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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

宿日直許可基準、医師について緩和してほしい―四病協

2022.3.24.(木)

宿日直許可基準が設けられているが、医師(勤務医)の宿日直は一般労働者と大きく異なる点を踏まえて緩和してほしい。さもなくば、2024年度からの新たな時間外労働規制が適用される中で、地域の医療提供体制を縮小せざるを得なくなってしまう―。

日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会の4団体で構成される四病院団体協議会と、日本医師会、全国有床診療所連絡協議会が3月18日、こうした内容の要望書を後藤茂之厚生労働大臣に宛てて提出しました(日本病院会のサイトはこちら)。

地域医療を守るための要望だが、「現場医師に過酷労働強いる」と批判の声も

2024年4月から、【医師の働き方改革】がスタートします。すべての勤務医に対して新たな時間外労働の上限規制(原則:年間960時間以下(A水準)、救急医療など地域医療に欠かせない医療機関(B水準)や、研修医など集中的に多くの症例を経験する必要がある医師(C水準)など:年間1860時間以下)を適用するとともに、追加的健康確保措置(▼28時間までの連続勤務時間制限▼9時間以上の勤務間インターバル▼代償休息▼面接指導と必要に応じた就業上の措置(勤務停止など)―など)を講じる義務が医療機関の管理者に課されるものです。

医師働き方改革の全体像(中医協総会1 210721)



新たな時間外労働規制のスタートまで「2年」しかなく、すべての病院で▼勤務医の労働内容の整理▼勤務医の労働時間の正確な把握▼タスク・シフティングの推進▼36協定の締結▼宿日直許可の取得―などを急ぎ進めていかなければなりません。

このうち「宿日直許可」については、2019年7月に厚労省が通知「医師、看護師等の宿日直許可基準について」を示し、「医師・看護師等の宿日直は『通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のもの』で、『特殊の措置を必要としない軽度または短時間の業務』実施のみを行う場合に限って認められる。例えば、夜間の救急搬送患者が常に多く、それに少ない宿直医等で対応しなければならないなど『通常の業務と同態様の業務が稀でない』ような場合には、宿日直は認めらない」との考えを整理しています。宿日直許可が認められなければ、夜間に行う業務などは「夜勤」、つまり「労働時間」(時間外労働)と扱われ、960時間・1860時間の制限をクリアすることが難しくなってきます。

この点について四病協らは、▼医療機関からは「医師の宿日直許可を取得できない」との声が上がっている▼医師の宿日直は、一般労働者と異なる(応召義務があり対応しなければならない)▼現状の宿日直許可基準では、960時間・1860時間の時間外労働上限を遵守するために「地域の医療提供体制を縮小」せざるを得なくなる―と指摘。そのうえで次のように「医師独自の宿日直許可基準」を設けてほしいと後藤厚労相に申し入れました。

(1)宿日直許可事態の判断基準を次のように緩和してほしい
▽各医師について「宿直時の睡眠時間が十分でない日」(例えば6時間未満など)が「月に5日以内」であれば宿日直を許可する

▽宿日直中に救急等の業務が発生する場合でも、当該業務時間が「平日の業務時間と比べて一定程度の割合に収まる」場合には宿日直を許可する

▽「特にローリスクな分娩」が主となる参加医療機関では、分娩数に限らず宿日直を許可する

▽ハイリスクな分娩を扱う参加医療機関では、「宿日直中の分娩等対応が1か月に8-12件程度」であれば宿日直を許可する

(2)宿日直中の回数などを次のように緩和してほしい
▽医師の健康に配慮しつつ、「地域医療提供体制を維持する」ために、各医師について▼宿直を月8回▼日直を月4回―まで許可する

▽上記の宿日直回数は、「他の医療機関に宿日直の応援に行く場合」と分けて取り扱う

▽各医師の「連日の宿日直」を認める

(3)行政においては、▼医師独自の宿日直許可基準の設定・明確化▼対応の統一化—を図り、実態に沿わない判断が行われた場合の「相談窓口」を厚労省に設置してほしい

(4)時間外労働上限を超過した場合の「罰則」について、適用を数年程度猶予してほしい



地域医療提供体制を確保するための要望内容ですが、「現場医師に極めて過酷な労働を強いるものである」「あまりに経営者よりの要望で、労働者である勤務医の健康などを考慮していない」「この内容で宿日直を認めたのでは、産科や救急科などから医師がいなくなってしまう」と批判・指摘する識者も少なくありません。厚労省がこうした要望を受けて、どう判断していくのか注目されます。



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