Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
診療報酬改定セミナー2024 看護モニタリング

療養病床持つ病院、地ケア・回リハ病棟併設や2次救急指定うけ地域ニーズに応えられる多機能化を―日慢協・武久会長

2022.5.20.(金)

療養病床を持つ病院は、地域包括ケア病棟・回復期リハビリテーション病棟を併設するとともに、2次救急指定を受けて、地域の多様な医療ニーズに応えられる「多機能化」を目指さなければならない―。

療養病床の機能は、従前から大きくかわり「重症患者(医療区分2・3)に治療を行い、短期間で日常生活に戻す」こととなっている。こうした実態に合わせて名称を「慢性期重症治療病床」へと直ちに変更するべきである―。

日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、5月19日の定例記者会見でこうした考えを強調しました。なお、武久会長は今期で日慢協会長職を勇退(今後は名誉会長となる予定)、会長として最後の定例記者会見となりました。

病院は機能を明確化し、「自院の機能は●●である」と胸をはれるようになるべき

療養病床は、かつての「療養型病床群」(さらにはその前身となる特例許可老人病棟)に始まり、2000年度の診療報酬改定で【療養病床入院基本料】が創設され、現在に至っています。かつては「療養(養生主体)が必要な病床」として高齢の寝たきり患者等を受け入れる役割を主体的に担っていましたが、▼医療区分の導入(現在は重症である医療区分2・3患者割合は療養1で8割以上、療養2で5割以上が求められている)▼介護保険の創設(介護の必要な高齢者は介護サービスで対応する)―などにより、その役割は「重度の高齢者を受け入れ、短期間の治療で日常生活に戻す」ことへと大きく変化しています。

療養病床の変遷(日慢協会見1 220519)

療養病床の進化(日慢協会見2 220519)



これまでにも武久会長は、「療養1では、重症患者(医療区分2・3)を8割以上受け入れ、その半数を日常生活に戻している」との実績が中央社会保険医療協議会でも公式に報告されていることを強調しています(関連記事はこちら)。

こうした点を捉らえて武久会長は、「『療養病床』という名称をやめ『慢性期重症治療病床』へと直ちに名称変更すべき」と提案。



あわせて、こうした機能充実の状況を踏まえて、▼療養病床のみの病院は、地域医療ニーズに応えられず消滅する▼療養病床を持つ病院は、地域包括ケア病棟・回復期リハビリテーション病棟を併設し、2次救急を取得して自宅・施設入所者の急変時対応を行うなどの「地域多機能病院」として地域の信頼を得る努力をしなければならない―とも強調しています。

従前の会見でも、救急医療について「手術等を要しない誤嚥性肺炎や尿路感染症患者については、療養病棟(慢性期多機能病院)で受け入れ、救命救急センターへの救急患者集中を解消する必要がある。その際、救急患者を多く受け入れる慢性期多機能病院については、診療報酬での評価を適切に行う必要がある」旨の考えを明らかにしており、この考えに沿った提言と言えそうです(関連記事はこちら)。

また、療養病床である地域包括ケア病棟については、2022年度診療報酬改定で「救急医療提供等を行わない場合には、入院料を5%減算する」(逆に言えば救急医療等提供を行えば100%の入院料算定が可能)という規定が盛り込まれました。ほかにも地域包括ケア病棟には「自宅等患者の受け入れが少ない場合のペナルティなど、複数の減算規定が盛り込まれています(関連記事はこちら)。厳しい病院経営環境の中で「減算規定はクリティカルな影響を及ぼす」(武久会長曰く「5%減算で収支はトントン、10%減算では完全に赤字」)ため、療養病床を持つ病院の「地域多機能病院」化は待ったなしの検討テーマと言えるかもしれません。

