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難病対策の見直し、大前提は「公平性、制度の安定性」の確保—難病対策委員会

2019.7.2.(火)

 2020年1月に向けて難病等制度の見直しを検討する。医療費助成の対象疾患をどうするのか、重症度の基準をどう考えるのか、などさまざまな論点が浮上しているが、議論の大前提として「公平性、制度の安定性」確保がある―。

6月28日に開催された厚生科学審議会・疾病対策部会「難病対策委員会」と、社会保障審議会・児童部会「小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会」との合同会議で、今後の論点整理が行われ、その中でこうした意見が多数だされました(関連記事はこちら)。

6月28日に開催された、「第63回 厚生科学審議会 疾病対策部会 難病対策委員会」と「第39回 社会保障審議会 児童部会 小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会」の合同開催

6月28日に開催された、「第63回 厚生科学審議会 疾病対策部会 難病対策委員会」と「第39回 社会保障審議会 児童部会 小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会」の合同開催

 

難病等制度の施行から5年経過を控え、初の見直しを検討

「指定難病への医療費助成」や「難病医療体制の構築」などの難病対策は、2015年1月に施行された難病法(難病の患者に対する医療等に関する法律)に基づいて実施されています。難病法の附則では、「施行後5年以内を目途に、施行状況を勘案して必要があれば見直しに向けた検討を行う」旨が規定されており、また、いわば小児の難病である「小児慢性特定疾患」対策を規定する改正児童福祉法でも、同様の見直し規定があることから、厚労省は施行から5年を迎える来年(2020年)1月をゴールとして、難病等の制度見直しに向けた検討を合同会議で始めています。

6月28日の会合では、自治体等からヒアリングを行うとともに、これまでの議論を整理した「論点整理」を行いました。今後、▼医療費助成の在り方、治療研究の推進、医療提供体制の整備に向けた技術的事項などを検討する「難病・小児慢性特定疾病研究・医療ワーキンググループ」▼療養生活の環境整備、就労支援、福祉支援、小児の自立支援の在り方などに関する技術的事項などを検討する「難病・小児慢性特定疾病地域共生ワーキンググループ」―を設け、今秋(2019年秋)にかけて検討を行っていきます。

整理された論点は多岐にわたるため、ここでは「医療に関連の深い論点」を見てみましょう。

医療費助成制度の見直しに当たり、大前提は「公平性と制度の安定性」確保

 まず難病・小児慢性疾患対策見直しの全体としては、▼制度の趣旨や国会の附帯決議(指定難病の見直しに当たり、患者数だけでなく、患者の治療状況や指定難病に指定された経緯等も考慮しつつ、慎重に検討する)などを踏まえる▼多様な患者ニーズに対応していくための支援・仕組みを検討する▼難病患者の社会参加を支援し、地域で尊厳を持って生きられる共生社会を実現するための支援・仕組み―を検討する考えを示しています。ここには、各委員とも異論はないようです。

 一方、医療費助成に関しては、▼対象疾病をどう考えるか(指定難病の要件)▼対象患者の基準をどう考えるか(重症度基準)▼患者の自己負担をどう考えるか―など様々な論点があるとともに、意見が大きく分かれているところでもあります。

例えば患者団体サイドは、「対象疾病の拡大」「重症度基準の緩和」「患者の自己負担軽減」を求めており、例えば森幸子委員(日本難病・疾病団体協議会代表理事)は「すべての難病を医療費助成の対象とするよう検討してほしい」と要望。「医療を受ける機会の確保」を求める声と言えるでしょう。

 この点、井田博幸委員(東京慈恵会医科大学小児科学講座教授)や竹内勤委員(慶應義塾大学医学部リウマチ・膠原病内科教授)らは「公平かつ安定的な制度」という大原則を重視して対象疾病等を検討すべきと強調します。

