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GemMed塾 新制度シミュレーションリリース

2019年3月の後発品割合は78.9%、2019年に入ってからの「足踏み」続く―協会けんぽ

2019.8.19.(月)

 協会けんぽにおいて、ジェネリック医薬品(後発品)の使用割合は、今年(2019年)3月末時点で78.9%で、前月末と変わっておらず、今年(2019年)に入ってから「足踏み」が続いている。政府の第2目標「80%以上」をクリアしている自治体は▼沖縄▼鹿児島▼岩手▼宮崎▼山形▼富山▼宮城▼佐賀▼島根▼長野▼新潟▼熊本▼北海道▼鳥取▼石川▼群馬▼秋田▼長崎▼山口▼青森▼福井▼静岡―の22自治体となった―。

 こういった状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会が8月14日に公表した医薬品使用状況から明らかになりました(協会のサイトはこちら)。

協会けんぽ全体、後発品割合の上昇の「一休み」続く

 「医療技術の高度化」や「高齢化の進展」などにより医療費は増加を続けます。2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となることから、今後、急速に医療費が増加していくと予想されます。また、その後2040年にかけて高齢者の増加ペース自体は鈍化するものの、支え手である現役世代人口が急速に減少していくことが分かっています。「より少ない支え手」で「より多くの高齢者」を支えなければならなくなることから、公的医療保険制度の基盤が極めて脆くなっていきます。

こうした状況の中で公的医療保険制度・国民皆保険を維持していくためには、「医療費の伸びを我々国民の負担できる水準に抑える」(医療費適正化)ことが不可欠であり、例えば▼平均在院日数の短縮による入院医療費の適正化▼後発医薬品(ジェネリック医薬品、後発品)の使用促進による薬剤費の圧縮▼医療機能の分化と連携の強化▼地域差(ベッド数、受療率、平均在院日数など)の是正▼保健事業の充実による健康寿命の延伸―など、さまざまな角度からの取り組みが進められています。

後発品に関しては、政府が▼2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とする(第1目標)▼2020年9月に80%以上とする(第2目標)―という2段階の目標を設定し、使用推進に向けた取り組みが行われています。

 主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する「協会けんぽ」の運営者である全国健康保険協会でも、従来から積極的に後発品使用促進に取り組んでいます。医療機関を受診し、医薬品を処方された加入者個々人に宛てて「貴殿の医薬品を先発品から後発品に切り替えれば、自己負担額は○○円軽減されます」といった通知を発出したり、毎月の後発品使用割合の公表などを行っています。8月14日には、今年(2019年)3月末の後発品使用割合が公表されました(前月の状況はこちら)。

全体の後発品使用割合(新指標、調剤分)を見ると、今年(2019年)2月末と変わりなく、数量ベースで78.9%となりました。昨夏から順調に後発品割合が増加していましたが、やはり「一休み」という状況です。第2目標「80%以上」達成まで「あと1.1ポイント」に迫っており、今後の状況を注視する必要があります。
協会けんぽの後発品割合(2019年3月)1 190814
 
直近1年間(2018年4月から2019年3月)では、単純計算で「1か月当たり0.3ポイント」のペースで後発品割合が上昇していることになります。このペースが継続すると仮定した場合、計算上は、第2目標「80%」クリアは今年(2019年)7月となります。すでに現時点で第2目標が達成している可能性が伺えますが、「一休み」が続いている可能性が高く、今後の動向を注意深く見守る必要があります。

 なお、調剤に「医科・DPC・歯科」を加えた後発品割合は、今年(2019年)3月末時点で75.9%となっています(前月から増減なし、協会のサイトはこちら)。
協会けんぽの後発品割合(2019年3月)2 190814
 

80%以上クリアは22道県、最低は徳島県の71.2%

 また後発品使用割合を都道府県別に見ると、まだまだバラつきがあります。

 最も後発品割合が高いのは沖縄県で、87.8%(前月末から0.2ポイント上昇)となりました。

このほか、▼鹿児島県の84.7%(前月から0.1ポイント上昇)▼岩手県の84.3%(同増減なし)▼宮崎県の82.6%(同0.4ポイント上昇)▼山形県の81.7%(同0.3ポイント低下)▼富山県の81.7%(同0.3ポイント上昇)▼宮城県の81.6%(同0.1ポイント低下)▼佐賀県の81.3%(同0.4ポイント上昇)▼島根県の81.2%(同増減なし)▼長野県の81.1%(同0.2ポイント低下)▼新潟県の81.0%(同0.1ポイント低下)▼熊本県の80.8%(同0.3ポイント上昇)▼北海道の80.5%(同0.1ポイント上昇)▼鳥取県の80.4%(同0.4ポイント低下)▼石川県の80.3%(同増減なし)▼群馬県の80.3%(同0.3ポイント上昇)▼秋田県の80.3%(同0.2ポイント上昇)▼長崎県の80.3%(同0.1ポイント増加)▼山口県の80.2%(同0.2ポイント低下)▼青森県の80.1%(同増減なし)▼福井県の80.1%(同増減なし)▼静岡県の80.1%(同0.2ポイント上昇)―で高くなっています。

静岡県が「80%クリア自治体」に復帰(今年(2019年)1月末に80.2%→2月末に79.9%)し、22自治体が第2目標クリア自治体となりました。

 最も低いのは依然として徳島県で、後発品割合は71.2%(前月から増減なし)。第1目標「70%以上」をクリアできていない自治体は、現在は存在しませんが、第2目標クリアに向けて、すべての自治体にさらなる努力を期待したいところです。
協会けんぽの後発品割合(2019年3月)3 190814
 
 
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