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大腸がん治療薬や脊髄性筋萎縮症(SMA)治療薬の事前効果判定をする検査を8月1日から保険適用―厚労省

2020.8.4.(火)

脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療薬として保険適用された、超高額(患者1人当たり1億6707万円7222円)治療薬「ゾルゲンスマ点滴静注」の効果を事前判定するために検査を保険適用する―。

また、「大腸がん(結腸・直腸がん)の治療薬(アービタックス、ベクティビックス)の効果を事前判定するための検査」、「腎移植後患者等に対するサイトメガロウイルス感染検査」を新たに保険適用する―。

厚生労働省は7月31日に通知「検査料の点数の取扱いについて」を発出し、こういった点を明らかにしました。8月1日から適用されています(厚労省のサイトはこちら)。

大腸がん治療薬「アービタックス、ベクティビックス」の効果を事前判定する検査

ゲノム(遺伝情報)解析技術が進み、「Aという遺伝子変異の生じたがん患者にはαという抗がん剤を、Bという遺伝子変異のある患者にはβとγという抗がん剤を併用投与することが効果的である」といった情報が明らかになってきています。こうしたゲノム情報に基づいた最適な治療法の選択が可能になれば、個々のがん患者に対して「効果の低い治療法を避け、効果の高い、最適な治療法を優先的に実施する」ことが可能となり、▼治療成績の向上▼患者負担の軽減▼医療費の軽減―などにつながります。

大腸がん(結腸・直腸がん)の治療薬である▼「セツキシマブ(遺伝子組換え)」(販売名:アービタックス注射液100mg)▼「パニツムマブ(遺伝子組換え)」(販売名:ベクティビックス点滴静注100mg・同注400mg)―については、RAS遺伝子(KRAS遺伝子およびNRAS遺伝子)に変異のある患者に効果のあることが分かっています(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちら)。

今般、中央社会保険医療協議会・総会において「RAS遺伝子変異」に関する検査手法(RAS遺伝子検査(血漿))の保険適用が承認されたことを受け、検査点数(診療報酬)を請求するに当たっての留意点が整理されたものです。

RAS遺伝子検査(血漿)は、大腸がん患者の抗がん剤治療法選択を目的に、「血漿」を検体として、高感度デジタルPCR法とフローサイトメトリー法を組み合わせた方法で実施した場合に、▼D004-2【悪性腫瘍組織検査】の「1 悪性腫瘍遺伝子検査」の「ロ 処理が複雑なもの」(5000点)▼同じく「イ 処理が容易なもの」の「(1) 医薬品の適応判定の補助等に用いるもの」(2500点)―の所定点数(計7500点)を準用して算定します。



「患者1人につき、1回」の算定が原則ですが、「再度、治療法を選択する必要がある場合」にも算定可能です。

本検査は、医学的な理由から、大腸癌の組織を検体として、D004-2【悪性腫瘍組織検査】の「1 悪性腫瘍遺伝子検査」の「イ 処理が容易なもの」の▼「(1) 医薬品の適応判定の補助等に用いるもの」の「イ 大腸がんにおけるRAS遺伝子検査」(留意事項通知におけるD004-2【悪性腫瘍組織検査】の(2)のイ)▼「(2) その他のもの」の「カ 大腸がんにおけるK-ras遺伝子検査」(留意事項通知におけるD004-2【悪性腫瘍組織検査】の(3)のカ)―を行うことが困難な場合に限って実施できます。このため、診療録・レセプトに「大腸がんの『組織』を検体とした検査が実施困難である医学的な理由」を記載することが求められます。

なお、「本検査」と、大腸がんの組織を検体として、「大腸がんにおけるRAS遺伝子検査」(留意事項通知におけるD004-2【悪性腫瘍組織検査】の(2)のイ)または「大腸がんにおけるK-ras遺伝子検査」(留意事項通知におけるD004-2【悪性腫瘍組織検査】の(3)のカ)を同一月中に併せて行った場合には、「主たるもの」のみ算定することになります。

脊髄性筋萎縮症(SMA)治療薬「ゾルゲンスマ」の効果を事前判定する検査

指定難病の1つである脊髄性筋萎縮症(SMA:spinal muscular atrophy、脊髄の運動神経細胞(脊髄前角細胞)の病変により、体幹や四肢の筋力低下、筋萎縮が進行性に生じる)については、今年(2020年)5月20日に治療薬「ゾルゲンスマ点滴静注」((成分名:オナセムノゲン アベパルボベク)が保険適用されました。

