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最新の医学的知見など踏まえ、189の指定難病について診断基準見直し―指定難病検討委員会

2022.5.18.(水)

遠位性ミオパチーやサルコイドーシス、修正大血管転位症など189の指定難病(指定難病全体の半数超)について、医学・医療の進歩を踏まえて診断基準などの見直し(アップデート)を行う―。

5月16日に開催された厚生科学審議会・疾病対策部会の「指定難病検討委員会」で、こうした見直し内容が固められました。今後、パブリックコメント等を踏まえ、来年(2023年)に関連告示・通知等の改正が行われます。

最新情報を踏まえた「告示病名の見直し」も4疾患で実施

難病患者については、治療期間が長期にわたり医療費が嵩む一方で、就労が難しいなどの事情から「治療継続のための支援」(医療費の助成)が重要となります。ただし、医療費助成を行うための財源には限りがあることから「重症の患者に重点的な支援を行う」ことが求められます。

そこで、国の定めた要件を満たす「指定難病」に罹患し、「重症である」と認められた場合に医療費助成が行わる仕組みとなっています。

指定難病の要件は主に次の通りとなっています。
▽発症の機構が明らかでない
▽治療方法が確立していない
▽長期の療養が必要である
▽希少な疾病で、患者数が我が国で一定数(現在は18万人、人口の0.142%未満)に達していない
▽客観的な診断基準、またはそれに準ずる基準が確立している

医療費助成対象となる指定難病の要件



「がん」など他の施策・支援体系が確立されている疾患は指定難病に該当しませんが、「▼髄膜▼脳▼脊髄▼脳神経▼その他の中枢神経系―に発生した腫瘍は、良性であっても『がん登録』の対象となり(がん登録推進法施行令第1条第2項)、指定難病には該当しない」「それ以外の部位に生じた腫瘍は、良性であれば『がん登録』の対象にならず、指定難病に該当する可能性がある(他の要件を満たすことが必要)」など、判断基準の明確化が随時行われてきています(関連記事はこちら)。



疾病が指定難病の要件を満たすか否かは、研究班や学会の提出した情報をもとに、専門家で構成される指定難病検討委員会で判断されます。これまでに339疾患(2015年1月実施分:110疾患、2015年7月実施分:196疾患、2017年4月実施分:24疾患、2018年4月実施分:1疾患(あわせて5疾患を他の指定難病と統合)、2019年7月実施分:2疾患、2021年11月実施分:6疾患)が、医療費助成が行われる「指定難病」の対象となっています(ただし一定の重症基準を満たす患者についてのみ医療費助成)。

ところで、医学・医療の技術が進展し、難病研究も進む中では「新たな原因遺伝子が明らかになった」「治療効果が大幅に改善された」疾病なども登場していています。

そこで2019年3月に開催された指定難病検討委員会では「指定難病の対象疾患について研究の進捗状況などを各研究班に定期的に報告してもらい指定難病検討委員会でフォローする」考えを固めました。既存の指定難病について「真に医療費助成をすべき疾患が対象になっているかを検証し直す」考えと言えます。

この方針を踏まえて昨年(2021年)11月の指定難病検討委員会では約半数の対象疾患について「診断基準等の改訂」の要否を検討する方針を決定。学会や研究班で「診断基準等の改訂案」が固められた疾患を対象に、非公開でその要否をこの4月までの半年間をかけて議論。今般、改訂内容が固められました。

診断基準等の見直しが行われるのは、下表の189疾患です。▼疾患の概要▼要件判定に必要な事項▼情報提供元▼診断基準▼重症度分類▼治療法—などを最新知見に基づいてアップデート。さらに「研究班名称の更新」「分かりやすい表現への見直し」「1疾病と考えられていたものの細分化」なども行うことで、専門医以外の現場医師や患者、家族にも「最新の情報」が伝わりやすくなると期待できます。

例えば遠位筋がおかされる「遠位型ミオパチー」(告示番号30)を見ると、我が国において「眼咽頭遠位型ミオパチー」の原因遺伝子としてLRP12、GIPC1、NOTCH2NLCのCGGトリプレットリピート伸長が同定され、本邦における「眼咽頭遠位型ミオパチー」例の大半がこれら3つの遺伝子のいずれかにリピート伸長を有することが報告されている点などを踏まえ、診断基準の中に「遺伝学的検査」が盛り込まれています。

また多臓器疾患である「サルコイドーシス」(告示番号84)では、「心臓限局性」タイプに関する記載(診断基準など)を追加。

さらに左右の心室が入れ替わる遺伝性疾患である「修正大血管転位症」(告示番号208)に関しては、最新知見をもとに▼原因▼症状▼治療法▼予後▼診断基準—などを大幅に改変しています。

診断基準が見直される指定難病1(指定難病検討委員会1 220516)

診断基準が見直される指定難病2(指定難病検討委員会2 220516)

診断基準が見直される指定難病3(指定難病検討委員会3 220516)

診断基準が見直される指定難病4(指定難病検討委員会4 220516)

診断基準が見直される指定難病5(指定難病検討委員会5 220516)

診断基準が見直される指定難病6(指定難病検討委員会6 220516)

診断基準が見直される指定難病7(指定難病検討委員会7 220516)



また5月16日の部会では、次の4つの指定難病について、一般的に使用される病名への変更(告示病名の変更)を行う方針も固めました。

(i)現「成人スチル病」(告示番号54)→変更後「成人発症スチル病」(国際的にAdult-onset Still’s diseaseが、我が国でも一般的に成人発症スチル病が使用されていることを踏まえた見直し)

(ii)現「禿頭と変形性脊椎症を伴う常染色体劣性白質脳症」(告示番号123)→変更後「HTRA1関連脳小血管病」(近年の研究で「常染色体顕性遺伝(優性遺伝)症例が一定数存在する」「全症例でHTRA1遺伝子異常が存在し、原因となっている」ことや、国際的に使用される名称であることを踏まえた見直し)

(iii)現「ペリー症候群」(告示番号126)→変更後「ペリー病」(近年の研究で「TDP-43タンパク質の誤局在化・凝集化」が病態であることが解明され、国際的に「ペリー病」の名称が使用されるようになったことを踏まえた見直し)

(iv)現「マルファン症候群」(告示番号167)→変更後「マルファン症候群/ロイス・ディーツ症候群」(ロイス・ディーツ症候群は「マルファン症候群の一部」と扱われてきたが、原因遺伝子や臨床経過の点で特徴的であることが判明し、併記することが一般的なことを踏まえた見直し)



今後、水澤英洋委員長(国立精神・神経医療研究センター理事長特任補佐)と厚生労働省とで内容の精査を行ったうえで自治体等への周知やパブリックコメント募集を実施。そこに寄せられた意見も踏まえて内容を確定させたうえで、来年(2023年)に関係告示・通知の改正が行われます。



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