Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
診療報酬改定セミナー2024 看護必要度シミュレーションリリース

訪問看護師が協力するオンライン診療、医師は指示書に協力内容等記載を―厚労省

2019.8.6.(火)

 オンライン診療の新たな形態として、「在宅患者のもとに訪問看護師が赴き、オンライン診療による医師の指示を踏まえた診療の補助を行う」ことなどを認め、また、初診対面原則の例外として「離島などで1人医師診療所の医師が急病などになった場合」や「緊急避妊薬の処方を要件に則って行う場合」などを位置付ける。また、オンライン診療に携わる医師には一定の研修受講を義務付ける―。

 厚生労働省は7月31日に通知「『オンライン診療の適切な実施に関する指針』の改訂について」および「『「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に関するQ&Aについて』 の改訂について」を発出し、こうした点を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら(改訂指針)こちら(改訂Q&A))。

検討会の議論踏まえて、オンライン診療指針を改訂

 2018年度の前回診療報酬改定で【オンライン診療料】【オンライン医学管理料】等が整備されるなど、スマートフォンなどの情報通信機器を活用したオンライン診療が進む中、厚労省は、安全かつ有効にオンライン診療を実施するための指針(オンライン診療の適切な実施に関する指針)を昨年(2018年)3月末に策定。指針は、保険診療のみならず自由診療においても遵守しなければなりません。

 ただし、医療を取り巻く環境等は日々変化し、また情報通信技術は目まぐるしく進化するため、指針については「定期的な見直し」を行うこととされ、政府の規制改革推進会議からも「少なくとも1年に1回以上更新せよ」との指示がありました。

厚労省は、今年(2019年)1月に「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」を設置し、指針見直しを検討。6月(2019年6月)に見直し内容を固め、今般の通知発出となったものです。

指針の見直し内容は多岐にわたりますが、そのポイントは次のように整理できます(関連記事はこちら)。

▽指針の対象となる「オンライン診療」「オンライン受診勧奨」と、指針の対象外である「遠隔健康医療相談」等との区分けを明確化(例えば、▼疾患名を列挙し、受診すべき適切な診療科を選択するなど「患者個人の心身の状態に応じた必要な医学的判断」を行うこと▼一般用医薬品を用いた自宅療養を含む経過観察や非受診の勧奨―は、オンライン受診勧奨に該当し、指針の対象となる)

▽オンライン診療は対面診療に比べて得られる情報が限定されるため、「初診は対面で行う」との原則があるが、その例外として、▼離島・へき地における「常勤医師1人のみ」「非常勤医師が交代勤務」などのケースで、これらの医師が急病等の場合には、代診を立てることが原則だが、それが困難な場合などには2次医療圏内の他医療機関が初診からオンライン診療を行うことを認める▼厳格な要件の下で「緊急避妊薬(アフターピル)のオンライン診療での処方」を認める―こととする

▽新しいオンライン診療形態として、▼D to P with N(「在宅療養をする患者に対し、医師がオンライン診療を行う際、その在宅の場に医師と連携する訪問看護師が同席する」形態▼D to P with D(例えばロボット支援手術を行うにあたり、▼遠隔地の高度なスキルを持った医師が難易度の高い部分を担当する▼手術室の主治医が難易度の低い部分を担当する―といった形態)を認める

▽2020年4月以降にオンライン診療を実施する医師は厚労省の指定研修受講を必須とし、既にオンライン診療を実施している医師は2020年10月までに研修を受講することを求める

▽患者が医師の本人確認を行えるよう、▼顔写真付きの身分証明書▼卒業年度を常に確認できる機能を備える

▽患者は、▼1種類以上の顔写真付きの身分証明書(パスポート、運転免許証、マイナンバーカード)▼顔写真付きの身分証明書を含めた2種類以上の身分証明書を用いた本人証明(顔写真付きの社員証+アルファ)―で本人証明を行う

▽オンライン診療計画は、最低2年間は保存する

▽在宅診療、 離島やへき地など、速やかな対面受診が困難な患者で、「発症が容易に予測される症状の変化に医薬品を処方する」旨がオンライン診療計画に定められている場合には、オンラインでの処方を認める

▽オンライン診療の補助としてチャット機能(文字、写真、録画動画等による情報のやりとり)を用いることを認める

オンライン診療の計画書、診療録と合わせて治療完了後から5年間保存が望ましい

 Q&Aは、指針の内容に関する医療現場の疑問を解消するためのものです。指針の見直し内容を踏まえ、Q&Aも言わば「バージョンアップされた」格好です。

 まず、「初診対面原則」などの「初診」について、Q&Aは「初めて診察を行うこと」とした上で、「▼継続的に診療している場合でも、新たな症状等に対する診察を行う場合▼疾患が治癒した後、または治療が長期間中断した後に再度同一疾患について診察する場合―も初診に含む」ことなどを示しています。

 
 また、対面診療の例外と言える、「主に健康な人を対象にした診療で、対面診療でも一般的に同一医師が行う必要性が低いと認識されている診療を行う場合などでは、診療計画での明示などの要件を示した上で、特定の複数医師が交代でオンライン診療を行える」という指針内容について、Q&Aでは「主に健康な人を対象にした診療で、対面診療でも一般的に同一医師が行う必要性が低いと認識されている診療」とは、「健康診断など疾患の治療を目的としていない診療(診察、診断等)を想定している」ことを示しています。

