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「医師働き方改革」を入院料引き上げ等で支援せよ、「A1・B3患者」を重症患者と継続カウントせよ―日病協

2019.11.22.(金)

2020年度の次期診療報酬改定に向け、「医師等の働き方改革」を支援するために入院基本料等を引き上げるべきである―。

また一般病棟用の重症度、医療・看護必要度における、「『A1点以上・B3点以上』で、『診療・療養上の指示が通じる』『危険行動』のいずれかに該当する患者」は、これまでどおり重症患者としてのカウントを継続すべきである―。

日本病院団体協議会は、11月22日の代表者会議でこうした内容を盛り込んだ緊急要望をまとめ、同日、厚生労働省保険局医療課の森光敬子課長らに提出しました。

11月22日の日本病院団体協議会・代表者会議後に記者会見に臨んだ、長瀬輝諠議長(日本精神科病院協会副会長、向かって右)と相澤孝夫副議長(日本病院会会長、中央)と池端幸彦診療報酬実務者会議委員長(日本慢性期医療協会副会長、向かって左)

看護補助者の評価を充実し、介護保険施設の介護職員とのバランス確保を

2020年度の次期診療報酬改定に向けた議論が中央社会保険医療協議会や社会保障審議会(医療保険部会、医療部会)で精力的に進められています。

そこでは、024年4月から「勤務医に対する、罰則付きの新たな時間外労働上限」(原則960時間以下、救急科や研修医などでは例外的に厳格な要件の下で960時間超1860時間以下とする)が適用される2ことなどを踏まえ、「医師等の働き方改革」をどう診療報酬でサポートするかが議論されています。

中医協では、森光医療課長から「多くの病院では『医師の増員』や『タスク・シフティング』を大胆に進めていく必要がある、そうした病院のマネジメントコストについて、新たに入院基本料等加算などを設定して手当てすることを考えてはどうか」という論点が提示されています。「多くの病院において、これまでと次元の異なる、医療従事者の負担軽減が必要となる」(医師はもちろん、タスク・シフティングを受ける他職種の負担軽減も進めなければならない)ことから、非常に重要な論点と言えます。

診療側委員はもちろんこの提案を歓迎していますが、支払側委員は「これから多くの医療機関で、さまざまな取り組みを進めることとなる。その内容は厚労省の検討会で別途詰められ(医師の働き方改革の推進に関する検討会など、そこでの議論に関する記事はこちらこちらこちら こちらこちらこちら)、現時点では明確になっていない」「医療機関が取り組みを進める中で、課題が明らかになってくる。そこで初めて『診療報酬でどうサポートすべきか』を検討するというのが筋道である」「状況が何ら明らかにならない段階で『とりあえずマネジメント部分だけ先付けで評価しよう』とするのは時期尚早である」と指摘。とくに幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「2020年度の次期診療報酬改定での対応には明確に反対する」と宣言しています。

また、診療報酬改定基本方針を議論する社会保障審議会・医療部会では、学識者代表の委員から「一般企業でも働き方改革は求められ、そこには何らの手当てがない。医療機関について診療報酬でサポートするためには、国民の十分な理解が必要である」との慎重論も出ています。

他方、11月13日の中医協総会に示された医療経済実態調査(うち医療機関等調査)では、「一般病院の決算は、2018年度改定以降、全体として若干の改善が見られるものの、国公立病院や特定機能病院では悪化しており、全体として依然、赤字基調である」ことが判明し、厳しい経営環境が続いていることが明らかとなっています。



日本病院会や全日本病院協会など15の病院団体で構成される「日本病院団体協議会」では、こうした状況を踏まえて、11月22日の代表者会議で「2020年度診療報酬改定に向けた緊急要望」を行うことを決定。次の4項目について、森光医療課長らに宛てて、同日に提出しています。日病協では、すでに2回の改定要望を厚労省に提出しており、今回の緊急要望はそれに続くものです(要望第1報に関する記事はこちら、要望第2報に関する記事はこちら)。

(1)「医師等の働き方改革」支援のため入院基本料の増額を求める

(2)医師事務作業補助者、看護補助者、病棟薬剤師の評価充実を求める

(3)地域包括ケア病棟について、本来の目的である▼急性期後患者への対応(post acute)▼在宅等患者の急変時などの受け入れ(sub acute)▼在宅復帰支援―の3点について、バランスよく機能することへの評価を求める

(4)一般病棟用の重症度、医療・看護必要度における「『A1点以上・B3点以上』で、『診療・療養上の指示が通じる』『危険行動』のいずれかに該当する患者」について、重症患者としての評価継続を求める


このうち(1)は前述したように、支払側委員等が「2020年度改定での対応に否定的である」点を牽制するものです。日病協・診療報酬実務者会議の池端幸彦委員長(日本慢性期医療協会副会長、福井県医師会長)は、「2020年度診療報酬改定では財源確保も厳しいようなので、これまで主張してこなかったが、支払側の動きを踏まえると、病院団体として『本来は入院基本料の引き上げが必要である』と改めて主張する必要があるとの意見で日病協代表者は一致した」と説明。中医協において森光医療課長は「新たな加算の創設」を匂わせていますが、池端委員長は「手法は厚労省にお任せしたい。大きな意味で、病院収入のベースとなる基本診療料(入院基本料や入院基本料等加算)の評価を引き上げるべきと考えている」と訴えています。

また(2)は、やはり「医師の働き方改革」において重要な「タスク・シフティングを受ける職種」の活躍について、診療報酬での評価充実を求めるものです。池端委員長は「介護保険施設であれば、【介護職員処遇改善加算】や新たな【特定処遇改善加算】によって介護職の給与引き上げが可能であるが、病院であれば『看護補助者』として評価・給与引き上げ等の対象とならず、処遇面で『差』が生じてしまっている」と指摘しています。

さらに(4)は、中医協総会や下部組織の「入院医療等の調査・評価分科会」で大きな議論となった点です。Gem Medでは「A1・B3+危険行動等」と表記してお伝えしていますが、診療側が「重症患者(看護必要度を満たす患者)としてのカウント継続」を求めている一方で、支払側は「急性期病棟の評価指標としての妥当性に疑問がある」との考えを示しています。中医協で今後も議論を深めていきますが、日病協の代表者会議では「重症患者としてのカウントを継続すべき」との考えで一致したことが池端委員長から報告されています。

 
 

 

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