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2018年6月の後発品割合は76.3%、徳島県のみ「70%」に到達せず―協会けんぽ

2018.10.24.(水)

 主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する協会けんぽにおいて、ジェネリック医薬品(後発品)の使用割合は、今年(2018年)6月時点で76.3%となり、前月から0.3ポイント上昇した。都道府県別に見ると沖縄県・鹿児島県・岩手県の3自治体で、政府の第2目標「80%以上」をクリアし、第1目標「70%以上」を達成できていないのは徳島県のみ(67.3%)となった―。

 こうした状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会が10月24日に公表した医薬品使用状況から明らかになりました(協会のサイトはこちら)。

直近1年間の上昇ペースが続けば、来年(2019年)1月に後発品割合80%をクリア

 高齢化の進展や医療技術の高度化などによって医療費が増加する一方で、現役世代が減少していくため、公的医療保険制度の基盤が脆弱になってきています。公的医療保険制度が崩壊、つまり「誰でも保険証1枚あれば低額の自己負担で医療を受けられる」仕組みがなくなれば、医療へのアクセスが大きく阻害され、我が国の健康水準は大きく低下してしまいます。

そこで、「医療費の伸びを我々国民の負担できる水準に抑える」(適正化)が非常に重要なテーマとなってきています。例えば▼平均在院日数の短縮による入院医療費の適正化▼後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進による薬剤費の圧縮▼医療機能の分化と連携の強化▼地域差(ベッド数、受療率、平均在院日数など)の是正▼健康寿命の延伸―などさまざまな角度から取り組みが進められています。

このうち後発品については、政府が▼2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とする(第1目標)▼2020年9月に80%以上とする(第2目標)―という2段階の目標値を設定するとともに、診療報酬・調剤報酬において各種加算の設定や充実などを行うなど、使用促進策が講じられています。

 「協会けんぽ」の運営主体である全国健康保険協会でも、従前から積極的に後発品使用促進に取り組んでおり、例えば、医療機関を受診し医薬品を処方された加入者個々人に宛てて「医薬品を先発品から後発品に切り替えれば、あなたの自己負担額は○○円軽減されます」といった通知の発出や、毎月の後発品使用割合の公表などを行っています。10月24日には、今年(2018年)6月の後発品使用割合が公表されました(前月(2018年5月)の状況はこちら)。

まず全体の後発品使用割合(新指標、調剤分)は、前月(2018年5月)から0.3ポイント上昇し、数量ベースで76.3%となりました。
協会けんぽの後発品割合(2018年6月)1 181024
 
第2目標「80%以上」との間には、3.7ポイントの開きがあります。直近1年間(2017年7月から2018年6月)では、単純計算で「1か月当たり0.56ポイント」のペースで後発品割合が上昇しています。仮に、このペースが継続すると仮定すれば、計算上は来年(2019年)1月に第2目標「80%」をクリアできることになります。ただし、昨年(2017年)1年間のように「後発品の使用が思うように進まない」状況に陥る可能性も決して否定できず、今後の動向を注視していく必要があります。

80%以上クリアは沖縄・鹿児島・岩手、70%未達は徳島のみ

 後発品割合は協会けんぽ全体では着実に上昇していますが、都道府県別に見ると、まだまだ大きなバラツキがあります。

 最も後発品割合が高いのは沖縄県で86.3%(前月から0.4ポイント上昇)、次いで鹿児島県の82.3%(同0.1ポイント上昇)、岩手県の82.2%(同0.2ポイント上昇)で高くなっています。第2目標「80%以上」をクリアしているのは3自治体のままです(2018年3月から3自治体)。

 逆に、最も低いのは徳島県で67.3%(同0.1ポイント上昇)で、第1目標「70%以上」すらクリアできていない自治体は、ついに徳島県のみとなりました(山梨県は前月から0.5ポイント上昇し70.4%となった)。
協会けんぽの後発品割合(2018年6月)2 181024
 
最高の沖縄県と最低の徳島県との間には、19.0ポイントの差があり、格差は広がってきています。医療費の膨張は、前述のように「医療保険制度の崩壊」をも引き起こす可能性があり、徳島県における一層の努力に注目が集まります。今年度(2018年度)からは、国民健康保険の財政責任主体が都道府県に移管されることから、「医療費適正化」はまさに「我が事」となります。先進県(沖縄県や鹿児島県、岩手県)の取り組みも参考に、後発品の使用促進に取り組むことが期待されます。

 
 
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