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診療報酬改定セミナー2022 診療報酬改定セミナー2022

紹介中心型病院、広範囲の病院を検討対象に据えて協議で絞り込んでいくべきか、検討対象そのものを限定すべきか―外来機能報告等WG

2021.10.21.(木)

来年度(2022年度)からスタートする外来機能報告制度のデータをもとに、地域の関係者で協議を行い「紹介中心型の病院」(医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関)を明確化していく。具体的には、国が基準値を示し、さらに地域の特性・医療機関の特性を総合的に勘案して「紹介中心型の病院」を明らかにしていく―。

その際、国の基準値は「緩め」に設定して、広範囲を病院を検討対象に据え、協議の中で絞り込んでいくべきか。それとも国の基準値は「厳しめ」に設定して、検討対象を予め限定・絞り込んでおくべきか―。

また、「紹介中心型の病院」の呼称をどう考えていくべきか―。

10月20日に開催された「外来機能報告等に関するワーキンググループ」(「第8次医療計画等に関する検討会」の下部組織、以下、外来機能報告等WG)で、こういった議論が行われました(関連記事はこちらこちらこちら)。

構成員の間で意見の乖離が大きく、今後の第2ラウンド論議・年末の取りまとめに向けて、どういった調整が進められるのか注目されます。

10月20日に開催された「第4回 外来機能報告等に関するワーキンググループ」

国の示す基準値、地域・医療機関特性を総合的に勘案して、地域の外来医療分化を進める

入院医療だけではなく、外来医療においても機能分化を進め、▼病院勤務医の負担軽減▼医療の質向上―などを目指すことが重要です。このため、「まず、『かかりつけ医』を受診し、そこから『高機能の病院外来』を紹介してもらう」という患者の流れを強化することが求められています。

このためには、「高機能の外来医療を提供する病院」はどこなのか、「かかりつけ医機能を果たす医療機関」はどこなのか、といった点が患者に明らかにされていなければなりません。そこで改正医療法では、次のような仕組みが構築されました。

(A)「一般病床・療養病床を持つ医療機関」(病院・有床診療所)に外来診療に係るデータを都道府県に報告することを義務付ける【外来機能報告制度】

(B)提出された外来診療データや病院等の意向などをもとに、各地域で紹介中心型病院となる「『医療資源を重点的に活用する外来』を地域で基幹的に担う医療機関」を明確化する

(C)重点外来基幹病院へは、かかりつけ医等からの紹介受診を原則とする(紹介状を持たずに受診した場合には特別負担徴収を義務化)

特別負担徴収義務を拡大していく方向そのものに異論は出ていない(医療保険部会(1)1 201126)

特別負担額を引き上げ、初・再診料相当額を保険から控除する方向が示されている(医療保険部会 201202)



外来機能報告制度の来年(2022年)4月スタートに向け、外来機能報告等WGでは(A)(B)の詳細を年内に固めることとなっています((C)の詳細は主に中央社会保険医療協議会で議論する)。

10月20日の会合では、「医療資源を重点的に活用する外来」を地域で基幹的に担う医療機関について、その▼基準をどう設定するか▼呼称をどう考えるか―の2点を議題としました。

まず、前者の「基準」について見てみましょう。

上述のように、「医療資源を重点的に活用する外来」を地域で基幹的に担う医療機関は、外来機能報告データ等をもとに、地域の関係者が集う協議の場で議論して明確化を行います。

その際、なんの目安もなければ議論が前に進まないことから、国が「『医療資源を重点的に活用する外来』を地域で基幹的に担う医療機関」の【基準】を示します。基準は全国一律に設定されますが、地域によって医療提供体制や患者の受療行動などは異なるため、「どういった点に留意して協議を進めていくべきか」を明らかにするガイドラインが国から示され、この2つ(基準とガイドライン)を拠り所に、どの病院を「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」とするかを協議していきます。

例えば、「●●病院は基準にマッチしており、当該病院も『医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関』になる意向を示している。同院を『医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関』としよう」、「〇〇病院は基準にマッチしているが、当該病院はかかりつけ医機能も果たしたいとの意向が強い、どう考えていくべきか」、「▲▲病院は基準にはマッチしていないが、『医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関』に手を上げている、どう考えればよいか」といった議論を膝を突き合わせて行うイメージです。

この「基準」について厚労省医政局総務課の古川弘剛・医療政策企画官(政策統括官付情報化担当参事官室併任)は、次のような考え方に立って詰めていくこととしてはどうか、との考えを提示しました。

▽初診外来件数のうち「医療資源を重点的に活用する外来」の件数の占める割合が●%以上
かつ
▽再診外来件数のうち「医療資源を重点的に活用する外来」の件数の占める割合が▲%以上



