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診療報酬改定セミナー2022 新型コロナ対策

2021年度介護報酬改定の効果検証調査、「現場の声・回答」がなければ「改善」につなげられない―介護給付費分科会

2021.9.30.(木)

2021年度に実施された介護報酬改定の効果を検証するため、今年度(2021年度)に▼介護医療院等の状況(退所先、医療的処置の内容など)▼LIFEデータベースの利活用状況―などを調査する―。

回答率の低さは、現場の関心・意識の低さを表す。現場の声が寄せられなければ、改善(制度や報酬)につなげられない。積極的に調査に協力してほしい―。

9月27日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会で、こういった調査内容が概ねで了承されました。

10月にも調査が実施され、来年(2022年)3月に調査結果が公表されます。この調査結果、さらには今後の2022年度・23年度調査結果をベースに、2024年度に予定される介護報酬改定(診療報酬との同時改定)議論が進められます。

LIFEは始まったばかり、5年ほどかけて育てていく必要がある

今年度(2021年度)には3年に一度の介護報酬改定が行われ、例えば「介護人材不足を踏まえた人員基準等の緩和」や「科学的介護実現のためのLIFEデータベースの推進」「質の高い訪問看護に向けたリハビリ専門職による訪問看護の抑制」などが柱に据えられました。

●人員基準見直しなどに関する記事はこちら
●訪問看護に関する記事はこちら
●介護医療院に関する記事はこちら
●居宅介護支援に関する記事はこちら
●ADL維持等加算などに関する記事はこちら
●データベースの利活用に関する記事はこちら
●リハ・口腔・栄養等に関する記事はこちら
●処遇改善加算等に関する記事はこちら



このように介護報酬改定の目的の1つに「介護現場の課題を解決し、介護の質を向上させる」ことがあります。このためには「改定によって課題解決が進んでいるのか」を常に検証していくことが求められ、効果検証調査が行われます。ただし、改定の効果・影響がすぐに出る項目と、比較的時間がかかる項目とがあるため、調査は▼改定年度(2021年度改定に関しては2021年度)▼改定翌年度(同2022年度)▼改定翌々年度(同2023年度)―に分けて行われます。改定年度には「すぐに効果の現れる」項目を、時間のかかる項目については「翌年度、翌々年度」という具合に分担するイメージです。

2021年度には次の4項目の調査を行うこととなっています(関連記事はこちらこちら)、

(1)介護医療院におけるサービス提供実態等
(2)LIFE を活用した取組状況の把握、および訪問系サービス・居宅介護支援事業所における LIFE の活用可能性
(3)文書負担軽減や手続きの効率化による介護現場の業務負担軽減
(4)福祉用具貸与価格の適正化

すでに下部組織の検証・研究委員会では具体的な調査内容(対象、調査項目、調査票など)が議論し、例えば、(1)の介護医療院等に関する調査では「地域貢献活動の状況」などを、(2)のLIFEに関する調査では「介護記録ソフトからLIFEへのデータ転送状況」などを詳しく聞く形に若干修正。この修正版に基づいた議論が9月27日の介護給付費分科会で行われました。とりわけ(2)のLIFEに関する調査に対し数多くの意見が出ており、注目の高さが伺われます。

例えば、小泉立志委員(全国老人福祉施設協議会副会長)や東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)は、会員(特養ホーム、老健施設)への調査から、LIFE導入への課題として▼入力負担▼活用への不安―を挙げる声が多いことを紹介。今後のLIFE導入・活用に向けた「課題」や「解決方法」が見えるような調査に期待を寄せました。

介護事業所・施設の中には介護記録ソフトを導入し、そこからLIFEで提出が求められるデータ(栄養、リハビリなど)を自動抽出・転送することが可能なところもあります。しかし、ソフトの仕様はさまざまでLIFEとのデータ互換性が必ずしも十分ではありません。このため、多くの事業所・施設でLIFEデータを手入力(データのすべて、あるいはデータの一部)しなければならないのが実態です。

関連して田中志子委員(日本慢性期医療協会常任理事)は「入力の手間に関し、『最初はたいへんだったが、時間の経過・ソフト改善などにより簡便になってきた』ことなどがわかるような質問項目を追加してはどうか」と提案。厚労省老健局老人保健課の平子哲夫課長も「修正を検討する」と回答しています。

LIFEの入力に関する負担を詳しく調査する(介護給付費分科会 210927)



また、LIFEは「データ提出」を目的に導入するものではありません。介護の質向上を目指し、▼事業所・施設がデータを提出する→▼国でデータを集積・解析する→▼解析結果を事業所・施設にフィードバックする→▼フィードバック結果を踏まえて、事業所・施設でサービス改善に取り組む―ことが目的であり、こうしたPDCAサイクルを回すことまでが、加算(科学的介護推進体制加算など)の算定要件に組み込まれています。

今年(2021年)3月下旬には約5万4000の介護施設・事業所がLIFEに参加していますが、現時点では「集計結果のフィードバック」にとどまっており、例えば「居宅介護支援事業所(ケアマネ事業所)において、フィードバック結果を踏まえてケアプランを改善する」と言った活用までには至っていません。江澤和彦委員(日本医師会常任理事)は「現時点ではPDCAサイクルを回すことはできない。データ数も限られる中で、十分な解析ができず、そのフィードバック結果をもとにPDCAサイクルを回すことは危険でもある」とし、LIFE活用の黎明期である点への配慮が必要と指摘しています。

今後、事業所・施設と国とが、「どういったフィードバックをすればサービスの質改善につながるのか」「フィードバック結果をどう活用すればよいのか」と試行錯誤を繰り返しながらLIFEを育てていくことが重要です。この点、松田晋哉委員(産業医科大学教授)は「LIFEは始まったばかりで、データ提出項目等の標準化も十分ではない。まず動かし、その中で改善を繰り返していくことが現実的であろう。5年ほどの時間を見る必要がある」とコメントしています。


このように、重要となるのがLIFEに数多くの事業所・施設が参画することです。悉皆性の高いデータが集まらなければ、「真の姿」を見ることができず、それだけ「質の高い、科学的根拠に基づいた介護」の実現に遅れがでてくるためです。

さらに視野を広げれば、今般の効果検証調査を含め、各種の調査に数多くの事業所・施設が参加することも極めて重要です。

松田委員は、この点について「各種の調査は、介護現場を改善するために行っている。回答率・参加率の低さは、皮肉な言い方になるが『介護現場の関心の低さ』を表している。回答の負担があることは承知しているが、負担軽減に向けて我々も努力している。現場から声を寄せてもらえなければ、改善につなげていけない」と訴え、調査への協力を強く呼びかけました。

関連して田辺国昭委員(国立社会保障・人口問題研究所所長)は「現場の負担を軽減し、回収率を高めるため、今後はWEBを活用した調査を検討してほしい」と厚労省に要請しています。



委員から寄せられた意見を踏まえて、厚労省と田中滋分科会長(埼玉県立大学理事長)とで調査票を最終調整。10月から調査が実施され、来年(2022年)3月に調査結果が公表されます。この調査結果、今後の2022年度・23年度調査結果をもとに、2024年度に予定される介護報酬改定(診療報酬との同時改定)議論が進められることになります。



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