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GemMed塾 新制度シミュレーションリリース

2018年度からの介護保険事業計画、目指すべき目標に近づくように策定を―厚労省・老健局

2017.3.10.(金)

 2018年度から第7期介護保険事業(支援)計画がスタートする。計画策定に当たって市町村は、現状の実績を将来人口にスライドさせた自然体推計だけでなく、「目指すべき目標」を明示し、その実現に向けた施策を反映させる必要がある―。

 10日に開かれた2016年度の「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議」で、厚生労働省老健局介護保険計画課の竹林悟史課長は、このように求めました。

3月10日に開催された、2016年度の「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議」

3月10日に開催された、2016年度の「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議」

2025年の介護サービス量を見込み、地域医療構想との整合性確保を

 この会議は、厚労省老健局の幹部が都道府県に対し、次年度の重要施策について詳細に説明する会議です(関連記事はこちらこちら)。現在、国会に上程されている介護保険法改正案(地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案)や、2018年度からスタートする第7期介護保険事業(支援)計画などについて、都道府県の担当者に対し詳細な説明が行われました。

 介護保険制度では、3年を1期としてサービス整備量を見込み、これを賄うための保険料を設定します。この見込み量やサービス整備に向けた施策などを市町村が「介護保険事業計画」として、市町村の支援などについて都道府県が「介護保険事業支援計画」として策定します。厚労省は、計画作成の拠り所となる基本指針を都道府県・市町村に示すこととしており、2月27日に開かれた社会保障審議会・介護保険部会で基本指針策定に向けた議論が行われています。

 10日の会議で竹林介護保険計画課長は、計画策定に向けた基本的な考え方や重要留意点を詳説しています。

 メディ・ウォッチでもお伝えしているとおり、2018年度からは、地域包括ケアシステムの構築に向けて、医療計画と介護保険事業(支援)計画のサイクルが揃えられます。このため、両計画の整合性確保が極めて重要となり、竹林介護保険計画課長は「高度急性期から在宅医療・介護までの一連のサービス提供体制の一体的な確保を図ることが必要」と強調。さらに、「第7期計画でも2025年度を見据える必要がある。2015-17年度の介護給付実績などを踏まえつつ、2018-21年度の第7期計画期間中の市町村の取り組みを基礎として、2025年度における介護サービス量を推計する必要がある。その際、地域医療構想(2025年度における医療機能ごとの必要病床数を記載)とも整合性が取れたものとすることが重要」と説明しました。

 なお、医療計画・介護保険事業(支援)計画の上位指針となる改訂総合確保方針では、両計画の整合性を図るために、都道府県、市町村、医療・介護関係者が集う「協議の場」を設置するよう指示。竹林介護保険計画課長は、都道府県担当者に対し「『支援計画(都道府県が作成)はこのように作成する考えである』と市町村担当者に情報提供するなど、事業計画(市町村が作成)の作成段階から連携してほしい」と要望しています。

自立支援・重度化予防に向け、市町村が地域マネジメントを実施

 また介護保険法改正案の柱の1つにも据えられているように、保険者(市町村)において次のようなPDCAサイクルを回し自立支援・重度化予防を推進することが求められます。竹林介護保険課長は「このPDCAサイクルを『地域マネジメント』と呼んでいる」と紹介しました。

▼各保険者で、地域の実態把握・課題分析を行う

 ↓

▼実態把握・課題分析を踏まえ、地域の共通目標を設定して、関係者で共有。さらに目標達成に向けた具体的な計画を作成する

 ↓

▼計画に基づき、地域の介護資源発掘や基板整備、多職種連携の推進、効率的なサービス提供も含め、自立支援・介護予防に向けた取り組みを推進する

 ↓

▼取り組みの実績を評価した上で、必要な計画の見直しを行う

 ただし、市町村自ら地域マネジメントを行うことが困難な場面も考えられます。このため都道府県に対し、積極的な市町村への支援が期待されます。なお、介護保険法改正案では、自立支援・重度化予防に積極的に取り組む市町村、市町村へ積極的に支援を行う都道府県に対し、新たな財政的インセンティブ(交付金)が創設されます。また、2017年度予算では「都道府県から専門的な知識を有する有識者などを市町村に一定期間派遣し、計画作成などに関するアドバイスを行う」事業を、全都道府県で実施することになっています。

改正案の概要

改正案の概要

将来推計に当たっては、「目指すべき姿」に向けた施策の反映を

 ところで介護保険制度は2000年度からスタートしており、2018年度からの第7期計画は過去の実績の上に建てられるものです。そこで竹林介護保険計画課長は、「計画策定に当たって市町村は、現状の実績を将来人口にスライドさせた自然体推計だけでなく、「目指すべき目標」を明示し、その実現に向けた施策を反映させる必要がある」と強調。施策立案にあたっては、▼自治体独自の調査結果▼地域ケア会議で把握された地域課題▼国から提示されるデータ―などを材料として、「幅広い関係者で議論」することが重要です。

 国から提示されるデータとしては、▽介護予防・日常生活圏域ニーズ調査結果▽在宅介護実態調査結果▽地域包括ケア「見える化」システムのデータ―などがあります。

 地域包括ケアシステム「見える化」システムには、段階的に将来推計機能が搭載されてきており、介護保険事業(支援)計画作成のための重要ツールとなりますが、システムの利用状況については、保険者(市町村)の間で利用状況に大きなバラつきがあります。竹林介護保険計画課長は、「都道府県によるシステムの伝達講習会の開催度合いと、管内市町村のシステム利用状況には一定の関係があるようだ。都道府県におかれては積極的に講習会を開催してほしい」と訴えています。

 
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