さらに武久会長は「急性期病院だけでは医療は完遂しない」「とりわけ高齢患者については、急性期病院から早期に、療養病床をはじめとする後方病床にうつし、適切な栄養・水分補給を伴う全人的な医療提供を行うことが要介護者発生の防止につながる」ことなどを改めて強調(関連記事はこちら)。あわせて、「地域において、病院に求められる機能をしっかり果たす必要がある。すべての病院が『自院の機能は●●である』と胸を張って言えるようにならなければいけない」旨を訴え、いわゆる「なんちゃって急性期病院」などの存在を牽制しています。



診療報酬改定セミナー2024MW_GHC_logo

【関連記事】

要介護者の増加を抑えるため「急性期病院の介護力強化」が必要かつ喫緊の課題―日慢協・武久会長
コロナ感染高齢者、栄養・水分補給含めた総合的管理に慣れた回復期・慢性期病院への早期転院を―日慢協・武久会長
療養の地ケア病棟でも軽度救急患者を積極的に受け入れ、自治体も積極的に救急指定してほしい―日慢協・武久会長
誤嚥性肺炎等の救急搬送は「慢性期多機能病院」が受けよ、「看護補助者」の呼称は廃止せよ―日慢協・武久会長
看護必要度は廃止し「急性期から慢性期までの共通入院評価指標」、基準介護・基準リハの設定を―日慢協・武久会長
療養病床は今や「長期入院が必要な重症患者の治療病床」、介護施設と同列の扱いは見直しを―日慢協・武久会長
療養病棟でも「看護必要度」を導入すべき、介護医療院の多くが「スタッフの確保」に苦労―日慢協・武久会長、介護医療院協会・鈴木会長
療養病棟の死亡退院率の高さは患者状態から見て必然、逆に半数は「軽快退院」している点の評価を―日慢協、武久会長・池端副会長
リハビリの包括評価、疾患別リハビリ料の点数差解消など進めよ―日慢協・武久会長、橋本副会長
回リハ病棟におけるリハビリの効果測定、「FIM利得」から「BI利得」への切り替えを―日慢協・武久会長
コロナ宿泊療養施設での医療提供容認、急性期病院・後方病院・自治体の3者連携を強化せよ―日慢協
多臓器病変患者に適切な医療を行うため、医師臨床研修・新専門医研修を再編し「総合診療医」養成を―日慢協・武久会長
コロナ感染症の急性期段階から適切な栄養・水分管理を、データ提出拡大で介護保険は大きく様変わり―日慢協・武久会長

