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新型コロナ対応の「通所サービスの介護報酬特例」は21年3月で廃止、4月以降は新介護報酬で対応—厚労省

2021.1.27.(水)

2021年度の介護報酬改定により「感染症などで利用者が急減した通所介護サービス等への対応」を行うことから、現在の「通所介護サービス等で利用者の同意をもとに2段階上位の報酬を算定できる」とする新型コロナウイルス感染症対応の介護報酬臨時特例は、この3月(2021年3月)で廃止する—。

厚生労働省は1月22日に事務連絡「『新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第12報)』(令和2年6月1日付厚生労働省老健局総務課 認知症施策推進室ほか連名事務連絡)等の令和3年度における取扱いについて」を示し、こうした考えを再確認しました。

利用者が急減した通所系サービス、迅速に高い介護報酬算定、特別の加算算定を認める

Gem Medでお伝えしているとおり、2021年度の介護報酬改定内容が1月18日の社会保障審議会・介護給付費分科会で了承されました(処遇改善に関する記事はこちら、リハビリに関する記事はこちら、科学的介護に関する記事はこちら、通所介護に関する記事はこちら、訪問看護に関する記事はこちら、介護医療院・介護療養に関する記事はこちら、ケアマネジメントに関する記事はこちら)。

その一環として、通所系サービスにおいて、次のような「感染症や災害などで利用者数が急減した場合の制度上の対応」が明確化されています。利用者急減に伴って介護事業所経営が不安定になるところに、一定の支援を行うものです((1)と(2)の要件を満たす場合には(1)を優先し、(1)と(2)の併算定は認められない、関連記事はこちら)。

(1)小さい規模区分がある大規模型について、事業所規模別の報酬区分決定にあたり、現行の「前年度の平均延べ利用者数」でなく、新たに「延べ利用者数の減が生じた月の実績」をベースとすることを認める(▼利用者減→▼翌月に届け出→▼翌々月から区分移行—という具合に、より迅速に、報酬水準の高い区分に移行できるようになる)

(2)「延べ利用者数の減が生じた月の実績」が前年度の平均延べ利用者数から「5%」以上減少している場合、3か月の間、「基本報酬の3%の加算」を行う(利用者減に対応するための経営改善に時間を要するなど、特別の事情がある場合には加算算定を6か月まで認める)

感染症等で利用者が急減した場合の経営支援策2点を制度上位置付ける(介護給付費分科会(4)1 210118)



ところで、現在、新型コロナウイルス感染症の蔓延による「通所系サービスの利用者減」には、臨時特例的に例えば次のような対応が行われています(「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて(第12報)」、いわゆる「第12報」)(関連記事はこちらこちら)。

▼実際に提供したサービス時間の区分に対応した報酬区分が5時間未満である場合(A群)には、1か月のサービス提供回数にかかわらず、月に1回に限って、2区分上位の報酬区分で算定可能となる
・実際が「2時間以上3時間未満」の場合 → 月に1回「4時間以上5時間未満」を算定可
・実際が「3時間以上4時間未満」の場合 → 月に1回「5時間以上6時間未満」を算定可
・実際が「4時間以上5時間未満」の場合 → 月に1回「6時間以上7時間未満」を算定可

▼実際に提供したサービス時間の区分に対応した報酬区分が5時間以上の場合(B群)には、1か月のサービス提供回数に応じて、月に4回を上限として(例えば5回サービスを提供する場合には(5÷3)=1.66を切り上げて2回まで、10回サービス提供をする場合には(10÷3)=3.33を切り上げて4回まで、13回サービスを提供する場合には(13÷3)=4.33を切り上げて5回だが上限である4回まで)、2区分上位の報酬区分を算定可能となる
・実際が「5時間以上6時間未満」の場合 → サービス提供回数に応じて一部「7時間以上8時間未満」を算定可
・実際が「6時間以上7時間未満」の場合 → サービス提供回数に応じて一部「8時間以上9時間未満」を算定可
・実際が「7時間以上8時間未満」の場合 → サービス提供回数に応じて一部「延長加算(9時間以上10時間未満)」を算定可
・実際が「8時間以上9時間未満」の場合 → サービス提供回数に応じて一部「延長加算(10時間以上11時間未満)」を算定可
・実際が「延長加算(9時間以上10時間未満)」の場合 → サービス提供回数に応じて一部「プラス100単位」(つまり延長加算(11時間以上12時間未満))を算定可
・実際が「延長加算(10時間以上11時間未満)」の場合 → サービス提供回数に応じて一部「プラス100単位」(つまり延長加算(12時間以上13時間未満))を算定可
・実際が「延長加算(11時間以上12時間未満)」の場合 → サービス提供回数に応じて一部「プラス100単位」(つまり延長加算(13時間以上14時間未満))を算定可
・実際が「延長加算(12時間以上13時間未満)」の場合 → サービス提供回数に応じて一部「プラス50単位」(つまり延長加算(13時間以上14時間未満))を算定可
・実際が「延長加算(13時間以上14時間未満)」の場合 → 上位区分がないために、同単位を算定する



この臨時特例については、「利用者に負担増を強いて、事業所の経営を支えるものである(本来は公費等で支えるべきではないか)」「事業所との関係を重視し、利用者サイドは負担増を断れない」などの指摘があります(関連記事はこちら)。



介護給付費分科会でも、この臨時特例の問題点が指摘され(関連記事はこちら)、厚労省は次のように「制度上の対応(上述)を2021年度当初(2021年4月)から適用できるようにし、臨時特例の第12報は廃止する」考えを示しています。

▽2021年2月・3月の利用者数が、前年度(2019年度)または前年同期(2020年2月・3月)の平均延べ利用者数と比べて5%以上減少している場合には、(2)の3%加算を、2021年4月から適用する



今般の事務連絡では、このように▼2021年度介護報酬による制度的対応を2021年度当初から行う▼臨時特例の第12報は廃止する—旨を再確認しています。

また、その他の新型コロナウイルス感染症に対応するための介護報酬上の臨時特例については「当面、継続」される旨も確認されています。



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