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新型コロナ対策 医療崩壊の真実

ICT活用した夜勤スタッフ配置基準緩和の詳細を通知、3か月以上の試行で「ケアの質やスタッフ負担」の確認を―厚労省

2021.3.19.(金)

2021年度の介護報酬改定で、ICTを活用した事業所・施設において「夜勤スタッフの配置基準緩和」が行われる。安全性やケアの質、夜勤スタッフの負担状況などに問題が出ないかを確認するために、「夜勤を実際に行うスタッフ」が参画する委員会を設け、3か月以上の試行において、これらの状況を把握し、「問題のない」ことを確認して初めて届け出が可能になる。また配置緩和後も状況を常に確認し、必要な改善を行うことが求められる―。

厚生労働省は3月16日に通知「『厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準』のテクノロジーを導入する場合の夜間の人員配置基準における留意点について」を示し、こうした考えを明らかにしました(厚労省のサイトはこちら)。

「サービスの質」を確保したうえで、「人員配置基準」を緩和する

2021年度の介護報酬改定では、「サービスの質を確保したうえで、人員配置基準を緩和する」という点が大きなポイントとなっています。

2022年度から、いわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度には全員が75歳以上に到達します。このため、介護ニーズが急速に高まっていきます。一方、2025年度から2040年度にかけて高齢者の増加ペース自体は鈍化するものの、現役世代人口が急速に減少していくため「介護人材の確保」が極めて難しくなります。

こうした状況の中では「人員配置基準」の緩和をしなければ、介護サービスの確保が適わなくなります。一方、人員配置基準の緩和は、▼安全性▼スタッフの負担▼サービスの質—という面で課題もあり、介護給付費分科会では「安全性確保」等を最重要テーマに据えたうえで、「人員配置基準をどう緩和できるか」を検討してきました。

その中で、「見守りセンサー等を活用した場合に夜間の人員配置を通常より緩和する仕組みをさらに拡大していく」点が注目を集めています。

2018年度の前回改定で、▼特別養護老人ホーム▼ショートステイ—における【夜勤職員配置加算】について、通常「1名分の人員を多く配置」することが必要なところ、見守り機器の導入によって効果的に介護が提供できる場合には「0.9名分の人員を多く配置」することで足りる(つまり10%の人員基準緩和)ことが認められました。

さらに、今般の2021年度改定では、「見守り機器(センサーなど)の導入で、介護スタッフの直接介護時間がより長くなり、負担軽減度合いが大きい」などの研究結果を踏まえて、「さらなる人員配置基準の緩和」を推進することとなりました。具体的には次のような緩和が行われます(関連記事はこちら)。

▽現行の【夜勤職員配置加算】の要件緩和措置(夜勤スタッフを通常1名分多く配置すべきところ、「0.9人分」多く配置することで良い)について、「入所者の15%に導入する」との要件を、「入所者の10%に導入する」ことで良しとする

▽【夜勤職員配置加算】の要件緩和措置について、ユニット側で「入所者の100%に導入」した場合には、「夜勤スタッフを通常1名分多く配置すべきところ、「0.6人分」多く配置することで良し」とする新区分を設ける。その際、▼夜勤職員全員がインカム等のICTを使用する▼委員会設置を含めた安全体制、ケアの質の確保、職員の負担軽減を行っている―ことも求める

▽【夜勤職員配置加算】の要件緩和措置について、従来型で「入所者の100%に導入」した場合には、通常「夜勤スタッフを1名分多く配置」すべきところ、▼人員基準緩和を適用する場合には「0.8人分」▼人員基準緩和を適用しない場合には「0.6人分」―多く配置することで良し」とする新区分を設ける。その際、▼夜勤職員全員がインカム等のICTを使用する▼委員会設置を含めた安全体制、ケアの質の確保、職員の負担軽減を行っている―ことも求める

▽見守りセンサーを活用した場合の「夜勤職員配置の要件緩和措置」を、従前の▼介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)▼短期入所生活介護(生活ショート)―だけでなく、新たに▼介護老人保健施設▼介護医療院▼認知症型共同生活介護▼短期入所療養介護(医療ショート)―にも拡大する

▽上述の「0.6人配置」は、▼介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)▼短期入所生活介護(生活ショート)▼介護老人保健施設▼短期入所療養介護(医療ショート)―に適用し、▼介護医療院▼認知症型共同生活介護―では「0.9人配置」のみを適用する



あわせて、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)における夜間の人員配置基準について、「見守りセンサーやインカム等のICTを活用する場合に緩和する」見直しも行われます。



これらの見直しは、上述のように▼安全性▼スタッフの負担▼サービスの質—という面で問題が生じる可能性もあります。そこで、人員配置緩和の条件として、次の2点の「ケアの質確保、負担軽減」策を設けることとなっています。

(1)▼「見守り機器等を安全かつ有効に活用するための委員会」の設置▼職員に対する十分な休憩時間の確保等の勤務・雇用条件への配慮▼「緊急参集要員の確保」などの緊急時の体制整備―などを求める

