4月分医療費トップ3疾患は、鼻アレルギー・高血圧症・喘息―健保連
2019.12.20.(金)
今年(2019年)4月分医療費の上位3疾患は(1)血管運動性鼻炎およびアレルギー性鼻炎〈鼻アレルギー〉(2)本態性(原発性〈一次性〉)高血圧(症)(3)喘息―である。
また女性に限定してみると、「乳がん」が、入院・入院外ともに医療費トップ3疾患に名を連ねている―。
健康保険組合の連合組織である健康保険組合連合会(健保連)が先ごろ公表した「健保組合医療費上位30疾病に関する動向調査」結果から、こうした状況が明らかになりました(健保連のサイトはこちら。
女性では「乳がん」が、入院・入院外ともに医療費トップ3疾患に入る
健康保険組合(健保組合)は、主に大企業の従業員とその家族が加入する公的医療保険です。健保組合の連合組織である健康保険組合連合会(健保連)は、さまざまな角度からレセプトを分析し、各種提言を行うなど、かねてからデータヘルスに積極的に取り組んでいます(健保連の取り組みに関する最近の記事はこちらとこちらとこちらとこちらとこちらとこちら)。
今般、今年(2019年)4月診療分のレセプトをもとに、「健保組合加入者は、どのような疾患に多くかかり、医療費はどの程度なのか」を分析しました。調査対象は1225組合の加入者数2619万4238人のデータです。
まず医科全体で見ると、医療費シェアトップ3は、(1)血管運動性鼻炎およびアレルギー性鼻炎〈鼻アレルギー〉:医科医療費全体の4.67%を占める(2)本態性(原発性〈一次性〉)高血圧(症):同3.45%(3)喘息:同3.38%―で、上位3疾患で医科医療費の1割超(11.50%)を占めています。
また、男女別にみるとトップ3疾患は次のようになりました。
【男性】
▽本態性(原発性〈一次性〉)高血圧(症):男性医科医療費全体の4.43%
▽血管運動性鼻炎およびアレルギー性鼻炎〈鼻アレルギー〉:同4.39%
▽喘息:同3.25%
→上位3疾患で、男性医科医療費の12.07%を占める
【女性】
▽血管運動性鼻炎およびアレルギー性鼻炎〈鼻アレルギー〉:女性医科医療費全体の4.95%
▽喘息:同3.51%
▽乳房の悪性新生物〈腫瘍〉:同3.41%
→上位3疾患で、女性医科医療費の11.87%を占める
また医科入院に限定すると、医療費シェアトップ3は、(1)心房細動および粗動:医科入院医療費全体の2.47%(2)脳梗塞:同2.04%(3)統合失調症:同1.87%―で、上位3疾患で医科入院医療費の6.38%を示しています。医科全体に比べると「多様な疾患」に患者が分布しています。
男女別にみるとトップ3疾患は次のようになっています。
【男性】
▽心房細動および粗動:男性医科入院医療費全体の3.98%
▽狭心症:同2.64%
▽脳梗塞:同2.57%
→上位3疾患で、男性医科入院医療費の9.19%を占める
【女性】
▽乳房の悪性新生物〈腫瘍〉:女性医科入院医療費全体の3.87%
▽子宮平滑筋腫:同3.41%
▽統合失調症:同2.50%
→上位3疾患で、女性医科入院医療費の9.78%を占める
一方、医科入院外に目を移すと、医療費シェアトップ3は、(1)血管運動性鼻炎及びアレルギー性鼻炎〈鼻アレルギー〉:医科入院外医療費全体の6.13%(2)本態性(原発性〈一次性〉)高血圧(症):同4.34%(3)喘息:同4.28%―で、上位3疾患で医科入院医療費の14.75%を示しています。医科全体・医科入院に比べて「特定の疾患」に患者が集中していることが分かります。
男女別にみるとトップ3疾患は次のようになっています。
【男性】
▽血管運動性鼻炎およびアレルギー性鼻炎〈鼻アレルギー〉:男性医科入院外医療費全体の5.78%
▽本態性(原発性〈一次性〉)高血圧(症):同5.62%
▽喘息:同4.12%
→上位3疾患で、男性医科入院外医療費の15.52%を占める
【女性】
▽血管運動性鼻炎およびアレルギー性鼻炎〈鼻アレルギー〉:女性医科入院外医療費全体の6.49%
▽喘息:同4.46%
▽乳房の悪性新生物〈腫瘍〉:同3.26%
→上位3疾患で、女性医科入院外医療費の14.21%を占める
医療費適正化に向けて、「生活習慣病対策の充実・強化」や「乳がん検診の充実による早期診断・早期治療」などが効果的であると再確認できます。
なお、健保連によるこの分析は、▼4月診療分▼7月診療分▼10月診療分▼1月診療分―の年度4回にわたって行われています。疾患には季節変動があり(例えば、4月診療では花粉症患者が多く、1月診療ではインフルエンザや風邪の患者が多いなど)、今後、「医療費適正化対策」についても一定の季節的な要素の考慮が重要になってくるかもしれません。
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