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統合失調症患者では大腸がんの診断から治療の複数段階で「医療提供に課題」あり、要配慮者へも適切ながん医療提供を—国がん他

2026.1.23.(金)

統合失調症患者では、精神疾患のない患者と比べて「大腸がんの発見・診断が遅れている」「一般的な治療を受ける機会が少ない」という課題がある―。

国立がん研究センター・岡山大学・東北大学・島根大学の共同研究チームが1月15日に、こうした研究成果を公表しました(国がんサイトはこちら)。

統合失調症患者が、適切ながん治療を受けられるよう「がん医療と精神医療を含む多職種・多領域の医療者が連携した医療提供体制」の早期構築が必要です―。

統合失調症の大腸がん患者、手術・術後抗がん剤治療などの標準的治療提供割合が低い

我が国では、大腸がんの罹患者・死亡者が年々増加しており、2023年の「人口動態統計月報年計(概数)」を見ると、男女ともに「もっとも死者数の多いがん種」になっており(関連記事はこちら)、大腸がんの早期発見・早期治療が重要な課題となっています(関連記事はこちら)・

ところで、統合失調症の患者では、精神疾患がない患者と比べて大腸がんによる死亡率が「約 1.7倍も高い」ことが知られており、その要因の1つとして「大腸がん治療が十分に受けられていない」ことが明らかになっています。とくに「手術療法」について、大腸がん患者ではより受けられていないとの研究報告が世界各国でなされています。

ただし、▼国によって医療制度が異なること▼がんのステージによっては「手術後に抗がん剤治療を行う」ことが標準的だが、この標準的治療の受療状況に関する研究は限られている▼ステージ4の進行がんと診断された統合失調症患者における標準的治療の実施状況はほとんど調査されていない―という状況があり、今般、研究チームでは「本邦のがん診療連携拠点病院等のデータを集積した、大規模データベース」を用いた研究を実施しました。

具体的には、709医療施設(がん診療連携拠点病院等)で大腸がんの診断・治療を受けた24万8996名を対象に調査・分析を実施(うち統合失調症患者は2337名)。その結果、次のような状況が明らかになりました。

▽統合失調症患者では、精神疾患のない患者に比べて、内視鏡治療を含む「手術療法」を十分に受けられていない(手術療法実施割合は、精神疾患のない患者では88.3%にのぼるが、統合失調症患者では78.7%にとどまる)

▽「手術後の抗がん剤治療」「ステージ4における抗がん剤治療」も、精神疾患のない患者に比べて実施が少ない(術後抗がん剤治療の実施割合は、精神疾患のない患者では56.7%だが、統合失調症患者では26.3%にとどまり、ステージ4での抗がん剤治療実施割は、精神疾患のない患者では60.9%だが、統合失調症患者では27.7%にとどまっている)

▽統合失調症患者では、精神疾患のない患者に比べて「ステージが進行した」段階で大腸がんと診断される傾向がある(早期ステージでの診断割合は、精神疾患のない患者では30.5%であるのに対し、統合失調症患者では20.6%にとどまる)

統合失調症患者と、精神疾患のない患者都では、大腸がん治療(手術、術後抗がん剤治療、ステージ4での抗がん剤投与)に差がある



こうした状況から、共同研究チームでは「統合失調症患者では、大腸がんの診断から治療に至る複数の段階で、医療提供体制に課題が生じている可能性がある」と指摘しています。



本邦では、国民皆保険制度が構築され、すべての国民に良質ながん医療を受けられる機会が保証されていますが、「精神疾患の有無によって大腸がん治療の提供(患者側からは受療)の提供に差が出ている」ことは大きな課題と考えられます。

本邦のがん対策のベースとなる「がん対策推進基本計画」(現在は第4期)では「誰一人取り残さないがん対策を推進し、すべての国民とがんの克服を目指す」との全体目標が掲げられていることから、共同研究チームでは▼配慮が必要な者が適切ながん治療を受けられているかどうかを把握する必要がある▼医療提供(受療)に差が生じている背景を検討する必要がある―と進言し、今後「がん診療連携拠点病院で、配慮が必要な患者も適切ながん治療が受けられるよう、がん医療と精神医療を含む多職種・多領域の医療者が連携した医療提供体制を構築する必要がある」と訴えています。



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