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サイトカインストームの発生予測、多発性硬化症患者の薬剤投与量判断などの検査を1月1日から保険適用―厚労省

2020.12.31.(木)

▼多発性硬化症患者に対し薬剤投与の可否・投与量の判断を補助する検査▼サイトカインストームの発生を予測する検査▼スクリーニング検査でHIV陽性と判断された患者の確認診断を行う検査―年明け(2021年)1月1日から保険適用する―。

厚生労働省は12月28日に通知「検査料の点数の取扱いについて」を示し、こうした点を明確にしました。

多発性硬化症患者に対し薬剤投与の可否・投与量の判断を補助する検査、2037点を算定

まず、二次性進行型多発性硬化症の治療薬として「シポニモド フマル酸」(販売名:メーゼント錠0.25mg、同錠2mg)がありますが、「CYP2C9*1/*3」または「CYP2C9*2/*3」という遺伝子を持つ患者では、本剤の血中濃度が高まりすぎる恐れがあります。このため、本剤の添付文書では「維持用量を1日1回1mgとすることが望ましい」と規定されています。

この点、12月23日の中央社会保険医療協議会・総会で、「CYP2C9*2/*3」遺伝子の状況を判定する新たな検査手法について「有効と考えられ、保険適用を認める」との決定がなされました。

これを踏まえ、厚労省がこの検査を実施した場合の保険点数が今般の通知で明らかにされたものです。

具体的には、二次性進行型多発性硬化症患者に対する「シポニモド フマル酸」の▼投与の可否の判定▼投与量の判定―を目的として、リアルタイムPCR法で、全血または口腔粘膜から抽出されたゲノムDNA中の薬物代謝酵素CYP2C9遺伝子多型を測定した場合に、D006-7【UDPグルクロン酸転移酵素遺伝子多型】(2037点)を準用して、患者1人につき1回に限り算定することが可能となります。この場合、本検査が必要と判断した医学的根拠をレセプトの摘要欄に記載することが求められます。

サイトカインストーム発生の有無を予測する検査、170点に設定

人体に外傷や感染などの侵襲が加わると「サイトカイン」というタンパク質が産生され、細胞の増殖、免疫細胞の活性化が生じます。人体を守るための反応ですが、侵襲が大きい場合にはサイトカインが過剰産生され(サイトカインストーム)、逆に人体を損傷してしまうことが知られています。最悪の場合、「多臓器障害」→「死亡」に至ることもあります。新型コロナウイルス感染症においても、「ウイルス感染→サイトカインストーム→多臓器不全→死亡」事例が生じている可能性が指摘されています。

このため、外傷患者や感染症患者では早期にサイトカインストームが発生していないかを鑑別する必要があります。この点、早期に生産されるサイトカインである「インターロイキン-6」(IL-6)を有効に測定できる新検査手法が開発され、12月23日の中医協総会で「保険適用を認める」ことが決まりました。

これを受け、厚労省がこの検査を実施した場合の保険点数を設定したものです。

具体的には、全身性炎症反応症候群の患者(疑われる患者を含む)の重症度判定補助を目的として、ECLIA法によって血清・血漿中のインターロイキン-6(IL-6)を測定した場合に、D008【内分泌学的検査】の「31 副甲状腺ホルモン(PTH)」の所定点数(170点)を準用して、一連の治療につき2回に限り算定することができます。この場合、本検査実施年月日をレセプトに記載することが必要です。

また、医学的な必要性から一連の治療につき3回以上、本検査を実施する場合には、その詳細な理由をレセプトの摘要欄に記載することが求められます。

HIV感染スクリーニング検査後の確認診断用検査、660点を算定

12月23日の中医協総会では、HIVウイルス感染の有無を補助する新検査手法の保険適用も了承されました。従前の検査手法で「保留」とされたケースの多くについて、新検査手法では陽性・陰性を判断することが可能との試験結果が出ています。

これを受けて厚労省では、この新検査を実施した場合の保険点数を設定したものです。

具体的には、スクリーニング検査としてD012【感染症免疫学的検査】の「16 のHIV-1,2抗体定性」、「16 HIV-1,2抗体半定量」、「16 HIV-1,2抗原・抗体同時測定定性」、「17 HIV-1抗体」、「18 HIV-1,2抗体定量」、「18 HIV-1,2抗原・抗体同時測定定量」を実施し、陽性であった場合の確認診断用の検査として、イムノクロマト法により、全血・血清・血漿中の「HIV-1特異抗体」および「HIV-2特異抗体」を検出する検査を行った場合には「660点」(D012【感染症免疫学的検査】の「46 HIV-1抗体(ウエスタンブロット法)」(280点)+「49 HIV-2抗体(ウエスタンブロット法)」(380点))を算定できます。

本検査を実施した場合には、D012【感染症免疫学的検査】の「46 HIV-1抗体(ウエスタンブロット法)」(280点)および「49 HIV-2抗体(ウエスタンブロット法)」(380点)を別に算定することはできません。

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