(2)見守りセンサー等の導入から、具体的要件を少なくとも3か月間以上試行し、必要に応じて取り組み方法の改善を図りながら、(1)の「委員会」において安全体制やケアの質の確保、職員の負担軽減が図られていることを確認した上でなければ届け出られないこととする

ICT機器を活用し、安全・ケアの質確保、職員の負担軽減を図る

今般の通知では、上記(1)(2)の「ケアの質確保、負担軽減」策の詳細を明らかにしたものです。

まず「見守り機器」とは、「利用者・入所者(以下「利用者等」)がベッドから離れようとする状態、離れたことを感知できるセンサー」を意味します。センサーで得られた情報を外部通信機能により職員に通報し「利用者等の見守りに資する機器」とし、事業所・施設(以下「事業所等」)の全居室に設置することが求められます。

「情報通信機器」とは、インカム(マイクが取り付けられたイヤホン)等の「職員間の連絡調整の迅速化に資する機器」「見守り機器の情報を常時受信可能なスマートフォンやタブレット端末等の機器」を意味し、全ての夜勤職員が使用し、利用者等の状況を常時把握することが求められます。

これらの機器を活用して「見守り機器等を活用する際の安全体制、およびケアの質の確保並びに職員の負担軽減」に向けた取り組みを検討することになります。「利用者等の安全」「ケアの質確保」を前提に、「職員の負担軽減」「人員体制の効率化」などのバランスに配慮することが重要です。

事業所内の委員会で、3か月以上「安全・ケアの質確保」「職員負担状況」などを確認

上記(1)(2)で示された「委員会」については、▼管理者▼夜勤を行う職員を含む幅広い職種やユニットリーダー―などが参画し、次の事項を確認します。そこでは「実際に夜勤を行う職員の意見」を尊重し、必要に応じて取り組み方法を改善し、「少なくとも3か月以上試行する」ことが求められます。試行期間中は「通常の夜勤職員基準を遵守する」ことになります。

▽利用者の安全・ケアの質の確保
→一律に「夜間の定時巡回等をとりやめる」のではなく、個々の利用者等の状態に応じて「個別に定時巡回」を行う
→見守り機器等から得られる▼睡眠状態▼バイタルサイン―などの情報をもとに、介護職員・看護職員・ケアマネジャーその他の職種が共同して、「見守り機器等の導入後にも、利用者等の状態が維持されているか」を確認する
→見守り機器等の使用に起因する介護事故やヒヤリ・ハット事例の状況を把握し、その原因を分析して再発の防止策を検討する

▽「夜勤を行う職員」の負担軽減・勤務状況への配慮
→実際に夜勤を行う職員にアンケート調査やヒアリング等を行い、見守り機器等の導入後に▼ストレスや体調不安など「職員の心身の負担」が増えていないか▼夜勤時間帯において「職員の負担が過度に増えている時間帯」がないか▼休憩時間・時間外勤務等の状況はどうか―を確認し、適切な人員配置や処遇の改善の検討等を行う

▽夜勤勤務時間帯における緊急時の体制整備
→緊急参集要員(当該事業所等から概ね30分以内に駆けつけられることを想定)を予め設定するなど、「緊急時の連絡体制」を整備する

▽見守り機器等の定期的な点検
→日々の業務の中で、予め時間を定めて「見守り機器等の不具合がない」ことを確認するなどのチェックの仕組みを設ける
→見守り機器等メーカーと連携し定期的に点検を行う

▽見守り機器等を安全かつ有効に活用するための職員研修
→▼見守り機器等の使用方法の講習▼ヒヤリ・ハット事例等の周知▼その事例を通じた再発防止策の実習―などを含む「職員研修」を定期的に行う



これらの取り組みを「少なくとも3か月以上試行」した後、委員会で▼安全体制の確保▼ケアの質の確保▼職員の負担軽減―を確認した上で、初めて都道府県等に「テクノロジーを導入する場合の夜間の人員配置基準(従来型)に係る届出書」を届け出ることができます。届出後にも委員会を「3か月に1回以上」行い、上記の取り組みを継続実施することが必要です。

なお、夜勤職員基準において算出される「配置すべき夜勤職員の員数」は、「1日を単位」として要件を満たすことが必要な点が明示されました。利用者等合計が60名以下の場合は「夜勤職員を常時1人以上」配置し、61名以上の場合は「夜勤職員を常時2人以上」配置することが求められます。



また、届け出を受け付けた都道府県等では、事業所等から提示された「委員会の議事概要」などで取り組みの内容を確認するとともに、必要に応じて「取り組み内容が確認できる資料」の提出を求めるなど、▼安全体制の確保▼ケアの質の確保▼職員の負担軽減―を適切にチェックすることが必要です。厚労省では、施行後に「ケアの質」「職員の負担」への影響を検証調査する考えも明確にしています。



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