新型コロナが猛威振るう中、「保育所等が医療従事者の子ども預かりを拒否する」などの差別・偏見は許されない―厚労省
2020.4.23.(木)
新型コロナウイルス感染症対策等に医療従事者が尽力する中で、保育所等が「医療従事者の子どもの預かりを拒む」などの偏見・差別は許されない―。
厚生労働省は4月17日に事務連絡「医療従事者等の子どもに対する保育所等における新型コロナウイルスへの対応について」を示し、都道府県等にこうした点を強調しました(厚労省のサイトはこちら)。
保育所が休園等する場合でも「医療従事者の子ども等の預かり」対応を検討せよ
新型コロナウイルスの猛威はとどまるところを知らず、我が国でも感染患者が急増しています。安倍晋三内閣総理大臣は、感染拡大を防止し、医療提供体制を確保するために4月7日に新型インフルエンザ等対策特別措置法第32条第1項に基づいて緊急事態宣言を行うとともに、「緊急経済対策」を閣議決定。さらに4月16日には緊急事態宣言の対象を、従前の7都県(▼埼玉県▼千葉県▼東京都▼神奈川県▼大阪府▼兵庫県▼福岡県―)から、全国に拡大しています。
医療提供体制確保のためには、例えば▼新型コロナウイルス感染症患者を診療する重点医療機関の設定▼限られた医療資源を重症者等に重点化・集約化するための「軽症者等の宿泊施設・自宅での療養」▼診療報酬でのサポート―などの措置が行われていますが、併せて「マンパワーの確保」が極めて重要となります。
その中では、医療従事者をはじめ、社会機能を維持するために就業を継続することが必要な人の「子ども等の預かり」も重要テーマとなります。
新型コロナウイルス感染拡大を防止するために、保育所等が規模縮小や臨時休園するケースが少なくありません。しかし、医療従事者が「子どもを保育所に預けることができないので、出勤できない」となれば、医療提供体制の確保がままならなくなってしまいます。そこで厚労省は4月7日に事務連絡「緊急事態宣言後の保育所等の対応について」を示し、市町村等に対して「保育所等の規模縮小や臨時休園等を行う場合でも、医療従事者等の子ども預かりが必要な場合の対応を検討する」よう依頼しています。
今般の事務連絡では、感染患者数がさらに増加し、医療提供体制確保の重要性がますます高まっている状況を踏まえ、「子どもの預け先が無くなり、医療従事者等が自宅待機、休職、離職を余儀なくされるような状況が生じない」ように、この対応を徹底するよう自治体に強く求めています。
ところで、医療従事者が子どもを保育所等に預けようとした際に、保育所側から「医療従事者は新型コロナウイルス感染リスクが高く、その子どもも感染している恐れがある」などとして「預かりを拒否する」事例があると指摘されています。極めて由々しき事態で、決して許される対応ではありません。
この点について厚労省は、「医療従事者等は、感染防御を十分にした上で対策や治療にあたっている。新型コロナウイルス感染症の対策や治療にあたる医療従事者等の子どもに対する偏見や差別は断じて許されない」と強く指摘。自治体や保育所等の関係者に対して「このような偏見や差別が生じないよう十分配慮する」よう要請しています。
このほかにも、医療従事者に対して「入店の拒否」「タクシーの乗車拒否」などが生じていると指摘されます。新型コロナウイルス感染症をはじめとする医療確保のために粉骨砕身している医療従事者への差別・偏見は許されません。
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