患者家族の要望で時間外等に治療方針等の説明を行う場合、特別料金徴収を可能とせよ―日病協
2019.3.25.(月)
患者の家族からの要望で、診療時間外や休日などに治療方針等の説明を行う場合、医療機関の判断で特別料金(選定療養)の徴収を認めるべきではないか―。
国立大学附属病院長会議や日本病院会、全日本病院協会など15の病院団体で構成される「日本病院団体協議会」では、こういった点を厚生労働省や中央社会保険医療協議会に提案する方針を固めました。
抗インフルエンザ薬の予防投与についても、選定療養への導入を再度提案
わが国の医療保険制度では、保険診療と保険外診療(自由診療)との併用は原則として認められていません(混合診療の禁止)。ただし、保険導入を目指す新規の医療技術(先進医療や治験など、『評価療養』)や、特別の病室の提供など被保険者の選定に係る費用(個室や予約など、『選定療養』)、傷病と闘う患者が適応外等の医薬品等使用を希望した場合(『患者申出療養』)については、例外的に保険診療との併用が可能です(保険外併用療養)。
このうち選定療養については、安倍内閣が2014年6月にまとめた日本再興戦略改訂2014の「対象の拡充を含めた不断の見直しを行う仕組みを構築する」旨の指示を受け、学会や国民からの提案を募り、中医協の意見も踏まえて適宜拡大することとされています。2016年度から診療報酬改定のタイミングでの拡大が行われており(関連記事はこちらとこちらとこちら)、2020年度の次期診療報酬改定に向けて、現在、医療関係団体や関係医学会、国民から「新たな選定療養」要望の募集が行われています(関連記事はこちら)。
日病協では今般、次の2点について「新たな選定療養」に追加してはどうかと提案する方針を固めました。
(1)患者の家族からの要望で、診療時間外や休日などに治療方針等の説明を行う場合の特別料金
(2)入院患者がインフルエンザに罹患した場合、患者の要望に基づいて抗インフルエンザ薬を予防投与する場合の費用
3月22日の代表者会議後に記者会見を行った山本修一議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長)は、(1)の時間外等の説明に関し、実際に特別料金を徴収するかどうかは病院の判断となるものの、「医師の働き方改革」に向けて必要な項目である旨を強調しています。
また(2)は、別室を準備できない場合に、院内でのインフルエンザまん延を防ぐための措置です。2018年度の診療報酬改定時にも「新たな選定療養」項目の1つとして提案されていますが、今般、改めての提案を行う方針が固められました(関連記事はこちら)。
さらに3月22日の日病協代表者会議では、10連休において▼一時的な患者像に伴ってオーバーベッドや人員配置要件を満たせなくなる場合の診療報酬施設基準の緩和▼レセプト受付期限の延長や、処方箋有効期間の延長―といった対応を取ってほしいとの要望を近く厚労省に要望する方針も正式に固めています(関連記事はこちら)。
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