介護報酬でも「コロナ患者の診療」評価を行い、医療機関による介護施設への感染防止策支援の充実を―日慢協・武久会長
新型コロナの退院基準を満たした患者は早急に後方病床に転院を、療養病床でもコロナ患者を積極的に受け入れる—日慢協・武久会長
新型コロナ患者に対応する「一般病棟以外の病棟」にも何らかの支援を―日慢協・武久会長
介護医療院の大多数が「開設してよかった」、早期に介護医療院へ転換せよ―日慢協・武久会長、介護医療院協会・鈴木会長
特定行為研修を修了した看護師、在宅医療や介護の場でこそ力を十二分に発揮できる―日慢協・武久会長
2022年度診療報酬改定に向け「回復期リハビリ病棟」のリハビリについて包括評価を検討せよ―日慢協・武久会長
日慢協が武久会長を再任、2022年度診療報酬改定で「慢性期DPC」や「急性期病棟での介護・リハ職配置」など目指す
2020年度診療報酬改定、「中途半端な自称急性期病院」は急性期1から滑り落ちていく―日慢協・武久会長
急性期病棟にもリハビリ専門職を配置し、ADL改善効果を正面から評価せよ―日慢協・武久会長
看護必要度「A1・B3」継続し、高度急性期から慢性期まで「重症患者の受け入れ評価」の整合性確保を―日慢協・武久会長
老健施設の「在宅復帰率向上」と「稼働率向上」とをどう実現するか、好事例を分析―日慢協
急性期病棟へ介護福祉士配置し、排泄自立支援等で「寝たきり・要介護状態」防止せよ―日慢協・武久会長
看護師は「高度な看護業務」に特化し、病院病棟の介護業務は介護福祉士に移管せよ―日慢協・武久会長
介護医療院への転換手続き簡素化、移行定着支援加算の算定可能期間延長を―日慢協・武久会長
終末期医療、総合診療と介護を一体提供できる慢性期病棟、介護医療院、在宅医療が担うべき―日慢協・武久会長
病床稼働率の著しく低い病院、国の補助でダウンサイジングや機能転換を促進せよ―日慢協、武久会長・池端副会長
医療保険リハビリを受けるため「要介護等認定を辞退する」高齢者が現れないか危惧―日慢協、武久会長・橋本副会長
25対1の医療療養、介護医療院よりも「20対1医療療養」への転換望む―日慢協・武久会長
介護医療院の整備に向け「小規模介護保険者の集約化」や「移行定着支援加算の期限延長」などが必要―日慢協・武久会長
療養病棟の3割は看護必要度30%以上、2024年度同時改定に向け「一般・療養病棟の統合」を―日慢協・武久会長
病院建物は「社会的資源」、建築等の消費税は8%の軽減税率とせよ―日慢協・武久会長
4.3平米の一般病床、2024年度までに「廃止」または「大幅な減算」となろう―日慢協・武久会長
「看護師の特定行為」実施の拡大に向けて、日看協に全面協力―日慢協・武久会長
地域包括ケア病棟の在宅復帰先から老健施設を除外、ベッド稼働率が如実に悪化―日慢協・武久会長
「特定行為研修を修了した看護師」のスキルアップ・地位向上に向けた協会を設立―日慢協・武久会長
日慢協が武久会長を再任、「高度慢性期医療」の提供を目指す
医療療養から介護医療院へ転換進めるため、介護保険も「都道府県化を保険者」とせよ―日慢協・武久会長
一般病棟の長期入院患者、療養病棟入院基本料でなく「特別入院基本料」を算定せよ―日慢協・武久会長
25対1医療療養の5割超が20対1医療療養へ、介護療養の5割弱が介護医療院Iの1へ―日慢協調査

慢性期病院、介護療養から新類型への転換やリハ機能充実で大幅収益改善も―日慢協・武久会長

回復期リハ病棟1の「実績指数37」要件、摂食や排泄リハ推進のメッセージ―日慢協・武久会長
回復期リハ病棟のリハ専門職を急性期病棟に派遣し、早期リハを目指せ―日慢協・武久会長
療養病棟の死亡退院率を「半減させよ」―日慢協・武久会長
療養病床の入院患者に居住費相当の自己負担を求めるのは「理由なき差別」―日慢協・武久会長
一般・療養の区分を廃止し、連続的な診療報酬上の評価を―日慢協・武久会長
特養ホームでの適切な医療提供や、医療機関からの訪問看護の評価充実を―日慢協
人工呼吸器装着患者などに高度な慢性期医療を担う「慢性期治療病棟」を2018年度改定で創設せよ—日慢協
病棟看護師の大半は薬剤師などの病棟配置に期待、入院基本料での評価が必要—日慢協・武久会長
薬剤師など多職種の病棟配置、看護師と併せて入院基本料の中で評価せよ―日慢協・武久会長
急性期病院における栄養・水分補給の充実で、回復期・慢性期の入院期間短縮を—日慢協・武久会長
2018年度の同時改定でリハビリ革命を、急性期早期リハは報酬を2倍に引き上げよ―日慢協・武久会長
軽度な後期高齢入院患者は療養病棟などへ転院し、年間3兆円超の医療費縮減を行うべき―日慢協・武久会長
介護療養からの新たな転換先、現在の介護療養よりも収益性は向上する可能性―日慢協試算
リハビリ能力の低い急性期病院、入院から20日までに後方病院に患者を送るべき―日慢協・武久会長

削減する病床を、特定看護師を施設長とする「病院内施設」へ転換せよ―日慢協の武久会長