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新たな「介護職員の処遇改善加算」で審議報告、今後の「処遇改善の在り方」で問題提起多数—社保審・介護給付費分科会(1)

2022.2.8.(火)

今年(2022年)10月から、新たな「介護職員の処遇改善に向けた加算」を創設するが、期中改定となり、事業所・施設や自治体の負担を大きくしないためにも「この2-9月(2022年2-9月)における介護職員処遇改善の補助金」の仕組みを可能な限り引き継ぐものとする―。

2月7日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会において、こういった内容の「審議報告」が概ね固められました。委員からは「処遇改善の仕組みを簡素化すべき」「対象とならない事業所や、介護職員を加配している事業所・施設への対応も今後考えていく必要がある」との意見や「処遇改善は加算等の報酬で行うべきではない」との意見が出ており、2024年度の次期介護報酬改定(診療報酬との同時改定)における重要論点となりそうです。

事務負担を考慮し、2-9月の補助金と、10月からの加算とで要件等を揃える

昨年(2021年)11月19日に閣議決定された新たな「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」、12月20日に成立した2021年度補正予算において、「介護職員について、賃上げ効果が継続される取り組みを行うことを前提として、収入を3%程度(月額9000円)引き上げるための措置(補助金交付)を来年2月(2022年2月)から9月まで実施する」ことが決まりました。厚生労働省は、社会保障審議会・介護給付費分科会委員の意見も踏まえて制度設計を進めています(関連記事はこちらこちら)。

来年(2022年)2-9月における補助金の概要(介護給付費分科会1 211224)



あわせて昨年(2021年)12月22日の後藤茂之厚生労働大臣・鈴木俊一財務大臣合意で「10月以降は介護報酬で同様の処遇改善(介護職員の収入を3%程度改善できる処遇改善)を行う」方針も決まりました。

1月12日に開催された介護給付費分科会では、加算の仕組みについて「2-9月の補助金を引き継ぐ形で、新たな処遇改善加算を創設する」方向で議論を行っています(関連記事はこちら)。

新たな処遇改善加算の概要(介護給付費分科会1 220112)



2月7日の介護給付費分科会では、これまでの議論を踏まえた「審議報告」案が、厚生労働省老健局老人保健課の古元重和課長から提示され、これに基づく議論を行いました。

介護報酬改定では、通常「改定内容の議論を収束させた後に『審議報告』をまとめ、その直後に『答申』を行う」というスケジュールで進みます。今回の「新たな介護職員の処遇改善加算」創設に向けて、近く、介護給付費分科会が改正告示等に関する諮問・答申を行うことになるでしょう。



審議報告案では、▼補正予算による措置(2-9月を対象とする補助金)と同じ政策目的の下での対応である▼期中改定となり補助金と要件等を変えると、追加的な事務負担が発生してしまう―ことから「補助金の要件・仕組み等を基本的に引き継ぐ」加算とすることを確認。次のような加算の大枠を示しています。

【加算の対象(取得要件)】
▽これまでの【介護職員処遇改善加算】などと同様のサービス種類とする(例えば訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所(ケアマネ事業所)などは対象外)

▽長く働き続けられる環境を目指す観点から、【特定処遇改善加算】と同様に「現行の介護職員処遇改善加算(I)から(III)までを取得している事業所」を対象とする

▽賃上げ効果の継続に資するよう「加算額の3分の2以上はベースアップ等(基本給または毎月決まって支払われる手当)の引き上げに用いる」ことを要件とする

【加算率】
▽【介護職員処遇改善加算】と同様に「それぞれのサービス種類ごとの介護職員の数」に応じて設定する(1月12日の前回会合で示された加算率を参照)

新たな処遇改善加算の加算率(介護給付費分科会2 220112)



【事業所内での配分方法】
▽柔軟な運用を認める

▽より事業所の裁 量を認める観点から、事業所内の配分方法に制限は設けない

●審議報告案はこちら(介護給付費分科会資料)

新たな処遇改善加算のイメージ(黄色部分が新加算)(介護給付費分科会3 220112)



