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GemMed塾 大学病院本院群を取り巻く現況を解説 ~昨今の特定病院群・標準病院群の経営努力とは~

新型コロナ患者受け入れのための空床確保等で医療機関経営は逼迫、財政支援・補填を要請―日病・相澤会長

2020.4.24.(金)

新型コロナウイルス感染症患者を受け入れるために空床確保等を行った場合、医療機関の収益が減少し、経営悪化、ひいては地域医療の崩壊も招きかねない。新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる医療機関、受け入れる予定のある医療機関等について財政支援・補填を行ってほしい―。

日本病院会の相澤孝夫会長は4月23日に、加藤勝信厚生労働大臣に宛てて、こうした内容の要望書(新型コロナウイルス感染症への対応により経営的支援が必要な病院に対する措置に関する緊急要望書(第2報))を提出しました(日病のサイトはこちら)。

人的対応への支援、マスク等医療資材の確保も行ってほしい

新型コロナウイルスの猛威はとどまるところを知らず、我が国でも感染患者が急増しています。安倍晋三内閣総理大臣は、感染拡大を防止し、医療提供体制を確保するために4月7日に新型インフルエンザ等対策特別措置法第32条第1項に基づいて緊急事態宣言を行うとともに、「緊急経済対策」を閣議決定。さらに4月16日には緊急事態宣言の対象を、従前の7都県(▼埼玉県▼千葉県▼東京都▼神奈川県▼大阪府▼兵庫県▼福岡県―)から、全国に拡大しています。

医療提供体制に関しては、2月25日の「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」において、▼患者数増等を見据え、医療機関における病床や人工呼吸器等の確保を進める▼患者数が大幅に増えた状況では、一般医療機関の外来で、診療時間や動線を区分するなどの感染対策を講じた上で、新型コロナウイルス感染疑い患者を受け入れる▼高齢者や基礎疾患を有する者では、重症化しやすいことを念頭におき、より早期・適切な受診につなげる▼風邪症状がない高齢者や基礎疾患を有する者等に対する継続的な医療・投薬等については、感染防止の観点から、「電話による診療等により処方箋を発行する」など、極力、医療機関を受診しなくてもよい体制を構築する―などの考えを明確化。また、限られた医療資源を新型コロナウイルス感染症対策に重点化・集約化するために、「延期が可能な予定入院・予定手術については、延期を検討する」「新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる重点医療機関を設定する」ことなども求められています(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

ただし、こうした対応をとった場合には、医療機関経営に少なからぬ影響も出てきます。例えば予定入院・予定手術を延期し、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れるための「空床」を確保した場合、当該「空床」分について「収益の減少」が生じてしまいます。こうした事態が長引けば、医療機関経営が困難となり、地域医療に穴が開くことも考えられます。

そこで日病の相澤会長は、医療機関経営、地域医療提供体制を確保するために、次のような対応を行うよう加藤厚労相に要請したものです。

(1)新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる医療機関のみならず、自院で患者が発生した医療機関や、感染患者の受け入れを想定して予め準備をする医療機関では、予定手術・予定入院の延期、一般外来診療の縮小などの対応を迫られることから医業収益が減収となる。さらに特定健康診査等の延期により医業外収益も減収となることから、医療機関の経営的な影響は深刻である。地域の医療提供体制を維持するため、これらの対応をした医療機関への財政的な支援・補填を求める

(2)これらの医療機関は、本来であれば入院患者を受け入れることができるにもかかわらず、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れ体制の確保に伴いベッドを空けておかなければならない。これらの対応をした場合はその空床確保分の減収について補償を求める。

(3)これらの医療機関は、一般の患者と感染患者等とで、待合室や診療室、動線などを区分し必要に応じ隔離しなければならず、また新型コロナウイルス対応の専従の医師や看護師をはじめとする医療従事者の確保なども必要となる。人的な対応にかかる経費の補償を求める

(4)これらの医療機関は、コロナ対応という非常時の病院運営体制のため診療報酬上の施設基準の要件を維持することが困難である。このような状況を踏まえ、要件を満たせなくても継続して算定できるよう、事態が終息するまで全面的な要件緩和を求める

(5)新型コロナウイルス感染症対策推進本部の「行政検査を行う機関である地域外来・検査センターの都道府県医師会・郡市区医師会等への運営委託等について」(4月15日)により、かかりつけ医の判断で保健所を介さずにPCR検査を受けられるようになり、検査体制の確立が図られたところであるが、病院は患者や医療従事者への院内感染対策を講ずるとともに救急患者の受け入れ体制を維持する必要もある。病院医師が必要と判断した場合に民間検査機関等に速やかに検査依頼ができるよう、PCR検査体制の更なる改善を求める

(6)今般のコロナ禍において、感染症指定医療機関のみならず多くの医療機関で医療物資が安定的に供給されず、必要にして十分な医療を提供できない。人工呼吸器のほかにも、特に感染防御に必要な医療用マスク、ゴーグル、フェイスシールド、長袖ディスポーザブルガウン、手袋、消毒用アルコール、防護服などは医療者が安全に医療に専念できるように国が責任をもって供給体制を整備することを求める(関連記事はこちらこちら



病院ダッシュボードχ 病床機能報告MW_GHC_logo

 

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