筋力や身体活動の維持・向上のために「ビタミンC摂取」を日頃から心がけよ—都健康長寿医療センター研究所
2024.3.7.(木)
筋力や身体活動の維持・向上のためには「ビタミンC摂取」が極めて重要。不足すると筋力や身体活動が衰えるが、再投与で「機能が急激に復活」する—。
ビタミンC不足に陥らないよう、日頃から「摂取」を心がける必要がある(厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」では、1日100mg(苺5、6個程度を推奨)—。
東京都健康長寿医療センター研究所(東京都板橋区)が3月1日に、こうした研究成果を「筋活にはビタミンCが必要!」とのパンフレットにまとめ、公表しました(研究所のサイトはこちら)。
ビタミンC不足で筋力や身体活動が衰えるが、再摂取で急激に回復する
昨年度(2022年度)から、人口の大きなボリュームゾーンを占める団塊世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度には全員が後期高齢者となります。このため介護ニーズは今後急速に増大していきます。
一方、支え手となる現役世代人口は、2025年度から2040年度にかけて急速に減少していきます。
少なくなる一方の支え手(サービス提供者、費用負担者)で、増大する一方の高齢者(サービス利用者、受益者)を支えなければならず、「どのように効率的に要介護者を支えていくか」(サービス提供の生産性向上、介護費の負担の公平化など)とともに、「要介護者の発生をいかに防止していくか、要介護状態になったとしても、いかに重度化を防止するか」が重要になっています。
介護予防・重度化防止において「筋力の維持・向上」が重要です。筋力が弱まれば、ADLが低下する、転倒しやすくなるといった弊害が生じ、結果「要介護度の悪化、認知機能の低下」などに繋がってしまうためです。
そうした中で都健康長寿医療研究センターでは「ビタミンC」に注目しました。
筋肉にはビタミンCが存在し、研究所の調査では「血液中のビタミンC濃度が高い女性は、筋力や身体能力が高い」(握力が強い、片足で立っていられる時間が長い、通常の歩行速度が速いなど)ことが明らかになっています。しかし、逆に「血液中のビタミンC濃度が低い場合には、筋力や身体能力が低いのか」は明らかになっていません。
研究所では、この点について「体内でビタミンCを作れないビタミンC合成不全マウス」を用いて、ビタミンCの不足が筋肉に及ぼす影響を調査(ヒトについて「ビタミンCを減らし、運動能力が低下するのか」を調べることはできない)。
その結果、ビタミンCの不足期間が長くなるにつれ、▼筋肉が萎縮し、筋重量が減少する▼握力や全身持久力、自発的活動量などの身体能力も低下する—ことが分かりました。
さらに、「再びビタミンCを与えると筋重量や身体能力が急速に回復する」ことも分かりました。
ここから、筋力や身体活動の維持・向上のためには「ビタミンC摂取」が極めて重要であることが分かります。
研究所では、ビタミンCは、食品や飲料、サプリメントなどから安価で容易に摂取できるが、尿から排泄されやすく、体内での消費量も多いため、気づかないうちにビタミンC不足に陥る可能性があることを指摘し。筋力や身体活動の維持・向上のために「日頃からビタミンCを十分に摂取するよう心がける必要がある」ことを強調し、例えば厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」において「1日のビタミンC推奨量が100mg(苺5、6個程度)」と定めている点を参考に、「ビタミンCを積極的に摂取する」ことを推奨しています。
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