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協会けんぽの「医科・歯科・DPC・調剤含めた後発品割合」、80%以上達成は2020年8月の見込み―協会けんぽ

2020.6.24.(水)

協会けんぽにおけるジェネリック医薬品(後発品)の使用割合は、今年(2020年)2月末時点で、調剤ベースでは81.6%。前月末と変化ないが、安定して8割台を維持できている―。

一方、医科・DPC・歯科分を加味すると78.7%にとどまっているが、現行ペースが続けば、政府目標の「80%以上」達成は2020年8月末となる見込みで、「2020年9月」の期限内達成が可能と考えられる―。

こういった状況が、協会けんぽを運営する全国健康保険協会が6月24日に公表した医薬品使用状況から明らかになりました(協会のサイトはこちら)。

協会けんぽ全体、調剤分だけを見ると2020年2月の後発品割合は81.6%

「医療技術の高度化」が進んでいます。代表例として、超高額な脊髄性筋萎縮症の治療薬「ゾルゲンスマ点滴静注」(1億6707万円)や、やはり超高額な白血病等治療薬「キムリア」(3350万円)などが保険適用されたことがあげられます。あわせて「高齢化の進展」も進み、我が国の医療費は増加傾向にあります。

もっとも、今般の新型コロナウイルス感染症の影響で、マイナスに触れる可能性もありますが、その状況は今後のデータを待つ必要があります(現時点での3病協の調査結果はこちら(追加報告)こちら(最終報告)こちら(速報)、全自病の調査結果はこちら、支払基金のデータはこちら、GHCのデータ分析結果はこちら(4月分)こちら(3月分))。

いわゆる団塊の世代が、2022年度から75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度には全員が75歳以上に到達します。高齢者では、医療機関の受診率が高く、延べ日数(通院期間や入院期間)が長いことから1人当たりの医療費が現役世代に比べて高く(約4倍)、高齢者の増加は「医療費増」に大きなインパクトを与えます(関連記事はこちら)。

また人口動態推計によれば、2025年度から2040年度にかけて高齢者の増加ペース自体は鈍化するものの、「支え手」となる現役世代人口が急速に減少していくことが分かっています。

「少なくなる支え手」で「多くの高齢者」を支えなければならず、公的医療保険制度の財政基盤は非常に脆くなっていくと考えられます。

こうした状況の下では、「医療費の伸びを我々国民の負担可能な水準に抑える」(医療費適正化)ことが必要不可欠です。このため政府は、例えば▼平均在院日数の短縮による入院医療費の適正化(入院基本料や特定入院料、DPCの包括点数は「1日当たり」の支払い方式であり、在院日数の短縮が入院医療費の縮減に効果的である)▼後発医薬品(ジェネリック医薬品、後発品)の使用促進による薬剤費の圧縮▼病院の機能分化と連携の強化▼地域差(ベッド数、受療率、平均在院日数など)の是正▼保健事業の充実による健康寿命の延伸―など、さまざまな角度から医療費適正化に向けて取り組んでいます。

このうち後発品に関して政府は、▼2017年央に後発品の使用割合を数量ベースで70%以上とする(第1目標)▼2020年9月に80%以上とする(第2目標)―という2段階の目標を設定し、その使用を推進しています。



主に中小企業のサラリーマンとその家族が加入する「協会けんぽ」(運営者:全国健康保険協会)では、従前から積極的に後発品使用促進に取り組んでいます。例えば医療機関を受診し、医薬品を処方された加入者個々人に宛てて「貴方の医薬品を先発品から後発品に切り替えれば、自己負担額が○○円軽減されます」といった通知を発出したり、毎月の後発品使用割合の公表などを行っています。

6月24日には、今年(2020年)2月末時点の後発品使用割合が公表されました(前月の状況はこちら、前々月の状況はこちら、さらにその前月の状況はこちら)。

協会けんぽ全体(日本全国)の後発品使用割合(新指標、調剤分)を見ると、前月(2020年1月)末と同じで、数量ベースで81.6%となっています。調剤分に限定すれば、2019年10月以降、安定して政府の第2目標「80%以上」を達成できていることが分かります。

医科・DPCなど含めると協会けんぽ全体の後発品割合は2020年2月末時点で78.7%(協会けんぽの後発品割合1 200624)

「医科・DPC・歯科を加味した全体」の80%クリアは、2020年8月となる見込み

ただし、調剤分に「医科・DPC・歯科」分を加えた保険診療全体の後発品割合は、今年(2020年)2月末時点で78.7%にとどまり(前月から0.1ポイント増)、第2目標の達成には至っていません。

また、都道府県別に見ると依然として大きなバラつきがあり、「調剤・医科・DPC・歯科」分の後発品割合が最も高いのは沖縄県の88.4%(前月末から0.1ポイント増)、逆に最も低いのは徳島県で70.3%(同057ポイント増)となりました。全都道府県で、ようやく第1目標「70%以上」をクリアできた格好です。

沖縄県のほか、「調剤・医科・DPC・歯科」分の後発品割合80%以上をクリアできているのは、▼鹿児島県の84.4%(前月末から0.3ポイント増)▼岩手県の84.2%(同増減なし)▼山形県の82.4%(同増減なし)▼宮城県の82.2%(同0.1ポイント増)▼島根県の82.0%(同0.3ポイント増)▼宮崎県の81.9%(同0.1ポイント増)▼佐賀県の81.6%(同0.1ポイント増)▼青森県の81.4%(同0.2ポイント増)▼長崎県の81.1%(同増減なし)▼熊本県の80.9%(同増減なし)▼新潟県の80.9%(同0.6ポイント増)▼福島県の80.9%(同0.2ポイント増)▼北海道の80.8%(同0.1ポイント増)▼秋田県の80.6%(同0.1ポイント減)▼鳥取県の80.4%(同0.2ポイント増)▼長野県の80.3%(同0.3ポイント増)▼富山県の80.2%(同増減なし)▼山口県の80.1%(同0.5ポイント増)―です。合計19道県で80%以上を達成しており、新たに「山口県」が80%以上クリア自治体に仲間入りしました。

沖縄県含め19道県で80%以上をクリアしている(協会けんぽの後発品割合2 200624)



前述のとおり「調剤」ベースでは「80%以上クリア」が安定維持されていますが、「医科・DPC・歯科」を合わせると、「80%クリア」までには1.3ポイントの開きがあります。一昨年(2018年)12月末(75.3%)から今年(2020年)2月末(78.7%)まで、単純計算で「1か月当たり0.24ポイント強」のペースで後発品割合が上昇している格好です。このペースがその後も続くとすれば、計算上「80%以上クリア」は今年(2020年)8月末(前月までより1か月遅いペース)となり、「2020年9月に80%以上とする」との第2目標達成が実現できそうです。

協会けんぽでは、▼軽減額通知(お薬代の軽減可能額のお知らせ)対象を15歳以上に拡大する▼厚生労働省が定めた重点地域を中心に医療機関・保険薬局への訪問を強化する―という緊急対策を打ち出しており(関連記事はこちら)、この効果の検証についても注目が集まります。

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