2021年4月から特定処遇改善加算等の算定を行う場合、届け出は特例的に「4月15日まで」で良い—厚労省
2021.1.13.(水)
介護職員の処遇改善等の原資を提供する特定処遇改善加算等については、通常であれば「算定月の前々月の末日」までの届け出が必要であるが、2021年度には介護報酬改定が予定され、届け出内容等に変更がある可能性があることから、2021年4月から算定を行う場合には、特例的に「4月15日までに届け出」を行えばよい、こととする—。
厚生労働省は1月8日に事務連絡「令和3年度の『介護職員処遇改善計画書・介護職員等特定処遇改善計画書』に係る提出期限について」を示し、こうした考えを明らかにしました。
特定処遇改善加算の配分ルールなどの見直しを検討
我が国人口のボリュームゾーンとなっている、いわゆる団塊の世代が2022年度から75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度には全員が75歳以上に到達します。また2025年度から2040年度にかけて高齢者の増加ペース自体は鈍化しますが、現役世代人口が急速に減少していくことが分かっています。こうした「少子高齢化」の進行により、今後、介護保険制度の基板が非常に脆くなっていきます。
とりわけ「介護提供体制の確保」については、かねてから大きな問題となっています。「いわゆる3K(きつい、汚い、厳しい)職場である」「労働に見合った対価が得られない」と指摘され、雇用の継続・新規人材の確保が非常に難しいのです。
このため厚労省は、従前から「介護人材の確保・定着」を介護保険制度改革・介護報酬改定の最重要テーマの1つに据え、これまでに▼介護職員処遇改善加算(2012年度改定で、従前の「介護職員処遇改善交付金」を引き継ぐ形で創設され、その後、順次拡充)▼特定処遇改善加算(2019年度改定で創設、主に勤続年数の長い介護福祉士の処遇改善を目指す)―という2つの加算で「賃金・給与の引き上げ」を狙っています。
現在、社会保障審議会・介護給付費分科会で来年度(2021年度)の介護報酬改定に向けた議論が進んでおり、例えば【特定処遇改善加算】について、賃金改善額の配分ルールに関して▼「その他の職種」は「その他の介護職員」の「2分の1を上回らない」とするルールを維持する▼「経験・技能のある介護職員」は「その他の介護職員」の「2倍以上とする」ルールを「より高くする」と見直す—などの方向性が示されています。
今後、具体的な基準設定・単位数設定などの議論に入りますが、厚労省は「処遇改善加算等の届け出について通常『処遇改善加算等を取得する月の前々月の末日までに行う』としていが、来年度(2021年度)に4月から取得する場合には『4月15日までに届け出を行う』こととする」考えを明らかにしました。
つまり、介護報酬改定がないと仮定した場合には、2021年4月から加算算定を行う場合には「2月末までの届け出」が必要となりますが、介護報酬改定に伴って届け出内容の見直し等が行われる可能性があり「4月15日まで」に届け出れば、4月1日に遡って算定することが可能となるものです。【特定処遇改善加算】の創設を受けて2020年4月にも同様の特例が設けられました。
なお、今後の報酬改定論議を今から追いかけ、届け出にあたって必要となる体制整備等を進めておくことが必要です。
●2021年度介護報酬改定に向けた、これまでの議論に関する記事●
【第1ラウンド】
▽横断的事項(▼地域包括ケアシステムの推進▼⾃⽴⽀援・重度化防⽌の推進▼介護⼈材の確保・介護現場の⾰新▼制度の安定性・持続可能性の確保―、後に「感染症対策・災害対策」が組み込まれる)
▽地域密着型サービス(▼定期巡回・随時対応型訪問介護看護▼夜間対応型訪問介護▼小規模多機能型居宅介護▼看護小規模多機能型居宅介護▼認知症対応型共同生活介護▼特定施設入居者生活介護―)
▽通所系・短期入所系サービス(▼通所介護▼認知症対応型通所介護▼療養通所介護▼通所リハビリテーション▼短期入所生活介護▼短期入所療養介護▼福祉用具・住宅改修介護―)
▽訪問系サービス(▼訪問看護▼訪問介護▼訪問入浴介護▼訪問リハビリテーション▼居宅療養管理指導▼居宅介護支援(ケアマネジメント)―)
▽施設サービス(▼介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)▼介護老人保健施設(老健)▼介護医療院・介護療養型医療施設—)
【第2ラウンド】
▽横断的事項(▼人材確保、制度の持続可能性▼自立支援・重度化防止▼地域包括ケアシステムの推進―)
▽地域密着型サービス(▼定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、小規模多機能型訪問介護、看護小規模多機能型訪問介護(以下、看多機)▼認知症対応型共同生活介護、特定施設入居者生活介護―)
▽通所系・短期入所系サービス(▼通所介護・認知症対応型通所介護、療養通所介護▼通所リハビリテーション、福祉用具・住宅改修▼短期入所生活介護、短期入所療養介護―)
▽訪問系サービス(▼訪問看護▼訪問介護、訪問入浴介護▼訪問リハビリ、居宅療養管理指導▼居宅介護支援(ケアマネジメント)―)
▽施設サービス(▼介護医療院・介護療養型医療施設▼介護老人保健施設、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)▼短期入所生活介護、短期入所療養介護―)
▽横断的事項(その2)(▼地域包括ケアシステムの推進▼自立支援・重度化防止の推進(関連記事はこちら(ADL維持等加算)とこちら(認知症対策、看取り対応、科学的介護など)、▼処遇改善、▼人材確保、制度の安定性・持続可能性の確保など―)
▽詰めの議論(▼多機能型サービス▼短期入所系サービス▼通所系サービス▼訪問看護▼「介護医療院・介護療養型医療施設」▼科学的介護の推進(データ提出)▼ADL維持等加算▼ケアマネジメント―)
▽最終調整の議論(▼運営基準見直し、▼GHの夜勤配置・個室ユニット定員の緩和、▼ICT活用した場合の夜勤スタッフ配置緩和等、▼訪問看護―)
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