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新型コロナ対策で総額108兆円超の緊急経済対策、病床や人工呼吸器・ECMOの確保、オンライン診療の臨時拡大など推進

2020.4.9.(木)

新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、4月7日には安倍晋三内閣総理大臣が新型インフルエンザ等対策特別措置法第32条第1項に基づいて緊急事態宣言を行うとともに、政府が「緊急経済対策」を閣議決定しました(内閣府のサイトはこちら)。

新型コロナウイルスの感染が世界的に広まり、我が国経済は「大幅に下押しされ、国難とも言うべき厳しい状況に置かれている」状況です。さらなる感染拡大の防止、医療提供体制の充実を進めると同時に、経済の維持を目指すために次の5本を柱とする「緊急経済対策」が実施されるものです。緊急経済対策の規模は、事業規模ベースで108兆2000億円程度(▼総合経済対策(2019年12月閣議決定):19兆8000億円程度▼緊急対応策第1弾弾(2020年2年13日新型コロナウイルス感染症対策本部決定)・第2弾(2020年3月10日同本部決定):2兆1000億円程度▼新たな追加分:86兆4000億円程度―)に、財政支出ベースで39兆5000億円程度(▼総合経済対策:9兆8000億円程度▼緊急対応策第1弾・第2弾部決定):5000億円程度▼新たな追加分:29兆2000億円程度―)になります。

(1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備および治療薬の開発(事業規模ベースで2兆5000億円程度)
(2)雇用の維持と事業の継続のための支援の更なる強化(同80兆円程度)
(3)官民を挙げた経済活動の回復(同8兆5000億円程度)
(4)将来を見据えた強靱な経済構造の構築(同15兆7000億円程度)
(5)今後への備え(同1兆5000億円程度)

本稿では、(1)の「感染拡大防止策と医療提供体制の整備および治療薬の開発」に向けた緊急経済対策に焦点を合わせてみます。

重症者への医療提供を維持継続するため、病床や人工呼吸器・ECMO等の確保進める

「感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発」に関しては、次の8施策が掲げられました。
(i)マスク・消毒液等の確保
(ii)検査体制の強化と感染の早期発見
(iii)医療提供体制の強化
(iv)治療薬・ワクチンの開発加速
(v)帰国者等の受け入れ体制の強化
(vi)情報発信の充実
(vii)感染国等への緊急支援に対する拠出等の国際協力
(viii)学校の臨時休業等を円滑に進めるための環境整備

まず(iii)の「医療提供体制の強化」については、感染患者の急増を見据えて「重症者への医療に重点を置く医療提供体制を早急に整備する」考えを強調し、以下のような取り組みが行われます。

▽全国で感染症指定医療機関等の病床をさらに積み増し、緊急時には5万床超の病床を確保する(例えば、▼国立病院機構と地域医療機能推進機構(JCHO)における医療提供体制の整備▼「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」(仮称)の創設による、都道府県における医療機関の体制(病床・人工呼吸器・ECMO・医療従事者等)および軽症者等の医療機関以外の療養場所等の確保▼
▽重症者の治療に必要となる人工呼吸器・ECMO(体外式膜型人工肺)のさらなる整備を行う(例えば、▼人工呼吸器生産のための設備整備事業▼ECMOチーム等養成研修事業▼大学病院における高度医療のための機器整備・人材養成支援)
▽「医療用マスクを全国の医療機関等に対して4月中に追加で1500万枚を配布する」など、医療用マスク・ガウン等を国で確保し、必要な医療機関等に対し優先配布する
感染患者等を受け入れる医療機関について、診療報酬で感染防止に留意した対応等を特例的に評価する
▽重症肺炎の症例蓄積と共有に取り組む

こうした取り組みを財政的に支えるために、▼内閣府による「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」(仮称)の創設▼厚生労働省による新型コロナウイルス感染症患者の入院医療費の公費負担▼厚労省・警察庁による「陽性無症状患者・軽症者の受け入れ可能な施設の整備」―なども行われます。

臨時特例的に「初診からのオンライン診療」を柔軟に実施

また、別途、詳しくお伝えしますが、「オンライン診療・服薬指導」に関する非常時の制度的対応が行われます。厚労省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」の見解よりも幅広くオンライン診療等の実施を可能とするものです。オンライン診療では、医師等が得られる情報が少なく「誤診や疾病見逃しなどの極めて大きなリスク」がありますが、規制改革会議で「非常時の対応」として拡大されることになりました。

まず、オンライン診療・電話診療における「初診対面原則」が時限的に大幅に緩和されます。上述のように、オンライン診療には大きなリスクが伴うため、「初診時や急性期症状については対面診療が原則」ですが、新型コロナウイルス感染が拡大し、医療機関への受診が困難になりつつある状況下において、国民・患者が安心して医療を受けることができるよう「初診も含め、電話や情報通信機器で医療機関へアクセスし、適切な対応が受けられる仕組み」を整備することとしています。具体的には、「電話や情報通信機器でアクセス可能な医療機関または医療機関窓口となる連絡先等の情報を提供する体制」(例えば厚労省にオンライン診療可能な医療機関リストを掲載するなど)を整備しつつ、アクセスした患者の当該医療機関への過去受診歴等に基づき、次のような対応が図られます。

