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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

既存指定難病の潰瘍性大腸炎や胆道閉鎖症、骨形成不全症など30疾患、診断基準や重症度分類をアップデート―指定難病検討委員会

2024.5.24.(金)

最新の研究結果等を踏まえて、すでに指定難病に指定されている「アルポート症候群」、「下垂体性成長ホルモン分泌亢進症」、「潰瘍性大腸炎」、「胆道閉鎖症」、「特発性大腿骨頭壊死症」、「慢性再発性多発性骨髄炎」、「骨形成不全症」」など30疾患について、診断基準や重症度分類などの見直しを行う—。

5月23日に開催された厚生科学審議会・疾病対策部会「指定難病検討委員会」で、こうした点が概ね了承されました。

今後、これまでの委員会論議を踏まえて「指定難病の追加(7疾患)、既存指定難病の診断基準・重症度分類等見直し(85疾患)」についてパブリックコメント募集を実施。そこでの意見も踏まえて「指定難病検討委員会での確認→親会議である疾病対策部会での確認」を経て、告示改正が行われます。

最新研究を踏まえ、既存指定難病の診断基準・重症度分類の見直し論議を完了

国の定めた以下の要件を満たす「指定難病」については、患者の置かれている厳しい状況に鑑みて、重症の場合に医療費助成が行われます(要件の整理明確化論議に関する記事はこちら)。
▽発症の機構が明らかでない
▽治療方法が確立していない
▽長期の療養が必要である
▽希少な疾病で、患者数が我が国で一定数(現在は18万人、人口の0.142%)に達していない
▽客観的な診断基準、またはそれに準ずる基準が確立している

医療費助成対象となる指定難病の要件



「がん」「感染症」など他の施策・支援体系が確立されている疾患は指定難病に該当しませんが、「▼髄膜▼脳▼脊髄▼脳神経▼その他の中枢神経系―に発生した腫瘍は、良性であっても『がん登録』の対象となり(がん登録推進法施行令第1条第2項)、指定難病には該当しない」、「それ以外の部位に生じた腫瘍は、良性であれば『がん登録』の対象にならず、指定難病に該当する可能性がある(他の要件を満たすことが必要)」、「ウイルス等感染が原因となって発症する疾病については、原則として該当しないものとするが、一般的に知られた感染症状と異なる発症形態を示し、症状出現の機序が未解明なものなどには個別に検討する」など、判断基準の明確化が随時行われてきています(関連記事はこちら)。



疾病が指定難病の要件を満たすか否かは、研究班や学会の提出した情報・推薦をもとに、専門家で構成される指定難病検討委員会で判断されます(2015年1月実施分:110疾患、2015年7月実施分:196疾患(関連記事はこちら)、2017年4月実施分:24疾患(関連記事はこちら)、2018年4月実施分:1疾患(あわせて5疾患を他の指定難病と統合、関連記事はこちら)、2019年7月実施分:2疾患(関連記事はこちら)、2021年11月実施分:5疾患(関連記事はこちら)。さらに、3月28日の会合では(1)LMNB1関連大脳白質脳症(2)原発性肝外門脈閉塞症(3)出血性線溶異常症(4)ロウ症候群(5)PURA関連神経発達異常症(6)極長鎖アシル-CoA脱水素酵素欠損症(7)乳児発症STING関連血管炎—を指定難病に追加する方針が固められています(関連記事はこちら)。