類似薬(スピンラザ髄注12㎎:949万3024円)に比べて、「疾患の根治可能性がある」「1回の投与で治療が終了する可能性が高い」「静脈点滴であり、患者の負担が軽くなる」などの有用性があることなどを踏まえ、薬価は患者1人当たり1億6707万円7222円と超高額に設定されています。

今般、脊髄性筋萎縮症における「オナセムノゲン アベパルボベク」(販売名:ゾルゲンスマ点滴静注)の適応判定を補助する検査法の保険適用が中医協総会で承認され、検査点数(診療報酬)を請求するに当たっての留意点が整理されたものです。

具体的には、脊髄性筋萎縮症の患児について、「オナセムノゲン アベパルボベク」の適応判定補助を目的として、ELISA法によって「抗アデノ随伴ウイルス9型(AAV9)抗体」測定を実施した場合、▼D006-4【遺伝学的検査】の「3 処理が極めて複雑なもの」(8000点)▼D014【自己抗体検査】の「45 抗HLA抗体(抗体特異性同定検査)」(4850点)―を合算した点数(1万2850点)を算定可能です。

ただし、本検査は日本小児神経学会の「適正使用指針」に示されている施設基準(▼せき髄性筋萎縮症の診断、治療、不具合・有害事象発現時の対応に十分な知識・経験を有し、メーカーの実施するゾルゲンスマ点滴静注の適正使用に関する講習を修了した医師の複数名配置▼脊髄性筋萎縮症の診療に携わる専門的な知識・技能を有する医療従事者が不具合・有害事象のモニタリングを含め、主治医と情報を共有できるチーム医療体制の整備―など)を満たす医療機関でのみ実施可能です。

「2歳未満の患者1人につき1回のみ」算定するのが原則ですが、医療上の必要性に基づいて2回以上実施することも可能で、その場合には「医療上の必要性をレセプトの摘要欄に記載する」ことが必要です。

脊髄性筋萎縮症患者に対するゾルゲンスマの効果を事前判定する検査(中医協総会 200717)

腎移植後患者等のサイトメガロウイルス感染状況を定量的に測定する検査

腎代替療法については、大きく▼腎移植▼腹膜透析▼血液透析―の3種類があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、患者の状況などを踏まえて適切に選択することが必要ですが、我が国では「極端に血液透析に偏っており、患者が適切な治療の選択肢に関する情報を得られていない可能性がある」と指摘されています。

このため2018年度・2020年度の診療報酬改定では、医療機関が慢性腎疾患患者に「血液透析以外にも、腎移植などの治療法もある」旨をきちんと説明するよう促す取り組みの評価が行われてきています(関連記事はこちらこちらこちら

ところで腎移植・造血幹細胞移植を受けた患者では、頻度が高く、予後に重大な影響を及ぼす合併症である「サイトメガロウイルス(CMV)感染症」への注意が必要です。い

この点、中医協総会において、「血漿・全血中のサイトメガロウイルス(CMV)DNAをリアルタイムPCR法で測定する新たな検査法」の保険適用が承認されました。従前よりある「抗原定性検査(アンチゲネミア法)」に比べて、より客観的な指標に基づく定量検査が可能になると期待され、海外のガイドラインでは「PCR法が強く推奨」され、我が国のガイドラインでも「PCR法はアンチゲネミア法よりも有効な診断法である」とされています。

これを受けて、今般、検査点数(診療報酬)を請求するに当たっての留意点が整理されたものです。具体的には、「サイトメガロウイルス感染症の診断・治療効果」判定を目的として、▼臓器移植後の患者▼造血幹細胞移植後の患者▼HIV感染者▼高度細胞性免疫不全の患者―に対して、血液を検体としてリアルタイムPCR法でサイトメガロウイルスDNAを測定した場合に、D023【微生物核酸同定・定量検査】の「14 単純疱疹ウイルス・水痘帯状疱疹ウイルス核酸定量」の所定点数(450点)を算定できます。

ただし、高度細胞性免疫不全の患者については「本検査が必要であった理由」をレセプトの摘要欄に記載することが求められます。

ぽんすけ2020 MW_GHC_logo

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