▽「過去に受診歴がある」または「診療情報提供書、地域医療ネットワーク、健康診断結果などにより基礎疾患の情報が把握できている」患者
→医師の判断で診断や処方を行う

▽「過去に受診歴のない」患者
→医療機関(患者の利便に資するよう都道府県経由で厚労省がリストを公表)の電話等による診療を行う医師が、その判断で診断や処方を実施するが、医薬品横流し等のリスクに対応するために、医薬品の処方に一定の制限を行う

厚労省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」では、後者の「過去に受診歴のない患者」に対する初診からのオンライン診療について「症状の見逃しなどのリスクが大きすぎ、外来医療が極めて危機的な状況(医療機関の直接受診が事実上、不可能なケース)に限定して認めてはどうか」との考えで一致しましたが、より広く認めることになりそうです。



また、無制限に電話・情報通信機器で診断や処方を行う際には、次のような点に留意すべきことが示されました。

▽電話・情報通信機器による診療を行う場合、医師が地域医療連携の下で実効あるフォローアップを可能とするため、「必要に応じて対面診療へ移行できる」ことや「あらかじめ承諾を得た他医療機関に紹介できる」ことを条件とする
▽患者のなりすまし防止・虚偽申告による処方を防止するために可能な限りの措置を講ずる
▽電話・情報通信機器による診療を実施した場合に、医療機関が十分な対価を得られるようにする
▽オンライン診療がより実施・提供されやすくなるよう、新型コロナウイルス感染症の対応下において「オンライン診療実施医療機関における1月当たりのオンライン診療料の算定回数割合の制限(1か月当たりの再診料等(電話等再診は除く)・オンライン診療料の算定回数に占めるオンライン診療料の割合が1割以下)を見直す。



今後、厚労省で「オンライン診療の特例に関する仕組み」を詰め、さらに診療報酬による対応(例えば「初診時に電話・情報通信機器で診療を行った場合の報酬をどう考えるか」(初診時のオンライン診療料などは存在しない)、「オンライン診療料の算定回数制限の見直し」など)を検討していくことになるでしょう。



また、診療のみならず電話や情報通信機器を活用した「服薬指導」の活用も特例的・時限的に推進されます。具体的は次のような点が示されました。

▽新型コロナウイルス感染症の対応下において(時限的な措置である)、患者や服薬情報に基いて薬剤師が適切と判断した場合、薬剤の適正使用確保・不正入手防止策を講じた上で、電話・情報通信での服薬指導を可能とする(電話・情報通信機器による診療、対面診療を問わず)
▽電話・情報通信機器によって医師が「一般用医薬品を用いた自宅療養」等の助言等を行った場合には、薬局等は患者の求めに応じて当該一般用医薬品を提供する
▽電話・情報通信機器による服薬指導・薬剤配送の実施方法等を具体化・明確化し、全ての薬局が対応することを含め、薬局、医療関係者、国民・患者に対して周知徹底する



こうした対応は「新型コロナウイルス感染症の感染が拡大し、医療機関への受診が困難になりつつある状況下にあることに鑑みた時限的なもの」です。このため、感染が収束するまでの間、「原則として3か月ごとに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況や電話・情報通信機器を用いた診療・服薬指導等の実用性と実効性確保、医療安全等の観点からの、改善に向けた検証」を行う考えも示されています。

医療機関の資金繰りを強力に支援、PCR等検査体制を充実

このほか、緊急経済対策における(i)(viii)の「感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発」施策では、例えば次のような項目が目を引きます。

▽国内でマスク・消毒液等を製造する企業に対して生産設備への投資を支援し、マスクについては月7億枚を超える供給を確保する
▽PCR検査機器の導入を支援し、検査機関・医療機関等における簡易検査等の迅速な検査を促進し、検査能力を一層増強するとともに、保険適用自己負担分の公費負担を引き続き実施する
▽PCR法に加えて、抗体法、抗原法の検査手法の開発と検査に必要な資材の確保を進める
▽新型コロナウイルス感染症への効果が期待される新型インフルエンザ治療薬「アビガン」について、海外と協力しながら臨床研究を拡大するとともに薬の増産を開始し、2020年度内(2021年3月まで)に200万人分の備蓄を目指す
▽新型コロナウイルス感染症への効果が期待される膵炎治療薬「フサン」について、観察研究等として、事前に同意を得た患者への投与を進める



また(2)「雇用の維持と事業の継続のための支援の更なる強化」において、医療・福祉事業者における「資金繰り支援」に万全の措置を講ずる考えを明確化している点にも期待が集まります。


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