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GemMed塾 新制度シミュレーションリリース

介護医療院は2021年9月末で619施設・3万8262床に、自治体間での整備のバラつきが徐々に広がる―厚労省

2022.1.6.(木)

昨年(2021年)9月末時点で、619施設の介護医療院が開設され、総ベッド数は3万8262床となった。

福岡県で施設数・ベッド数ともに最多だが、自治体間の格差が懸念される―。

厚生労働省が先頃公表した「介護医療院の開設状況等(令和3年9月末)」から、こうした状況が明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

介護医療院I型が429施設・28655床、II型が186施設・9607床

介護医療院は、▼医療▼介護▼住まい―の3機能を併せ持つ新たな介護保険施設として2017年の介護保険法改正で創設されました。2018年度介護報酬改定で単位数や構造・設備基準等が設定され、2018年4月から各地で開設が進められています。

昨年(2021年)9月末の状況を見ると、日本全国では619施設・3万8262床が開設されています。

報酬区分別・転換元別・地域別の内訳を見ると、次のような状況です。

【報酬区分別】
▽機能強化型介護療養並みの人員配置等が求められる【介護医療院I型】:429施設・2万8655床

▽転換型老健施設並みの人員配置等が求められる【介護医療院II型】:186施設・9607床

▽I型とII型の両方を設置している施設(ただし同じフロアでの混在は不可):4施設(ベッド数は上記のそれぞれに含まれている)

【転換元別】
▽介護療養(病院)から:396施設・2万6130床

▽医療療養(2018年度診療報酬改定後の療養病棟入院基本料1・2)から:122施設・4305床

▽介護療養型老健施設(転換老健)から:93施設・4692床

▽介護療養(診療所)から:45施設・482床

▽医療療養(2018年度改定後の経過措置型)から:36施設・1466床

▽有床診療所の医療療養から:24施設・254床

▽新設:16施設・523床

▽介護療養・医療療養以外の病床から:5施設・152床

▽老人性認知症疾患療養病棟(精神病床)から:2施設・112床

▽その他:2施設・146床

2021年9月末時点の介護医療院の施設数

2021年9月末時点の介護医療院のベッド数



従前、小規模な自治体(町村)では「医療保険適用の医療療養」から「介護保険適用の介護医療院」への転換が生じた場合、介護費が急増し、介護保険料の高騰につながってしまうため、「転換に極めて後ろ向きである」と指摘されていました。しかし、厚労省が粘り強く、▼医療療養から介護医療院への転換も、介護療養・転換老健からの転換と同じく、「総量規制」(介護保険制度における地域の介護施設整備上限)の枠外となっていること▼医療・介護全体で考えれば「費用の適正化」につながること▼介護医療院は、「当該市町村の高齢患者のみを受け入れる施設」ではなく、「より広域から要介護高齢者を受け入れる」こと(施設整備=保険料の高騰ではない)―などを自治体に説明し(厚労省は全国で自治体関係者向けの勉強会やブロック会議を開催してきた)、理解が進んできていると伺えます。

施設数・ベッド数ともに福岡県で整備進む、自治体間のバラつきが心配

地域別に開設状況を見てみましょう(施設数が同じ場合にはベッド数の多い順に記載)。

●41施設ある自治体
▽福岡県:2594床

●35施設ある自治体
▽北海道:2029床

●32施設ある自治体
▽熊本県:1440床

●30施設ある自治体
▽高知県:1681床

●25施設ある自治体
▽鹿児島県:1065床

●24施設ある自治体
▽山口県:1745床
▽富山県:1452床

●23施設ある自治体
▽静岡県:2127床
▽広島県:1677床

●22施設ある自治体
▽富山県:1452床

●21施設ある自治体
▽兵庫県:1099床

●19施設ある自治体
▽愛知県:1471床

●18施設ある自治体
▽京都府:2382床
▽岡山県:719床

●16施設ある自治体
▽東京都:1548床
▽徳島県:570床

●15施設ある自治体
▽石川県:1013床

●14施設ある自治体
▽新潟県:1423床
▽大分県:431床

●12施設ある自治体
▽長野県:524床
▽福島県:480床

●11施設ある自治体
▽埼玉県:988床
▽千葉県:887床
▽群馬県:579床
▽長崎県:464床
▽愛媛県:426床

●10施設ある自治体
▽大阪府:714床
▽島根県:624床

●9施設ある自治体
▽神奈川県:661床
▽青森県:521床
▽鳥取県:413床

●8施設ある自治体
▽宮崎県:311床
▽佐賀県:308床

●7施設ある自治体
▽香川県:400床
▽和歌山県:331床
▽岐阜県:315床

●6施設ある自治体
▽奈良県:578床
▽福井県:296床

●5施設ある自治体
▽三重県:314床
▽沖縄県:294床
▽秋田県:288床
▽茨城県:208床

●3施設ある自治体
▽滋賀県:280床
▽栃木県:156床
▽岩手県:140床
▽宮城県:131床
▽山形県:61床

●1施設ある自治体
▽山梨県:114床

すべての都道府県で介護医療院が整備されていますが、整備が進んでいる自治体と、なかなか進まない自治体とで格差が出てきています。



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