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2022年度診療報酬改定に向け「回復期リハビリ病棟」のリハビリについて包括評価を検討せよ―日慢協・武久会長

2020.10.9.(金)

回復期リハビリテーション病棟におけるリハビリテーションについて、包括評価を導入すべきではないか。アウトカム評価であるリハビリテーション実績指数があることから、リハビリテーションに力を入れない病棟は淘汰されていくので、粗診粗療の心配もない―。

2020年度診療報酬改定では回復期リハビリテーション病棟の入院患者について、「発症後・手術後2か月以内」の要件が廃止され、急性期からの回復に時間のかかる患者や在宅・施設療養中でリハビリテーションが必要な患者の受け入れが可能となった。これに合わせて、療養病棟の医療区分2の「リハビリテーションが必要な状態」についても「発症から30日以内」という要件を廃止してはどうか―。

日本慢性期医療協会の武久洋三会長・池端幸彦副会長・橋本康子副会長は、10月8日にオンラインでの記者会見を開催し、こうした考えを強調しました。

10月8日のオンライン記者会見に臨んだ、日本慢性期医療協会の武久洋三会長(下段)、池端幸彦副会長(上段向かって左)、橋本康子副会長(上段向かって右)

回復リハビリ病棟の要件見直しで、急性期から回復に時間がかかる患者等の受け入れ進む

2020年度の診療報酬改定では回復期リハビリテーション病棟入院料について、次のような見直しが行われました(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。
(1)施設基準の1つであるリハビリテーション実績指数の厳格化(より効果の高いリハビリ提供を求める)
(2)入院料1について管理栄養士配置を義務化し、入院料2-6でも努力義務とする
(3)リハビリテーション実績指数のベースとなる入院時のFIM(ADLの状態評価)と目標とするFIMについて、リハビリテーション実施計画書をもとに患者・家族に説明する
(4)入院患者について、「発症からの期間」要件を廃止する

2020年度診療報酬改定における回復期リハビリ病棟入院料の見直し概要1

2020年度診療報酬改定における回復期リハビリ病棟入院料の見直し概要2

2020年度診療報酬改定における回復期リハビリ病棟入院料の見直し概要3

2020年度診療報酬改定における回復期リハビリ病棟入院料の見直し概要4



このうち(4)については、従前、発症後・手術後早期に短期集中的なリハビリを開始することがADL等の改善にとって効果的であることを踏まえ、「発症後または手術後2か月以内に入棟する」ことが求められていました(2か月要件、ただし定員の2割までは当該要件等を満たさない患者を受け入れられる規定あり)。しかし、この要件のために、例えば「急性期病棟での治療・回復期が長引いた脳血管疾患等の患者が、回復期リハビリテーション病棟に入棟できない」などの弊害が生じていることなどから、中央社会保険医療協議会において「2か月要件の廃止」が決まりました。

回復期リハビリテーションを要する状態等の概要(中医協総会(2)2 191206)



日慢協の武久会長は、この見直しを歓迎。急性期からの回復に時間がかかる患者のほか、「在宅療養、施設療養中の患者が、急性増悪等し、短期・集中的なリハビリが必要な状態に陥った場合でも、回復期リハビリテーション病棟で受け入れ、効果的なリハビリを実施できる」という効果も出ているといいます。このため武久会長は、回復期リハビリテーション病棟の名称を「リハビリテーション集中病棟」などに改称してはどうか、と進言しています。

医療区分2の「リハビリが必要な状態」についても、30日要件を廃止すべき

この見直しに関連して武久会長は「療養病棟における医療区分2の見直し」を提案しました。療養病棟の入院患者については「医療区分」と「ADL区分」で評価を行い、例えば療養病棟入院基本料1では「医療区分2・3の患者割合が80%以上」、基本料2では「同じく50パーセント以上」いう施設基準が設けられています。

このうち医療区分2には、▼筋ジストロフィー患者▼透析患者―などのほか、「傷病等によりリハビリテーションが必要な状態」の患者も該当しますが、「原因となる傷病等の発症後30日以内の場合で、実際にリハビ リテーションを行っている場合に限る」との制限が設けられています。この療養病棟における「30日制限」を、回復期リハビリテーション病棟に倣って「廃止する」ことを武久会長は提案しているのです。

この点、池端副会長も「療養病棟における医療区分2・3患者割合は今後『80%以上』に収斂していくであろう。その際、リハビリテーションが必要だが、『発症から30日を超えてしまっている』患者の行き場がなくなってはいけない」とコメントしています。現在の規定では、発症から30日を超えてしまえば、リハビリテーションが必要であっても医療区分2には該当しません。基準の厳格化が進む中では、こうした患者の受け入れを躊躇する病院が出かねないと武久会長・池端副会長は心配しています。

FIM評価の客観性担保するため、患者の状態を「動画撮影」してはどうか

ところで「2か月要件」の廃止によって「早期のリハビリ実施が後退するのではないか」とも心配されます。この点、2020年度診療報酬改定の総指揮を執った当時の厚生労働省保険局医療課の森光敬子課長は、▼回復期リハビリテーション病棟入院料には算定日数制限が設けられている▼施設基準の1つにあるリハビリテーション実績指数は早期のリハビリ開始ほど高くなる傾向にある—ことから、早期リハビリの後退は生じないとの考えを提示しています。

この点に関連して、リハビリテーション実績指数に関して、ベースとなるFIMの評価について「一部に不適切な操作がなされている」(例えば入院時のFIM評価を実際よりも低く記録するなど)可能性があります。このために上述の(3)のような見直しが行われました。例えば、医師が「●●はできない」などと不適切に実際よりも低く記録した場合には、患者・家族が「先生、私は●●は可能です」と訂正を求めることにより適正化が図られると期待されるのです(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

もちろん、「この見直しでは不十分である」との指摘もあり、実際に不適切事例が今後も生じるようであれば、より厳しい見直しが行われることでしょう。この点について武久会長は「動画撮影を行い、客観的に検証できる仕組みとしてはどうか」と改めて提案しています。昨今ではスマートフォンなどでも手軽に動画撮影が可能なことを踏まえた提案です。2022年度の次期診療報酬改定で論点になる可能性もありそうです。

回復期リハビリ病棟のリハビリは包括評価としてはどうか

また武久会長・橋本副会長は、リハビリに関する規定が細かすぎることから「そろそろリハビリに関する包括評価を導入してはどうか」とも提案しています。包括評価となれば「粗診粗療」(つまりリハビリに力を入れない)の病院が出てくることが懸念されますが、回復期リハビリテーション病棟には上述した「リハビリテーション実績指数」というアウトカム評価が導入されているため、「リハビリに力を入れず、ADL改善効果が出ていない病棟」は淘汰されると考えることもできます。この点も2022年度の次期診療報酬改定に向けた論点となる可能性があるでしょう。



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