「医療資源を重点的に活用する外来」については、これまでに検討されているとおり、▼医療資源を重点的に活用する入院の前後の外来(例えば手術、1000点以上の処置、麻酔などを算定する入院の前後30日間の外来)▼高額等の医療機器・設備を必要とする外来(外来化学療法加算、外来放射線治療加算、手術、病理等を算定する外来)▼診療情報提供料Ⅰを算定した30日以内に別の医療機関を受診した場合の当該「別の医療機関」の外来―などの合計とする方向で検討が進んでいます(まだ確定はしていない)。

医療資源を重点的に活用する外来医療のイメージ(案)(医療計画見直し検討会1 201030)



「●%、▲%」の数値をどの程度にするかで、「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」がどの程度にまで広がるかが変わってきます。古川医療政策企画官は、地域医療支援病院のデータを踏まえて、例えば「初診では35%以上・40%以上・45%以上・50%以上の4パターン、再診では20%以上・25%以上・30%以上の3パターン」という数値を仮置きし、「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」の広がり具合を試算しています(初診4パターン×再診3パターンの合計12パターン)。

基準値として置く数値が小さければ「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」は広範囲に及び、逆に数値が大きければその範囲は狭くなります。

「医療資源を重点的に活用する外来」割合を初診・再診別に設定し、医療機関種類別・病床規模別該当割合を見て基準値を検討していく(外来機能報告ワーキング3 211020)



例えば、「初診35%以上・再診20%以上」との基準値とした場合、「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」に該当するのは、▼全病院でみると20%▼200床以上病院でみると52%▼200床以上の地域医療支援病院でみると94%―に広がります。

初診35%以上、再診20%以上に「医療資源を重点的に活用する外来」割合を設定した際の、医療機関種類別・病床規模別該当割合(外来機能報告ワーキング1 211020)



逆に「初診50%以上・再診30%以上」との基準値とした場合、「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」に該当するのは、▼全病院でみると7%▼200床以上病院でみると20%▼200床以上の地域医療支援病院でみると50%―に限定されます。

初診350以上、再診30%以上に「医療資源を重点的に活用する外来」割合を設定した際の、医療機関種類別・病床規模別該当割合(外来機能報告ワーキング2 211020)

検討対象を広範囲に捉え、協議で絞り込むべきか、検討対象時点から限定・絞り込みすべきか

この試算結果を眺めた尾形裕也座長(九州大学名誉教授)は「基準値を高く(つまり「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」を狭くする)設定した場合、すでに紹介状なし患者から特別負担徴収を行っている200床以上地域医療支援病院でも、半数は『医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関』でなくなる。地域医療支援病院でありながら『医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関』ではない、という理解しにくい、訳の分からない事態が生じてしまう」とコメントし、「基準値はできるだけ低くし、『医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関』の対象は広範囲とすべき」との考えを示しました。幸野庄司構成員(健康保険組合連合会理事)や増井英紀構成員(全国健康保険協会企画部長)も同旨の見解を示しています。より多くの病院・広範囲の病院を対象とし、そこから地域の特性等を踏まえて絞り込んでいくというイメージでしょう。

一方、加納繁照構成員(日本医療法人協会会長)や城守国斗構成員(日本医師会常任理事)らは「外来機能分化の最大のポイントは『再診』である(高度外来治療を終えた再診患者は、可能な限り、地域のかかりつけ医療機関に逆紹介を推進していく)。再診において『医療資源を重点的に活用する外来』の割合が高い医療機関、具体的には『30%以上』をターゲットに据えるべきである」との考えを示しました。小熊豊構成員(全国自治体病院協議会会長)も同旨の見解を明らかにしています。上記のように「基準値を高く設定する」場合には、「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」の範囲を狭くする・限定することにつながり、尾形座長や幸野構成員らとは異なる方向(逆の方向)を向いた意見と言えます。

「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」の範囲を狭くする・限定する考えの背景には、「広範囲に設定した場合、『医療機関側の意向・手上げ』が尊重されるとは言っても、何らかの強制的な力(例えば関係者による強引な説得など)が働き、『医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関』にならざるを得ない事態・病院が出てくるのではないか」との懸念があるものと推察されます。

また、「初診・再診の考え方は病院によって大きなバラつきがあり、初診で●%・再診で●%という基準値設定に問題はないのだろうか」(岡留健一郎構成員:日本病院会副会長)との指摘もあります。

さらに、ベースとなる「医療資源を重点的に活用する外来」について、城守構成員や今村聡構成員(日本医師会常任理事)は「例えば『医療資源を重点的に活用する入院の前後の外来』では1000点以上の処置を行う入院前後の外来、『高額等の医療機器・設備を必要とする外来』では550点以上の処置等を行う外来という具合に、基準値がバラついている。こうした点を揃えるなど、内容の精査が必要である。精査の結果、『医療資源を重点的に活用する外来』の項目が変われば、基準値も変わってくる。慎重に検討を進めるべきである」と注文しています。

