DPCの係数を告示、DPC特定群は155病院で機能評価係数IIのトップは帯広厚生病院―2018年度診療報酬改定
2018.3.20.(火)
2018年度からDPCの特定病院群を155病院とし、基礎係数は1.0648とされた。また機能評価係数IIのトップは、大学病院本院群は長崎大病院、DPC特定病院群は帯広厚生病院、DPC標準病院群は豊岡病院となった―。
厚生労働省が3月20日に行った「厚生労働大臣が指定する病院の病棟並びに厚生労働大臣が定める病院、基礎係数、暫定調整係数、機能評価係数I及び機能評価係数IIの一部を改正する告示」から、こうした状況が明らかになりました(厚労省の改定関連情報サイトはこちら((11)の4「厚生労働大臣が指定する病院の病棟並びに厚生労働大臣が定める病院、基礎係数、暫定調整係数、機能評価係数I及び機能評価係数IIの一部を改正する告示」のExcellファイルに一覧が掲載されている))(2016年度の前回診療報酬改定時の状況はこちら、2017年度の状況はこちら)。
目次
2018年度改定で、暫定調整係数の機能評価係数IIへの置き換えを完了
2018年度の診療報酬改定では、DPCについて次のような大きな見直しが行われます(関連記事はこちらとこちらとこちら)。
▼3つの医療機関群を維持するが、名称を▽I群→「大学病院本院群」▽II群→「DPC特定病院群」▽III群→「DPC標準病院群」—に改める
▼機能評価係数IIについて、例えば次の見直しを行う
▽後発医薬品係数(後発医薬品使用体制加算として機能評価係数Iへ移管)、重症度係数を廃止する
▽保険診療係数・指数について、「未コード化傷病名割合に基づく減算」の厳格化(20%以上で0.05点減点→2%以上で0.05点減点)などを行う
▽地域医療係数・指数について、医療計画における5疾病・5事業の見直し等に合わせた整理を行う
▼暫定調整係数について、機能評価係数II・基礎係数への置き換えを完了する
▼新たに診療報酬改定年度1年限りの「激変緩和係数」を設ける(改定による診療報酬収入の大きな変動を吸収する)
▼短期滞在手術等基本料3について、DPCでは適用しない
▼再入院7日ルールを厳格化する
こうした見直しを受け、厚労省は3月20日に、関係告示・通知を発出。そこでは、各医療機関の係数についても明らかにされました。
大学病院群の機能評価係数II、トップは長崎大0.1157、2位は和歌山医大0.1146
まず大学病院本院群(旧I群)については、国際医療福祉大学病院(栃木県)が加わり82病院となりました。
基礎係数は1.1293に設定され、従前の1.1354から0.0061ポイント下がりっています。
機能評価係数II(2018年度、以下同じ)は、前述のとおり暫定調整係数からの置き換えが完了(75%置き換え→100%置き換え)ており、全体に高くなっています。もっとも、2016年度と18年度を比較する場合には、16年度の「機能評価係数II+暫定調整係数」と18年度の「機能評価係数II」とを比べることが重要です。
2018年度にもっとも機能評価係数IIが高くなったのは、長崎大学病院(長崎県)の0.1157で、逆にもっとも低いのは国際医療福祉大学病院(栃木県)の0.0614です。
大学病院本院群の、2018年度における機能評価係数IIのトップ3は、(1)長崎大学病院(長崎県)の0.1157((2)和歌山県立医科大学附属病院(和歌山県)の0.1146(3)岩手医科大学附属病院(岩手県)0.1106―となりました。
特定群の機能評価係数II、トップは帯広厚生病院0.1422、2位は済生会熊本病院の0.1373
次に、大学病院本院なみの高度な医療を提供しているとDPC特定病院群(旧II群)については、155病院が該当しています。2016年度には140病院だったので、15病院増加しています。
DPC特定病院群の基礎係数は1.0648となり、従前の1.0626から0.0002ポイント上がりました。