詳細は、答申後に厚労省内で詰めることになります。加算取得に向けた事業所・施設サイドの準備期間を考慮し、遅くとも「今夏」(2022年夏)までには詳細な姿が明確にされることでしょう。

処遇改善を介護報酬で行えば、利用者負担増・保険料負担増になるとの声も根強い

こうした大枠に「反対」の声は小さいものの、今後(例えば2024年度の次期介護報酬改定)に向けた注文・要望は数多く出ています。

1月12日の前回会合でもすでに注文・要望が出されており、審議報告案にも▼対象外のサービス種類・職種についても加算対象に加えるべき▼「各事業所の介護職員の配置数」に応じて給付額が決まる仕組みとすべき(現在検討されている仕組みでは「サービス種類ごとの介護職員配置数」をベースにするため、加配を行っている事業所は1人当たり給付額が小さくなるなどの課題が生じる)—という意見のあることが明示されています。

2月7日の会合では、これらの改善を改めて指摘する声(及川ゆりこ委員:日本介護福祉士会会長、田中志子委員:日本慢性期医療協会常任理事ら)のほか、例えば▼新加算創設で処遇改善加算は3階建ての複雑なものとなる、今後、簡素化を含めた「処遇改善の在り方」を議論しなおすべき(小泉立志委員:全国老人福祉施設協議会副会長、亀井利克委員:三重県国民健康保険団体連合会理事長(名張市長)、長内繁樹委員:全国市長会(豊中市長)ら▼加算の効果や実態(どの程度、処遇が改善したのかなど)を検証するスケジュールや内容を明確にすべき(吉本俊和委員:全国健康保険協会理事)—などの意見が出ています。主に「2024年度の次期介護報酬改定」を射程に入れた発言と言えそうです。



また、新加算創設は利用者負担・保険料負担増につながるため、「セットで介護報酬の効率的・適正化を検討すべきではなかったか」との指摘が河本滋史委員(健康保険組合連合会理事)から出ています。しかし、江澤和彦委員(日本医師会常任理事)や東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)は「新加算は介護職員の処遇改善に向け、国が介護報酬で対応することを決定している。他方、支出に占める人件費比率が極めて高い介護事業所・施設について、報酬の適正化・効率化(つまり単位数の引き下げ)を行えば、それは人件費カットにつながる。両者は矛盾してしまうので、適正化・効率化を求める声は筋違いでる」と反論しています。

江澤委員らの反論には、大きく頷ける部分があります。また、新加算創設に併せて、他の報酬項目について適正化・効率化を行えば、それは「2022年10月に、改めて介護報酬全体を見直さなければならない」(2021年4月に改定を行ったばかりである)こととなり、莫大なエネルギー(審議にかかるエネルギーはもちろん、改定内容に対応するための事業所や施設、自治体サイドのエネルギーも極めて大きなものとなる)が必要となます。現実的とは言えません。

ただし、河本委員の指摘する「新加算は、利用者負担増、保険料負担増につながる」という点を無視することも好ましくありません。介護給付費分科会では、古く(2012年度の介護職員処遇改善加算創設論議)から「処遇改善を加算で行うことは好ましくない」との指摘があります。そもそも処遇改善は労使関係の中で決すべきものであるとの指摘。また「介護保険料を負担する1号・2号被保険者、とりわけ、ほとんど給付を受けられない2号被保険者(40-64歳)の中には、介護職員よりも低賃金で働く者も決して少なくない。そうした低所得者に負担を強いて、介護職員の処遇改善をすることは十分な理解を得られない」との指摘もあります。

また2月7日の介護給付費分科会では、利用者家族代表として参画する鎌田松代委員(認知症の人と家族の会理事)から「利用者負担は限界に来ている。介護職員の処遇改善は重要で継続していく必要があるが、加算での対応はここまでにしてほしい」との声も出ています。



「労使間での協議に基づく処遇改善が基本である」ことに疑いはないものの、現実問題として「労使間の協議に委ねたのでは、処遇改善が行われない」ことも事実です。とはいえ、将来にわたって「加算での対応」を続けていくことも難しい状況です。2024年度の次期介護報酬に向けて「介護職員の処遇改善をどう考えていくのか」が極めて重要な論点となることでしょう。



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