「1000点以上の処置」(を伴う入院)とは、DPCの包括対象外となる処置を意味します。また「550点以上の処置等」とは、地域包括診療料の包括範囲外となる処置を意味します。それぞれに意味がありますが、城守委員らは「同じ『医療資源を重点的に活用する外来』であるのに、場面場面で点数設定が異なることは不合理である」との考えを持っているようです。

このように構成員間の意見は大きく分かれており、今後、どのように調整を進めていくのかに注目が集まります。なお、基準値はデータの蓄積・精度の運用状況を見て、適宜見直されていきます。

地域の協議では「紹介率・逆紹介率」も最重要参考指標とした議論を

また、上述したように、国は基準値だけでなく「ガイドライン」も示します。ガイドラインには、協議の進め方などのほか「地域特性などをどう考慮すればよいか」「医療機関の特性をどう考慮すればよいか」といった点も盛り込まれる見込みです。「基準にマッチした」=「『医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関』となる」わけではなく、様々な要素を勘案していくことになるのです。

その際、優先的に勘案すべき事項として、古川・医療政策企画官は「紹介率・逆紹介率」を掲げました。外来機能報告では、各病院・有床診療所から「紹介率と逆紹介率」についても報告を求めます。現在、厚労省では全国の病院・有床診を対象に紹介率・逆紹介率の調査を行っており、その結果を踏まえ、最重要参考指標として「紹介率〇%以上、かつ逆紹介率△%以上」という基準値も設定する考えを示しました。

各地域の協議で、例えば「●●病院は、(上述の)の基準値をクリアしており、さらに紹介率・逆紹介率も国の参考指標を上回っている。『医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関』として相応しい」、「〇〇病院は、基準値はクリアしているが、紹介率・逆紹介率が国の参考指指標を大きく下回っている。本当に『医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関』として相応しいだろうか」と議論していくイメージです。

地域住民に分かりやすい、「紹介」の文言を前面に出した呼称とすべきか

また10月20日の外来機能報告等WGでは「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」の呼称についても議論を行いました。

「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」では、あまりにも呼びにくく、また患者にとって「この医療機関がどのような機能・役割を果たしているのか」が分かりにくいでしょう。そこで、呼びやすく、分かりやすい呼称(愛称と呼んでも良い)を設定することで「この病院には、直接かかるのではなく、かかりつけ医から紹介をしてもらって受診することが基本なのだな」「この病院に、紹介状なくして直接受診すると、場合によっては特別の負担金(初診時7000円など)がかかってしまうのだな」と認識が普及していくことが期待されているのです。

この点、上記の制度趣旨に鑑みて「医療資源を重点的に・・・」といった用語を用いることも可能ですが、「医療資源」という言葉そのものが一般国民には馴染みがありません。そこで厚労省医政局総務課の熊木正人課長と古川・医療政策企画官は「地域住民の分かりやすさ」を第1に考え、例えば▼紹介患者への外来を基本とする医療機関▼紹介による受診を基本とする医療機関▼紹介外来医療機関▼紹介受診医療機関▼紹介医療機関―などとしてはどうかとの素案を提示しました。

この点、山口育子構成員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)や吉川久美子構成員(日本看護協会理事)らは「紹介による受診を基本とする医療機関」といった呼称が好ましいのではないかとの考えを示しましたが、▼「基本」という文言はトラブルを招きやすく、好ましくないのではないか(幸野構成員)▼「紹介」を前面に足した場合、医療現場や受診患者(とりわけ継続受診している再診患者)は混乱してしまいかねない(小熊構成員)―といった意見もあり、集約には至っていません。



なお、関連して松田晋哉座長代理(産業医科大学教授)は「医療資源を重視するのか、紹介率を重視するのかで、外来機能報告等データの分析手法が異なってくる。その点を明確にする必要がある」と要望しています。医療資源投入量と紹介率とは、必ずしもパラレルな動きをしません。例えば、ある診療科の専門医師が、当該地域ではこの病院にしか在籍していない、といった事情がある場合、当該病院の当該診療科では紹介率が高くなると予想されます。しかし、こうした場合、紹介患者は必ずしも重症でない(軽症から重症まで様々な患者が紹介されてくると考えられる)ため、医療資源投入量はそれほど大きくならない可能性もあります。

今後の第2ラウンド議論に向けて、こうした点も勘案することが求められそうです。

今回で第1ラウンド論議は終了しましたが、厚労省の想定外に「構成員間で意見のバラつきが大きい」ようです。年末(意見取りまとめ)までに残された時間は多くなく、今後の調整に注目が集まります。
います。



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