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要介護者の増加を抑えるため「急性期病院の介護力強化」が必要かつ喫緊の課題―日慢協・武久会長

2022.4.15.(金)

高齢化が進展する中で「要介護者が増加し、介護保険制度の持続可能性が厳しくなる」事態が生じている。この問題を解決するには「要介護者の増加」を抑える必要があり、そのためには「急性期病院における介護力強化」も必須のテーマとなる―。

そこで、病院の「看護補助者」について▼介護福祉士・専門介護職▼介護助手▼看護事務―へとカテゴライズしなおし、あわせて適切な処遇を行うことを提唱する―。

日本慢性期医療協会の武久洋三会長は4月14日の定例記者会見で、こうした考えを改めて強調しました。

要介護者の増加スピード抑えるため「急性期病院の介護力強化」が喫緊の課題

今年度(2022年度)から団塊世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度には全員が後期高齢者となります。このように高齢化が進展する中では、「急性期医療・高度急性期医療病床」においても高齢の入院患者数が増加していきます。例えば、「高齢者が転倒し骨折する」「高齢者が脳梗塞・急性心筋梗塞を発症する」「高齢者が感染症に罹患する」などして急性期病床に入院するケースなどがイメージできます。

高齢患者では「介護・介助」が必要な場面が少なくありませんが、▼看護師は極めて多忙である▼介護・介助を担当するスタッフが極めて不足している―ために、急性期病院において「高齢患者に十分な介護等を行うことが難しい」ケースもあります。武久会長はこれが「要介護高齢者を生む原因の1つになっている」と従前より指摘します(関連記事はこちら)。例えば、「認知機能の低下した患者や、歩行不安定な患者に対しては、病院側が介護負担をするために『身体抑制』や『膀胱留置バルーンカテーテル挿入』を行う」→「身体活動が極端に制限され、臥床状態が続く」→「筋力が低下する」→「廃用が生じる」→「要介護状態となる」―ことを武久会長は強く心配しています。

一方、介護現場に目を移せば、従前より「高齢化の進展とともに要介護者が増加する」(2000年度から2019年度にかけて2.6倍)ことから▼介護費の高騰(2000年度の3.2兆円から2019年度には10.1兆円となり3.2倍)▼介護保険料の急騰(2000年度の平均2911円から2019年度には平均6014円となり2.1倍)▼介護人材の不足(2040年度には、2019年度比で69万人の介護スタッフ確保が必要)―といった課題に直面しています。

介護費・保険料は高騰が続いている(介護保険部会1 220324)

介護人材の必要性試算(介護保険部会2 220324)



少子化が進む中で「介護人材を数多く養成・確保する」ことは容易ではありません(他産業でも人材確保が必要であり、奪い合いとなる)。このため、こうした問題を解決するためには「要介護状態となる人をできるだけ増やさない」ことが極めて重要です。

その一環として武久会長は、上述した負のスパイラルを断つために「急性期病院において介護力を強化する」ことが必要不可欠であると改めて強調しました。「介護現場の人材確保」も非常に重要な課題ですが、「要介護者を増やさない」施策をとらなければ「介護現場の人材不足」はいつまでたっても解消しないでしょう。武久会長は「今、手を打たなければ真庭内」と事態の緊急性を強調。

なお、人材確保のためには診療報酬上の手当ても必要となります。診療報酬には「看護配置7対1以上」「看護配置10対1以上」などの基準がありますが、ここに「介護配置●対1以上」などの基準を追加(併せて診療報酬の引き上げ)すべき、というのも以前よりの武久会長の持論です。

「看護補助者」をカテゴライズし直し、名称変更・適切な処遇により「人材確保」を急げ

あわせて武久会長は、看護・介護業務を次の4区分にカテゴライズしなおし、適切な評価を行うことにより「スタッフの離職率低下」を目指すべきとも提案しました。

(1)傷病者等の療養上の世話・診療の補助を行う「看護職員」
→看護師・准看護師

(2)入院中の日常生活に関わる業務(搬送、見守り、食事介助、口腔ケア、清拭など)を行う「介護福祉士」「専門介護職」

(3)病床・病室の清掃・整頓、シーツ交換、下膳などの生活環境に関わる業務を行う「介護助手」
→いわゆる元気高齢者

(4)診療に関わる事務業務(書類整備、機器等の準備、材料の補充、入退院等手続きなど)を行う「看護事務」
→事務スタッフ

看護・介護業務をカテゴライズしなおし、適切な評価を行うことが喫緊の課題と武久会長は強調(日慢協会見 220414)



現在、(2)から(4)の業務は専ら「看護補助者」が担っていますが、「看護補助者」の中には国家資格である「介護福祉士」も含まれます。国家資格を持ちながら、病院内では「補助者」と扱われてしまうことにについて、「プライドが許さない」と感じる方も少なくないようです。こうした「業務の明確化」「適切な評価(処遇改善を含む)」の重要性を再確認できるでしょう。

あわせて(3)の「介護助手」について武久会長は「一般の医療・福祉資格を持たない方であっても、病院の中で活躍していただける部分は多数あり、また、そうした活躍が医療職・介護職の負担を大きく軽減してくれる。是非、多くの方に『介護助手』となっていただき、病院業務を支援してほしい」と強く呼びかけています。



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