確かに、患者間では「あの疾病は医療費助成がなされているのに、私の疾病では医療費助成がなく不公平である」「重症の患者だけでなく、比較的軽症であっても医療費の負担は大きい。助成がなければ困る」などの大きな不満があると思われます。しかし、財源が限られる中では、軽症者なども含めた「広く、薄い」助成を行えば、「より手厚い支援が必要な重度者への支援が手薄になる」、つまり逆の意味での不公平が生じてしまいます。こうした点も考慮して制度見直し論議を行うとともに、あわせて難病等と闘う患者や家族に「制度の趣旨・理念を丁寧に説明していく」ことも重要と考えられます。

 
ただし、軽症の指定難病患者の「データ」収集という点も忘れてはいけません。指定難病の罹患し、一定の重症度基準を満たす患者には医療費の助成が行われますが、助成申請等の際に主治医から自治体に「臨床調査個人票」(通称、臨個票)を提出することが義務付けられます。この臨個票等のデータは難病患者データベースなどに格納され、難病の病態解明や治療法確立に向けた重要なデータとなるのです。

しかし、軽症者の場合には「申請しても助成は受けられない。にもかかわらず臨個票作成には手間がかかる」として、主治医が臨個票作成を放棄するケースも少なくないといいます。これでは、十分なデータベースを構築することはできず、結果として病態解明や治療法開発を遅らせることになります。

このため、軽症者についても積極的に「臨個票を作成し、データ登録を行う」ように、どのような工夫が可能なのか(何らかのインセンティブを付与するのかも含め)検討していくことになるでしょう。あわせて、臨個票作成にかかる医等師の負担軽減に向けた工夫(例えばオンライン化なども検討される見込みです。

 なお、「小児から成人への切れ目のない支援の実現」については委員からも異論は出ていませんが、言わば「指定難病制度と、小児慢性特定疾患制度との違い」をどう考えていくのかについて十分な議論が行われる必要があります。小児慢性特定疾患に罹患した児童は、20歳到達までさまざまな支援を受けられますが、当該疾病が指定難病に該当していない場合、20歳到達後には医療費助成などの支援は受けられなくなります。このため小児慢性特定疾患罹患児の保護者は、我が子の成長について「喜ばしくも、20歳到達を恐れ、深く悩んでいる」といいます。重要ながら、公平性・制度の安定性を考慮したときには、多くの課題もある難しいテーマです。ワーキングでの十分な議論が待たれます。

医療体制の充実については異論なし

 また医療提供体制については、▼疾病の特性に応じて早期の診断がつき、適切な治療が受けられるようにする▼重症患者の入院医療確保に向け、診療分野別拠点病院の整備を進める▼在宅医療を支える専門医とかかりつけ医の連携強化、レスパイト入院や看護・介助を行う専門スタッフの充実、コミュニケーション支援など、医療提供体制の整備と福祉制度の連 携を進める▼遺伝子診断体制について将来的に「研究と医療(臨床応用)を統合」し、医療の中で提供できる体制を整備していく▼小児医療から成人期医療への移行期支援体制の支援を進めるために、移行期医療支援センターの早期設置や人員配置、大学病院への支援体制の整備や、子ども病院と大学病院との連携システム整備を進める―といった具体的な論点が出ています。

いずれも医療提供体制の充実を目指すもので、この点への異論は出ていません。

 
さらに、研究に関しては、▼難治性疾患政策研究事業(厚生労働省)と難治性疾患実用化研究事業(日本医療研究開発機構)の検証▼患者目線に立った研究成果の公表・情報提供▼指定難病・小児慢性特定疾病データベースと他の医療保険分野の公的データベース(NDBなど)の連結▼―などが重要論点となります。

 
なお、自立支援について西村万里子委員(明治学院大学法学部政治学科教授)は、「医療費助成のように体系化し、すべての自治体で同等の支援が受けられる体制を構築すべき」と強調しています。難病対策における医療費助成(指定難病)は、すべての都道府県で実施されています(例えば「●県では、〇〇指定難病は助成対象とならない」といったバラつきはない)。これに対し、自立支援については自治体によって取り組み状況が区々なことから、西村委員は「医療費助成と自立支援とが車の両輪として駆動する必要がある」と訴えています。

 
厚労省は技術的事項などを検討するワーキングを7月下旬にも設置。秋(2019年秋)まで濃密な検討が行われます。

 

 

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