介護職員処遇改善補助金、2・3月分を一時金対応した場合でも要件満たせばベースアップ分に含めてよい―厚労省
2022.2.25.(金)
2-9月を対象とする新たな「介護職員の処遇改善」に向けた補助金が交付され、「全体の3分の2以上をベースアップ等に充てる」ことが求められている―。
この点、「2月・3月分の賃金改善を一時金で行う」としても、一定の要件を満たせば、その一部を「ベースアップによる賃金改善」と見做すことを認める―。
厚生労働省は2月22日に事務連絡「『介護職員処遇改善支援補助金に関するQ&A(Vol.2)(令和4年2月22日)」』の送付について」を示し、こうした点に留意するよう介護サービス事業所・施設や自治体に呼びかけました(厚労省サイトはこちら、1月31日に示されたQ&A(Vol.1)の記事はこちら)。
「全体の3分の2はベースアップ等に充てる」ことが補助金支給要件の1つ
昨年(2021年)11月19日に閣議決定された新たな「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」、12月20日に成立した2021年度補正予算において、「介護職員について、賃上げ効果が継続される取り組みを行うことを前提として、収入を3%程度(月額9000円)引き上げるための措置(補助金交付)を来年2月(2022年2月)から9月まで実施する」ことが決まりました。厚生労働省は、社会保障審議会・介護給付費分科会委員の意見も踏まえて制度設計を進めています(関連記事はこちら)。
また12月22日の後藤茂之厚生労働大臣・鈴木俊一財務大臣合意において、「10月以降は介護報酬で同様の処遇改善(介護職員の収入を3%程度改善できる処遇改善)を行う」方針も決まりました。これを受け、介護給付費分科会で「2-9月の補助金を引き継ぐ形で、新たな処遇改善加算を創設する」方向で議論が進められています(関連記事はこちらとこちら)。
前者の「2―9月の補助金」について概要を振り返ると、次のように整理できます。
【対象事業所】
▽次のいずれも満たす介護サービス事業所・施設
(1)今年(2022年)2月サービス提供分以降に介護職員処遇改善加算(I)(II)(III)のいずれかを取得している
(2)今年(2022年)2・3月(つまり2021年度中)から実際に賃上げを行っている(3月中(つまり2021年度中)に2月分も含めて賃上げを行っていればよい)
【対象職種】
▽介護職員
▽事業所判断で、他職員の処遇改善に補助金収入を充てられるような柔軟運用が可能
【補助金額】
▽対象事業所・施設の介護職員(常勤換算)1人当たり月額平均9000円の賃金引き上げに相当する額
→「各事業所・施設の総報酬」×「対象サービスごとの交付率」で計算する
【留意点】
▽賃上げ効果の継続に資するよう「補助額の3分の2以上を介護職員等のベースアップ等に用いる」(3分の1以下は一時金等でも可)
今般の事務連絡では、この「2―9月の補助金」について、介護現場の疑問に答えています(1月31日に示されたQ&A(Vol.1)の記事はこちら)。
まず、今年(2022年)2月・3月分の賃上げについては「一時金での対応」が可能ですが、 Q&A(Vol.1)で明示されたとおり「2―9月の8か月間の賃金改善額の3分の2以上を『ベースアップ等』に充てる」ことが必要などの縛りがあります。「一時的な賃上げにとどまらず、継続的な賃上げ」を実現するための要件・縛りと言えます。
この点、2・3月分について一時金で対応する場合でも、次のような要件を満たせば「当該改善分(一時金対応分)をベースアップ等による賃金改善として取り扱う」ことが可能である旨が示されました。
▽一時金での対応が「単に就業規則等の改定がなされていないことのみの違いである」など、 今年(2022年)4月分以降に行うベースアップ等による賃金改善を見越した対応であること
▽ただし、一時金による賃金改善のうち「今年(2022年)4-9月のベースアップ等による賃金改善分に相当する額」のみが、「ベースアップ等による賃金改善分」に含められる
▽例えば、4月以降のベースアップ等による賃金改善額平均が月7000円で、2月・3月分の一時金による賃金改善が1万8000円である場合には、ベースアップ等による賃金改善分に含めることが可能なのは「2か月分の1万4000 円(7000円×2)までとなる(この1万4000円を含めて、ベースアップ等による賃金改善全体が、補助金全体の3分の2以上となっていなければならない)
また、本補助金の支出事務を「都道府県から国民健康保険団体連合会に委託する」ことについて、厚労省と総務省の間で地方自治法施行令の「非常災害のため即時支払を必要とする経費」として認められることが明示されています。
【関連記事】
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