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2022年度診療報酬改定に向け「新規医療技術の保険適用」を検討、間もなく学会提案書受け付けスタート―中医協総会(2)

2021.2.10.(水)

安全性・有効性が確認された医療技術については、原則として保険適用が行われる。2022年度の次期診療報酬改定でも学会等から提案などを踏まえて、新規医療技術の評価を行い、保険適用すべきか否かを決する―。

2月10日に開催された中央社会保険医療協議会・総会、および先立って開催された診療報酬基本問題小委員会では、こうした点を了承しています(関連記事はこちら)。まもなく関係学会等から「新規医療技術の保険適用に係る提案書」の受け付けが開始されます(6月上旬締め切り)。

2022年度診療報酬改定に向けた医療技術評価スケジュール(中医協総会(2)2 210210)



また、費用対効果評価の対象となっている医薬品・医療機器について、新薬の保険適用や四半期再算定のタイミングで価格調整を行う方針も固められました。現在、14品目について費用対効果に関する分析が進んでおり、今年度内(2021年3月まで)にも一部の評価結果が中医協に報告される見込みです。

2020年度の前回改定と同様の枠組みで、「新規医療技術の保険適用」に向けた検討進める

医療・医学の水準は日進月歩しており、その成果・果実を広く国民が享受できるよう、安全性・有効性を確認したうえで保険適用を順次進めることになっています(この点、医療保険制度の持続可能性を考慮し、保険適用の在り方を考えるべきとの議論もある点に留意が必要である)。

2年に一度行われる診療報酬改定では、多くの新規医療技術の保険適用が行われます。2月10日の中医協では、2022年度の次期診療報酬改定に向けて「2020年度改定と概ね同様の考え方」に立って、新規医療技術に関する保険適用の可否を検討する方向が確認されました。

具体的には、▼関係学会から提案された新規医療技術▼先進医療で実施されエビデンスの整った新規医療技術―について、中医協の「医療技術評価分科会」で評価を実施。その結果を、中医協で審議し、どの技術を保険適用するべきかを決することになります。

2018年度改定から「先進医療で実施されている医療技術」についても、専門家で構成される医療技術評価分科会で評価されることになり、より幅広い視点・公平な視点で保険適用が検討されることとなっており、2022年度の次期改定でも同様の取り扱いとなります。

医療技術評価の枠組み(2018年度診療報酬改定より)(中医協総会(2)1 210210)



なお、医療技術は数多くあり、評価・審議時間が限られていることから、評価対象となるのは▼診療報酬点数表の「医学管理等」(Bコード)から「病理診断」(Nコード)に該当する▼「アウトカムが改善する」などの有効性をデータで示すことができる―医療技術、および「先進医療で実施されている医療技術」に限定されます。

学会等は、「保険適用の必要がある」と考える医療技術について、▼技術名とその内容▼主たる診療科▼対象疾患▼類似の医療技術▼概要▼実績▼保険適用が必要な理由▼診療ガイドラインでの位置づけ▼予想される影響額―などを記載し、厚労省に提出することになります。

また、医療技術評価分科会では、「すでに保険適用されている医療技術の評価」も行われます。

例えば、da vinciシステムなどを用いるロボット支援下内視鏡手術については、対象疾患の拡大が行われていますが、「従前からの内視鏡手術に比べて優越性が十分に示されていない」ために、同点数に設定されています。

この点、関係学会では全症例の登録を行い「優越性に関するエビデンスの構築」を目指しており、中医協でも「レジストリ登録状況・当該医療技術の実績等について関連学会等を主体として検証した上で、医療技術評価分科会への報告等を行うとともに、引き続き有効性・安全性等に係る評価を行う」旨を確認しています。

ロボット支援下内視鏡手術が、通常の内視鏡手術に比べて安全性・有効性が優れていることが確認されれば、2022年度の次期診療報酬改定で「点数の引き上げ」が検討されることになります。仮に点数引き上げが実現すれば、「高コスト」ゆえにロボット支援下内視鏡手術の実施に二の足を踏んでいる医療機関等でも、順次、導入・実施が進んでいくことでしょう。

厚労省は、関係学会からの提案書受け付けを間もなく開始します(6月中旬締め切り)。

費用対効果評価結果を踏まえ、四半期再算定のタイミングで価格調整を行う

また2月10日の中医協総会では「費用対効果評価」の運用方法についても詳細を固めています。

上述のとおり、安全性・有効性の確認された医療技術は「すべて保険適用する」ことが我が国の公的医療保険制度の原則となっています。しかし医療保険財政が厳しくなる中では、新規の医療技術を保険適用する際などに「経済面を考慮する」ことが不可欠となっています。

そこで、中医協では2012年度から「費用対効果評価」の導入に向けた検討を進め、試行錯誤を経て2019年4月から制度化(本格運用)されています。費用対効果評価の仕組みは非常に複雑ですが、「高額である」「医療保険財政に大きな影響を及ぼす」などの要件を満たした新薬・新医療機器について、「類似の医薬品・医療技術等に比べて、費用対効果が優れているか、劣っているか」をデータに基づいて判断。「費用対効果が優れている」と判断されれば価格(薬価、材料価格)は据え置きとなり、「費用対効果が劣っている」と判断されれば価格の引き下げが行われます。また、費用が少なくなり、効果が優れている・あるいは同じであるという、いわば「きわめて費用対効果が優れている」ものについては、価格の引き上げも行われます。従前の「安全性」「有効性」に加えて、あらに「経済性」の評価軸を設けるものです。