 
 また指針では、オンライン診療を行うにあたり、事前に対面診療で患者の状態を医学的に十分に評価し、▼オンライン診療で行う具体的な診療内容(疾病名、治療内容等)▼オンライン診療と対面診療・検査の組み合わせに関する事項(頻度やタイミング等)―などを定めた診療計画を「最低2年間保存する」ことを求めています。後に「オンライン診療が適切に実施されていたか」などを確認するための重要資料となります。

 この点Q&Aでは、▼2年間存の起算点は「オンライン診療による患者の診療が完結した日」である▼診療計画は診療録と合わせて5年間保存することが望ましい―との考えを示しています。

 
 一方、新たなオンライン診療形態である「D to P with N」(在宅療養患者に対し、医師がオンライン診療を行う際、在宅の場に医師と連携する訪問看護師が同席する形態)について、医師からの訪問看護指示書には、特記すべき留意事項等に「オンライン診療の診療計画において予測された範囲内で看護師等が行う診療の補助行為」を記載する旨の考えを示しています。

 
このほか、Q&Aでは、▼海外の患者に対するオンライン診療などにも、この指針が適用される▼初診対面原則の例外規定は、医学やICTの発展を踏まえて他に例示できるものがあるか検討していく▼初診対面原則の例外要件である「患者がすぐに適切な医療を受けられない状況にある場合」に、「仕事や家庭の事情」などは該当しない―ことを明確にしています。

  
 
診療報酬改定セミナー2024MW_GHC_logo

 

【関連記事】

オンライン診療指針改訂案固まる、アフターピル処方「心理状況から対面受診困難な場合」に拡大―オンライン診療指針見直し検討会
オンライン診療での緊急避妊薬処方、産科医へのアクセス困難な場合に限定―オンライン診療指針見直し検討会
オンライン診療での緊急避妊薬処方、現実的かつ厳格な要件設定に向けた議論を―オンライン診療指針見直し検討会
オンライン診療でのアフターピル処方、3週間後の産婦人科受診等の厳格要件の下で可能に―オンライン診療指針見直し検討会(2)
訪問看護師がオンライン診療を補助することで大きなメリットが―オンライン診療指針見直し検討会(1)
アフターピル処方、オンライン診療のみで可能とすべきか―オンライン診療指針見直し検討会
不適切なオンライン診療が頻発、まずオンライン診療指針の改善等で対応―オンライン診療指針見直し検討会

 
オンライン診療の実施、リスクを説明し、書面で「オンライン診療希望」の旨の確認を―厚労省
オンライン診療等の実施指針案を固まる、技術革新等踏まえて毎年改訂―厚労省検討会
オンライン診療、セキュリティ対策を十分行えばスマホ同士でも可能―厚労省検討会
オンライン診療のルール整備へ議論開始―厚労省検討会

【2018年度診療報酬改定答申・速報3】かかりつけ機能持つ医療機関、初診時に80点を加算

2019年10月から、勤続10年以上の介護職員で8万円の賃金アップ―安倍内閣
2018年度診療報酬改定、効果的・効率的な「対面診療と遠隔診療の組み合わせ」を評価—安倍内閣が閣議決定

遠隔診療、必ず「直接の対面診療」を経てから実施しなければいけないわけではない—厚労省
遠隔診療の取扱い明確化し、2018年度改定でICT活用した生活習慣病管理など評価せよ―規制改革会議
混合介護のルール明確化、支払基金のレセプト審査一元化・支部の集約化を進めよ—規制改革会議
AIを活用したがん治療や、オンライン遠隔診療など「医療・介護革命」を進めよ—自民党
複数医療機関による訪問診療を認めるべきか、患者の状態に応じた在宅医療の報酬をどう考えるか—中医協(1)
かかりつけ薬剤師指導料、対象患者は高齢者や多剤処方患者に絞るべきか—中医協総会(2)
生活習慣病の重症化予防、かかりつけ医と専門医療機関・保険者と医療機関の連携を評価―中医協総会(1)
7対1・10対1入院基本料、看護配置だけでなくパフォーマンスも評価する報酬体系に―中医協総会(1)
主治医機能に加え、日常生活から在宅までを診る「かかりつけ医機能」を評価へ―中医協総会(1)
2018年度診療報酬改定に向け、臨床現場でのICTやAIの活用をどう考えるか―中医協総会(1)
2018年度改定に向けた議論早くも始まる、第1弾は在宅医療の総論―中医協総会

2018年度診療報酬改定で、オンライン診療を組み合わせた生活習慣病対策などを評価—未来投資会議

遠隔診療、「離島」「在宅酸素療法」などはあくまで例示、場合によっては初診でも可能―厚労省

 
2018年度診療報酬改定、答申内容を一部訂正―厚労省
【2018年度診療報酬改定答申・速報6】がん治療と仕事の両立目指し、治療医と産業医の連携を診療報酬で評価
【2018年度診療報酬改定答申・速報5】在総管と施設総管、通院困難患者への医学管理を上乗せ評価
【2018年度診療報酬改定答申・速報4】医療従事者の負担軽減に向け、医師事務作業補助体制加算を50点引き上げ
【2018年度診療報酬改定答申・速報3】かかりつけ機能持つ医療機関、初診時に80点を加算
【2018年度診療報酬改定答申・速報2】入院サポートセンター等による支援、200点の【入院時支援加算】で評価
【2018年度診療報酬改定答申・速報1】7対1と10対1の中間の入院料、1561点と1491点に設定

 
患者の体験談やビフォーアフター写真、ホームページへの掲載も原則不可―厚労省
患者の医療機関への感謝の気持ち、不適切なものはホームページ等に掲載禁止―社保審・医療部会(2)
医療機関ホームページ、「患者が元気になるイラスト」など掲載禁止―厚労省・検討会