機能評価係数IIは、やはり全体的に高くなっており、もっとも高いのは、2016年度と同じくJA北海道厚生連帯広厚生病院(北海道)の0.1422、逆にもっとも低いのは関西電力病院(大阪府)の0.0627です。
DPC特定病院群における、2018年度の機能評価係数IIトップ3は、(1)JA北海道厚生連帯広厚生病院(北海道)の0.1422(2)済生会熊本病院(熊本県)の0.1373(3)高知県・高知市病院企業団立高知医療センター(高知県)の0.1372―となりました。
標準群の機能評価係数II、トップは豊岡病院0.1527、2位は大曲厚生医療センター0.1470
大学病院本院群・DPC特定病院群以外の病院で構成されるDPC標準病院群(旧III群)には、1493病院が該当しています。従前(1446病院)に比べて47病院増加しています。
DPC標準病院群の基礎係数は1.0314で、従前の1.0296から0.018ポイント上がりました。
機能評価係数IIは、やはり従前に比べて高くなっており、もっとも高いのは公立豊岡病院組合立豊岡病院(兵庫県)の0.1527、逆にもっとも低いのは医療法人財団明理会東京腎泌尿器センター大和病院(東京都)0.0269です。
DPC標準病院群における2018年度の機能評価係数IIトップ3は、(1)公立豊岡病院組合立豊岡病院(兵庫県)の0.1527(2)大曲厚生医療センター(秋田県)の0.1470(3)岩手県立中部病院(岩手県)0.1462―となりました。
暫定調整係数、DPC全体で97病院に設定、プラス係数が24件、マイナス係数が73件
2018年度診療報酬改定では、前述のように新たに改定年度1年限りの「激変緩和係数」が創設されました。診療報酬改定による収入の大きな変動を避けるためのもので、2018年度には暫定調整係数から機能評価係数IIへの置き換え完了の影響も大きいと想像できます。
従前より2%を超えて推計診療報酬が減少する場合にはプラスの係数が、逆に2%を超えて増加する場合にはマイナスの係数が設定されます。
大学病院本院群で激変緩和係数の対象となったのは、国際医療福祉大学病院(栃木県)の1件で、▲0.0370となっています。
DPC特定病院群で激変緩和係数の対象となったのは、福井県立病院(福井県)の1件で、▲0.0185となりました。
DPC標準病院群で激変緩和の対象となったのは95件。マイナスの係数が設定されたのは、あいち小児保健医療総合センター(愛知県)の▲0.0974、社会医療法人聖医会サザン・リージョン病院(鹿児島県)の▲0.0863、埼玉医療生活協同組合皆野病院(埼玉県)の▲0.0688など71件、プラスの係数が設定されたのは、札幌南三条病院(北海道)の0.1351、社会医療法人平成醫塾苫小牧東病院(北海道)の0.1337、社会医療法人医翔会札幌白石記念病院(北海道)の0.1070など24件となっています。
激変緩和係数は2018年度「1年限り」のもので、2019年度には設定されません。
機能評価係数I、急性期一般1は0.1000、後発品使用体制1は0.0014
なお、病院で取得している加算(全患者を対象とするもの)を係数化した機能評価係数Iについては、次のように設定されています(注目されるものを抜粋)。
▼特定機能病院7対1:0.1764
▼専門病院7対1:0.1182
▼急性期一般入院料:
▽入院料1(7対1相当)・0.1000
▽入院料2(7対1と10対1の中間)・0.0884
▽入院料3(同)・0.0614
▽入院料4(10対1+看護必要度加算1)・0.0212
▽入院料5(10対1+看護必要度加算2)・0.0174
▽入院料6(10対1+看護必要度加算3)・0.0096
(入院料7は10対1相当であり、機能評価係数Iによる係数の上乗せはない)
▼後発医薬品使用体制加算:
▽加算1(後発品割合85%以上)・0.0014
▽加算2(同80%以上85%未満)・0.0012
▽加算3(同70%以上80%未満)・0.0011
▽加算4(同60%以上70%未満)・0.0007
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