これら指定難病に罹患する患者のうち、一定の「重症基準」を満たす患者(重症患者)については医療費助成が行われています。



5月23日の会合では、既存の指定難病のうち次の30疾患について、最新の研究成果などを踏まえて「診断基準」や「重症度分類」などの見直しを行うことが了承されました。例えば、▼プロバブルが「ほぼ確実」、ポッシブルが「疑い症例」である(主にデフィニット「確定」とプロバブル「ほぼ確実」が医療費助成の対象)が、記載にぶれもあるので、統一を図るべき(水澤英洋委員長:国立精神・神経医療研究センター理事長特任補佐・名誉理事長、錦織千佳子委員:兵庫県赤十字血液センター所長)▼ヌーナン症候群等について、眼科関連で一般的でない用語が用いられており修正を検討すべき(山下英俊委員:山形市保健所保健医療監)▼チャージ症候群について、診断基準(小症状)の中に「先天性心疾患」との記載があるが、広範に過ぎる。具体的な疾患などの記載を求めるべき(筒井裕之委員:国際医療福祉大学副学長)▼特発性大腿骨頭壊死症について、診断基準・重症度分類の記載は難解であり、少し整理を行うべき(桑名正隆委員:日本医科大学大学院医学研究科アレルギー膠原病内科学分野教授)▼慢性再発性多発性骨髄炎について、SAPHO(synovitis, acne, pustulosis, hyperostosis and osteitis)症候群の一部をこちらに取り込んだかのように見えるなど疑問があり、研究班や学会に確認をすべき(桑名委員、錦織委員、石毛美夏委員:日本大学医学部小児科学系小児科学分野准教授)—などの注文がついていますが、概ね診断基準や重症度分類のアップデートは了承されています。

【腎・泌尿器疾患】
▽アルポート症候群
▽ギャロウェイ・モワト症候群
▽一次性ネフローゼ症候群
▽一次性膜性増殖性糸球体腎炎
▽間質性膀胱炎(ハンナ型)
▽ネイルパテラ症候群(爪膝蓋骨症候群)/LMX1B関連腎症

【内分泌疾患】
▽下垂体性TSH分泌亢進症
▽下垂体性成長ホルモン分泌亢進症
▽ウェルナー症候群
▽プラダー・ウィリ症候群

【消化器疾患】
▽バッド・キアリ症候群
▽発性硬化性胆管炎
▽クローン病
▽潰瘍性大腸炎
▽胆道閉鎖症
▽遺伝性膵炎
▽進行性家族性肝内胆汁うっ滞症

【染色体・遺伝子異常疾患】
▽CFC症候群
▽コステロ症候群
▽チャージ症候群
▽モワット・ウィルソン症候群
▽ロスムンド・トムソン症候群
▽ヌーナン症候群
▽ヤング・シンプソン症候群
▽ハッチンソン・ギルフォード症候群

【骨・関節疾患】
▽特発性大腿骨頭壊死症
▽低ホスファターゼ症
▽慢性再発性多発性骨髄炎
▽骨形成不全症
▽軟骨無形成症

●見直し案はこちら(記載の修正がなされる可能性あり)

既存の指定難病のうち85疾患について、最新研究成果に基づいて診断基準・重症度分類を見直す1(指定難病検討委員会1 240328)

既存の指定難病のうち85疾患について、最新研究成果に基づいて診断基準・重症度分類を見直す2(指定難病検討委員会2 240328)

既存の指定難病のうち85疾患について、最新研究成果に基づいて診断基準・重症度分類を見直す3(指定難病検討委員会3 240328)



なお、今回の会合で、2023年度に研究班から情報提供のあったて「指定難病の追加、既存指定難病の診断基準・重症度分類等見直し」についての議論が終了しました(関連記事はこちらこちらこちら)。

【指定難病(医療費助成対象)に追加される予定の7疾患】
(1)LMNB1関連大脳白質脳症
(2)原発性肝外門脈閉塞症
(3)出血性線溶異常症
(4)ロウ症候群
(5)PURA関連神経発達異常症
(6)極長鎖アシル-CoA脱水素酵素欠損症
(7)乳児発症STING関連血管炎

【診断基準・重症度分類の見直し】
▽85疾患



今後、水澤委員長と厚生労働省とで、委員の意見・研究班の見解などを踏まえた最終調整を行い「指定難病の追加、既存指定難病の診断基準・重症度分類等見直し」案を確定。その後、「パブリックコメント実施」→「指定難病検討委員会での再確認」→「親会議である疾病対策部会での確認」を経て、告示改正が行われます。



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