保険適用を申請する企業(製薬メーカー、医療機器メーカー)が、当該製品の「費用」と「効果」に関するデータ、「類似技術と比べた費用対効果」に関する分析結果を準備し、これを公的な組織(国立保健医療科学院)でさらに分析。そのうえで、データに示されない事情(例えば「小児」にも効果があり、社会的意義が大きいなど)を加味した総合的評価(アプレイザル)を専門家の組織(中医協・費用対効果評価専門組織)で行い、最終的に「費用対効果が優れているか、否か」を中医協で決します(関連記事はこちらこちら)。

費用対効果評価の概要(医療保険部会1 200326)



2月10日の中医協総会では、この「費用対効果が優れているか、否か」を中医協で決した後、次のような手続きで医薬品・医療機器の価格調整を行うことを決定しました。

費用対効果評価を踏まえた「価格決定」は、新薬の保険収載・四半期再算定に係る議論と同時に行う(制度上「年4回、費用対効果評価結果を踏まえた価格調整を行う」とされている点を踏まえたもの)

▽決定後の価格告示・適用の時期は四半期再算定と同様に取り扱う

費用対効果評価に基づく価格調整の運用イメージ(中医協総会(2)3 210210)



なお、現在、14品目の医薬品・医療機器について費用対効果評価に向けた分析が進められていますが、支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)から「分析スピードが遅いのではないか。拙速な価格見直しは避けなければならないが、費用対効果評価の対象となってから、遅くとも1年半後に分析結果を踏まえた価格調整を行うこととなっているはずである。費用対効果評価専門組織の評価についても標準期間などを設定すべきではないか」と指摘。

厚労省保険局医療課医療技術評価推進室の岡田就将室長も「国も費用対効果評価結果を早期に価格に反映させる考えである。ただし、評価にあたっては、非常に高度かつ複雑な検討を行う必要がある(拙速は許されない)。今後、事例を重ねる中で標準評価期間なども整理していく」考えを示しています。

関連して岡田医療技術評価推進室長は、「費用対効果評価に関する分析を行う人材の養成」に関して、慶應義塾大学大学院の「医療経済評価コース」(HTAコース)を今年度(2020年度)には49名が受講し、この3月(2021年3月)に21名が全課程を修了する見込みであること、また全49名の4分の3は「費用対効果評価の研究に取り組みたい」と、同じく6割は「公的分析に携わりたい」と考えていることも報告しています。人材育成が進めば、費用対効果に関する分析・評価のスピードが上がるとともに、評価の質も担保されると期待されます。

なお、現在、▼テリルジー100エリプタ▼キムリア―などについては総合的評価(アプレイザル)が行われており、今年度内(2021年3月まで)に費用対効果の最終評価結果が中医協に報告される見込みです(結果を踏まえて4月に価格調整が行われるとみられる)。

費用対効果評価の対象品目(2021年2月10日時点)(中医協総会(2)4 210210)

新医療機器の保険収載を了承、新たな先進医療の実施報告を受ける

このほか2月10日の中医協総会では、新規の医療技術、新薬の保険適用を了承するとともに、新たな先進医療(保険外の医療技術を、保険診療と組わせて実施することを認める仕組み)の報告を受けました。

【新たな医療機器の保険収載】(今年(2021年)3月に保険適用予定)
▽医薬品等を患者に注入することを目的に、あらかじめ設定された投与速度・投与量に従って連続(持続)注入、非連続(間欠)注入、ボーラスを制御するポンプである「クーデックエイミーPCA」(保険償還価格は3240円)

▽患者の縫合創に対して閉鎖環境を維持し、管理された陰圧を付加し滲出液を除去することで、手術部位感染(Surgical Site Infection:SSI)リスクを軽減する「PREVENA 切開創管理システム」(特定保険医療材料として評価せず、J003【局所陰圧閉鎖処置(入院)】の「3 100平方センチメートル未満」の「初回加算」(1690点)と「持続洗浄加算」(500点)およびK938【体外衝撃波消耗性電極加算】(3000点)の合計5190点で評価する)



【新たな先進医療】
▽初発膠芽腫に対するテモゾロミド併用、放射線初期治療後のメトホルミン併用、テモゾロミド維持療法(国立がん研究センター中央病院で実施。2万3000円が先進医療部分となるが、薬剤は研究費で購入されるため、患者の特別負担はなし)

予後不良な「膠芽腫」に対し、糖尿病治療薬のメトホルミンを、抗がん剤「テモゾロミド」と併用投与し、効果を探るものです。診療側の今村聡委員(日本医師会副会長)は「メトホルミンの大量投与は乳酸アシドーシスの副作用があり、こちらも生命にかかわる。高齢者では臓器の機能が低下しており、慎重な実施を求めたい」とコメントしています。



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