タケキャプ錠にSJS等の副作用、果糖など含有の点滴を果糖不耐症患者に投与する低血糖や肝・腎不全など誘発の恐れ―厚労省
2019.3.20.(水)
胃潰瘍等の治療やピロリ菌の除去補助などに用いる「ボノプラザンフマル酸塩」(タケキャブ錠)や「ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・クラリスロマイシン」(ボノサップパック)、「ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・メトロニダゾール」(ボノピオンパック)などに、中毒性表皮壊死融解症(TEN)や皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑の新たな重大な副作用が判明した―。
またソルビトールや果糖を含有する静脈点滴製剤では、「遺伝性果糖不耐症の患者」に投与した場合、▼低血糖▼肝不全▼腎不全―などが誘発される恐れがあり慎重投与が求められる―。
厚生労働省は3月19日に通知「『使用上の注意』の改訂について」を発出し、こうした情報提供を行いました(厚労省のサイトはこちらとこちら)。
今般、新たに重大な副作用などが判明したのは次の2医薬品です。厚労省は製薬メーカーに対して速やかに「使用上の注意」を改訂するよう指示しました。薬剤部から院内各部門へ、迅速かつ適切な情報提供・共有が求められます。
(1)統合失調症の治療に用いる「クエチアピンフマル酸塩」(販売名:セロクエル25mg錠・同100mg錠・同200mg錠・同細粒50%、ビプレッソ徐放錠50mg・々150mg、ほか後発品多数)
▽新たな【重大な副作用】:「中毒性表皮壊死融解症」(TEN、Toxic Epidermal Necrolysis)、「皮膚粘膜眼症候群」(Stevens-Johnson症候群)、「多形紅斑」
(2)治療抵抗性の統合失調症の治療に用いる「クロザピン」(販売名:クロザリル錠25mg・同100mg)
▽新たな【重大な副作用】:「腸潰瘍」、「腸管穿孔」(本剤の抗コリン作用により腸閉塞、麻痺性イレウス、腸潰瘍、腸管穿孔が現れ、死亡に至った例も報告されている。便秘等の異常が認められた場合には適切な処置を行う)
(3)胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎などの治療や、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病等におけるヘリコバクター・ピロリの除菌補助などに用いる「ボノプラザンフマル酸塩」(販売名:タケキャブ錠10mg・同20mg)
▽新たな【重大な副作用】:「中毒性表皮壊死融解症」(TEN、Toxic Epidermal Necrolysis)、「皮膚粘膜眼症候群」(Stevens-Johnson症候群)、「多形紅斑」
(4)多発性骨髄腫による骨病変および固形がん骨転移による骨病変の治療や、骨巨細胞腫の治療に用いる「デノスマブ(遺伝子組換え)(120mg製剤)」(販売名:ランマーク皮下注120mg)
▽新たな【重大な副作用】:「治療中止後の高カルシウム血症」(骨巨細胞腫患者において、本剤治療中止後、高カルシウム血症が現れることがある)、「治療中止後の多発性椎体骨折」(本剤治療中止後、多発性椎体骨折が現れることがある)
(5)アモキシシリン、クラリスロマイシンに感性のヘリコバクター・ピロリによる胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫・特発性血小板減少性紫斑病などの治療に用いる「ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・クラリスロマイシン」(販売名:ボノサップパック40・同800)、「ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・メトロニダゾール」(販売名:ボノピオンパック)
▽新たな【重大な副作用】:「中毒性表皮壊死融解症」(TEN、Toxic Epidermal Necrolysis)、「皮膚粘膜眼症候群」(Stevens-Johnson症候群)、「多形紅斑」
また、厚労省は同日に通知「添加剤としてソルビトール又は果糖を含有する静注製剤の『使用上の注意』の改訂について」を発出し、次の医薬品についても点についても新たな副作用等が判明したことを受け、添付文書の改訂を求めています。
(6)「添加剤としてソルビトールを含有する製剤(静注用)」(販売名:ソルラクトS輸液他、マンニットールS注射液、ラクトリンゲルS注「フソー」)
▽【慎重投与】の項に、新たに「遺伝性果糖不耐症の患者」(本剤の添加剤D-ソルビトール(またはソルビトール)が体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されず、▼低血糖▼肝不全▼腎不全―などが誘発される恐れあり)を追記する
(7)「添加剤として果糖を含有する製剤(静注用)」(販売名:20%フルクトン注、果糖注20%「フソー」、グリセリン・果糖配合点滴静注「HK」、グリポーゼ配合点滴静注、グリマッケン注、ヒシセオール配合点滴静注)
▽【慎重投与】の項に、「遺伝性果糖不耐症の患者」(本剤の添加剤果糖が正常に代謝されず、▼低血糖▼肝不全▼腎不全等が誘発される恐れあり)を追記する
ソルビトールや果糖を含有する静脈点滴製剤など、広く医療現場で使用されている医薬品も含まれており、薬剤部から院内へ、あるいは必要に応じて調剤薬局から処方元医療機関等へ十分な情報提供を行うとともに、処方医への積極的な疑義照会を行うことも重要です。
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