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外来診療 経営改善のポイント 看護必要度シミュレーションリリース

画期的抗がん剤のオプジーボやキイトルーダに「血球貪食症候群」の副作用―厚労省

2019.2.15.(金)

 優れた抗がん剤に新たな重大な副作用が判明しており、投与に当たっては患者の状態を十分に把握する必要がある。オプジーボ(ニボルマブ)とキイトルーダ(ペムブロリズマ)には「血球貪食症候群」、イブランスカプセル(パルボシクリブ)には「間質性肺疾患」ハーセプチン(トラスツズマブ)には「腫瘍崩壊症候群」の、副作用が判明している―。

厚生労働省は2月12日に通知「『使用上の注意』の改訂について」を発出し、こうした情報提供を行いました(厚労省のサイトはこちら)。

 
 今般、新たに重大な副作用などが判明したのは次の6医薬品です。厚労省は製薬メーカーに対して速やかに「使用上の注意」を改訂するよう指示しました。薬剤部から院内各部門へ、迅速かつ適切な情報提供・共有が求められます。

(1)ゴーシェ病の諸症状(貧血、血小板減少症、肝脾腫、骨症状)改善に用いる「エリグルスタット酒石酸塩」(販売名:サデルガカプセル100mg)

▽【禁忌】の項における「次に掲げる患者[本剤の血中濃度が大幅に上昇するおそれ]」を、以下のように改める

「本剤の血中濃度が大幅に上昇するおそれがある以下の患者」
(1)チトクロームP450(CYP)2D6の活性が通常(Extensive Metabolizer、EM)で、以下に該当する患者
・中等度以上の肝機能障害(Child-pugh分類BまたはC)がある
・軽度肝機能障害(Child-pugh分類A)があり、「中程度以上のCYP2D6阻害作用を有する薬剤」を使用中
・軽度肝機能障害(Child-pugh分類A)があり、「弱いCYP2D6阻害作用を有する薬剤」と「中程度以上のCYP3A阻害作用を有する薬剤」の両方を使用中
・肝機能が正常で、「中程度以上のCYP2D6阻害作用を有する薬剤」と「中程度以上のCYP3A阻害作用を有する薬剤」の両方を使用中

(2)CYP2D6の活性が低く(Intermediate Metabolizer、IM)、以下に該当する患者
・肝機能障害(Child-pugh分類A、BまたはC)がある
・肝機能が正常で、「中程度以上のCYP3A阻害作用を有する薬剤」を使用中

(3)CYP2D6の活性が欠損し(Poor Metabolizer、PM)、以下に該当する患者
・肝機能障害(Child-pugh分類A、BまたはC)がある
・肝機能が正常で、「中程度以上のCYP3A阻害作用を有する薬剤」を使用中

 
▽【用法・用量に関連する使用上の注意】の項の「CYP2D6遺伝子型の確認」に関する記載について、「本剤投与開始前にCYP2D6遺伝子型、肝機能および併用薬剤を確認する。また、本剤投与中も肝機能および併用薬剤の状況に注意する」旨と改める

 
▽「用法・用量の調整」に関する記載を、次のように改める
・CYP2D6の活性が通常の患者(EM)では、下表を参考に、1回投与量を100mgとして用法・用量の調整を行う。なお、中等度以上の肝機能障害(Child-pugh分類BまたはC)がある患者には投与しない
使用上の注意改訂1 190212
 
・CYP2D6の活性が低い患者(IM)では、下表を参考に、1回投与量を100mgとして用法・用量の調整を行う。なお、肝機能障害(Child-pugh分類A、BまたはC)がある患者には投与しない
使用上の注意改訂2 190212
 
・CYP2D6の活性が欠損している患者(PM)には、本剤の血中濃度が上昇するため投与を避けることが望ましいが、投与する場合は「1回100mg・1日・1回」投与を目安とし、慎重に投与する。ただし、肝機能障害(Child-pugh分類A、BまたはC)がある場合、または「中程度以上のCYP3A阻害作用を有する薬剤」を併用する場合は投与しない

・(注)CYP2D6阻害作用を有する薬剤とCYP3A阻害作用を有する薬剤については「相互作用」の項を参照し、禁忌または用法・用量の調整が必要な薬剤に該当するかを確認する

 
▽[相互作用]の「併用禁忌」の項に、<CYP2D6の活性が通常の患者(EM)で軽度肝機能障害(Child-pugh分類A)がある患者>において、▼中程度以上のCYP2D6阻害作用を有する薬剤▼弱いCYP2D6阻害作用を有する薬剤と中程度以上のCYP3A阻害作用を有する薬剤の両方を併用▼クラスIa抗不整脈薬(キニジン、プロカインアミド等)、クラスIII不整脈薬(アミオダロン、ソタロール等)、ベプリジル塩酸塩―を追記する

 
(2)HER2過剰発現が確認された乳がん・HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃がん癌治療に用いる「トラスツズマブ(遺伝子組換え)」(販売名:ハーセプチン注射用60、同150)、「トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続1]」(販売名:トラスツズマブBS点滴静注用60mg「NK」ほか)、「トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続2]」(販売名:トラスツズマブBS点滴静注用60mg「第一三共」ほか)、「トラスツズマブ(遺伝子組換え)[トラスツズマブ後続3]」(販売名:トラスツズマブBS点滴静注用60mg「ファイザー」ほか)

▽新たな【重大な副作用】:腫瘍崩壊症候群(血清中電解質濃度および腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析など)を行うとともに、症状回復まで患者の状態を十分に観察する)

 
(3)▼悪性黒色腫▼切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん▼根治切除不能または転移性の腎細胞がん―などの治療に用いる「ニボルマブ(遺伝子組換え)」(販売名:オプジーボ点滴静注20mg、同100mg、同240mg)

▽新たな【重大な副作用】:血球貪食症候群

▽既存の【重大な副作用】である「重篤な血液障害」について、「免疫性血小板減少性紫斑病」のほかに、新たに▼溶血性貧血▼無顆粒球症―などの重篤な血液障害を追記する

 
(4)手術不能または再発乳がんの治療に用いる「パルボシクリブ」(販売名:イブランスカプセル25mg、同125mg)

▽【重要な基本的注意】の項に、「間質性肺疾患が現れることがあるので、本剤投与にあたっては、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認および胸部X線検査の実施などを行い、患者の状態を十分に観察する。必要に応じて胸部CT、血清マーカー等の検査を実施する」旨を追記する

▽新たな【重大な副作用】:間質性肺疾患

 
(5)▼悪性黒色腫▼切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん▼がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形癌(標準的な治療が困難な場合)―などの治療に用いる「ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)」(販売名:キイトルーダ点滴静注20mg、同100mg)

▽新たな【重大な副作用】:血球貪食症候群

▽既存の【重大な副作用】である「重篤な血液障害」について、「免疫性血小板減少性紫斑病」「溶血性貧血」「赤芽球癆」のほかに、新たに「無顆粒球症」を追記する

 
(6)C型慢性肝炎治療、またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善に用いる「グレカプレビル水和物・ピブレンタスビル」(販売名:マヴィレット配合錠)

▽【重要な基本的注意】の項に、「肝機能障害、黄疸が現れることがあり、定期的に肝機能検査を行うなど、観察を十分に行う」旨を追記する

▽新たな【重大な副作用】:肝機能障害、黄疸(AST、ALT、ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸が現れることがある)

 
 
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