の効果測定では十分な工夫が必要である」(古谷忠之委員:全国老人福祉施設協議会参与)、「生産性向上は『人員基準の緩和』目的でなく、『介護の質向上』を目指すものであることを再確認すべき」(正立斉委員:全国老人クラブ連合会理事・事務局長)、「人員配置基準の柔軟化は、事後の検証も非常に重要である。効果が確認された場合には他サービスにも積極的に拡大していくべき」(伊藤悦郎委員:健康保険組合連合会常務理事、酒向里枝委員:日本経済団体連合会経済政策本部長)、「人員配置は介護サービスの根幹であり、基準緩和は実証結果を踏まえて慎重に検討していくべき」(田母神裕美委員:日本看護協会常任理事)、「AIを活用した見守り機器は、入所者の睡眠を妨げずに状況を確認できるなど非常に大きなメリットがある。導入を推進すべき」(東憲太郎委員:全国老人保健施設協会会長)、「ケアの質などのデータ提出に関しては、現場負担を考慮してLIFEを積極的に活用すべき」(田中志子委員:日本慢性期医療協会常任理事)など様々な意見が出ています。こうした声も参考にしながら詳細を詰めていくことになります。

とりわけ重要なのは「人員基準緩和などを行ったのちの効果検証」でしょう。上述のように介護人材不足は深刻化しており、「どのような工夫を行えば、サービスの質を落とさずに人員配置基準を緩和していけるのか」を様々な場面で研究・検討していくことが求められます。

人員配置ローカルルールの適正性を判断、「事故情報」データベースを構築へ

また厚労省老健局老人保健課の古元重和課長は、次のような「人員配置基準の緩和」案を提示しました。こちらも「少ない人手をどのように有効活用していくか」という視点で、これまでの議論や各種の研究結果を踏まえた提案内容となっています。

(1)管理者の責務を「利用者本位のサービス提供を行うため、利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時・適切に把握し、職員・業務の一元的な管理・指揮命令を行う」ことと明確化し、これを果たせる場合には、同一・隣接敷地「外」の事業所・施設についても兼務が可能である旨を明確化する

(2)(看護)小規模多機能型居宅介護における管理者について、現在はサービス類型を限定して「他の事業所での兼務」を認めているが、この限定を解除する(上記(1)要件を満たせば他サービスでの兼務を広く認める)

(看護)小規模多機能型居宅介護の兼務制限(社保審・介護給付費分科会(2)7 231130)



(3)人員配置基準のローカルルール(都道府県・市町村が設けている独自ルール)について、▼厚生労働省令に従う範囲内とする▼個別事情を勘案せず「一律に認めない」取り扱いは不適切である▼当該ルールの必要性を説明できるようにする—ことを求め、個別のローカルルールについては自治体・事業者からの意見を踏まえて対応(適否を判断)する

人員配置に関するローカルルールの例(社保審・介護給付費分科会(2)8 231130)



(4)介護従事者のテレワークについて、▼「人員配置基準等を超える部分」は差し支えない▼「人員配置基準等を超えない部分」については、利用者の処遇に支障が生じなければ差し支えない—ことを明確化し、想定されるケースについて職種・業務ごとに具体的な考え方を示す(管理者のテレワークに関する記事はこちら

(5)重要事項(運営規程の概要、居室・食堂の広さ、届出事項、特別な食事の内容・料金など)について、現在の「書面掲示」に加え、ウェブサイトでの掲載・公表を求める(1年間の経過措置)

(6)「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿い、事業者が自主的に設ける短時間勤務制度を職員が利用する場合も、週30時間以上の勤務で「常勤」とすることを認める



こうした提案内容に対しては、「ローカルルールにも関連するが、自治体間での解釈バラつきが可能な限り亡くなるように取り組んでほしい」(稲葉委員、古谷委員、伊藤委員、濵田和則委員:日本介護支援専門員協会副会長、江澤和彦委員:日本医師会常任理事)、「重要事項のWEBサイト掲示に伴い書面掲示規定を廃止してはどうか」(古谷委員、田中委員)、「不妊治療中の女性なども常勤ルール特例の対象に加えるべき」(東委員)といった意見が寄せられました。

介護事業所等経営の安定化や、人材確保などの面から「大規模化」が推進されていますが、そうした際に重い足枷となるのがローカルルールの存在です(A市では認められることがが、B町では認められないなど)。このため多くの委員が「ローカルルールの廃止、解消」に向けた意見を述べており、今後、廃止・解消の状況公表なども求められるでしょう。



このほか、介護給付費分科会では、▼「就労開始から6か月未満の外国人介護職員」について、事業所の判断で介護人員配置に加えるか否かの選択を認める(安易に加えれば「スタッフに占める介護福祉士割合が高い」ことなどを評価する【サービス提供体制強化加算】の取得が難しくなるため、適切な選択がなされると見込まれる、関連記事はこちらこちら)▼中山間地域等に対する加算の対象サービス・対象地域等については実態を詳細に把握した上で、介護報酬上の評価のあり方などを継続検討する▼「事故情報」を一元的に収集・蓄積・解析するデータベースの整備を検討する▼地域区分(介護報酬の単価設定のベースなど)などについて実態を踏まえた適切な見直しを行う—方向も概ね固められました。

このうち「事故情報データベース」については、「自治体の独自ルールを完全に排除すべき」(酒向委員)、「報告情報を分析し、現場にフィードバックし、再発防止につなげられる仕組みを構築すべき」(松田晋哉委員:産業医科大学教授、堀田聰子委員:慶応義塾大学大学院健康マネジメント研究科教授)、「在宅生活でも転倒は生じるが、施設入所では転倒し、擦り傷をつくっただけで事故報告をしなければならない。現場実態を考慮した仕組みとすべき」(東委員)といった意見が出されました。例えば「転倒」について、すべてを事業者側の責任とするのは不適切なことは述べるまでもないでしょう。「事故」の捉え方についても、利用者・家族を巻き込んだ議論が必要でしょう。

また外国人介護人材について松田委員は「日本は外国人から選ばれなくなっている点を認識しなければならない。現在の『帰国』を前提とした仕組みでなく、例えば技能獲得者は日本に『永住し、介護従事者として暮らしていける』ような仕組みを検討すべきではない」と提言しています。今後の介護人材確保策における重要検討テーマの1つとなりそうです。



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