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DPC激変緩和見直し、実際の影響額を見た議論が必要—日病協

2017.7.25.(火)

2018年度の次期診療報酬改定に向け、DPCの激変緩和措置について、▼現行の激変緩和措置は廃止する▼新たに1年間などの期限を設けた新たな緩和措置を創設する—といった方針が厚生労働省から示されているが、実際の影響額を見なければ「1年間などの期限で収入の激変を吸収できるのか」などが判断できない—。

25日に開催された日本病院団体協議会の代表者会議では、こうした意見が多数だされたことが原澤茂議長(全国公私病院連盟常務理事、埼玉県済生会支部長、埼玉県済生会川口医療福祉センター総長)と山本修一副議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長)から明らかにされました(関連記事はこちらこちら)。

7月25日の日本病院団体協議会・代表者会議後に記者会見に臨んだ原澤茂議長(全国公私病院連盟常務理事、埼玉県済生会支部長、埼玉県済生会川口医療福祉センター総長、向かって右)と山本修一副議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長、向かって左)

7月25日の日本病院団体協議会・代表者会議後に記者会見に臨んだ原澤茂議長(全国公私病院連盟常務理事、埼玉県済生会支部長、埼玉県済生会川口医療福祉センター総長、向かって右)と山本修一副議長(国立大学附属病院長会議常置委員長、千葉大学医学部附属病院長、向かって左)

1年間の期限で「係数の大幅変動」影響を吸収できるか、実額見た検討が必要

 DPC制度においては、2012年度診療報酬改定から、従前の調整係数(暫定調整係数)を基礎係数と機能評価係数IIに置き換えていくこととなっています。ただし係数の置き換えの中で、病院によっては「改定前後で係数が大きく変動し、それに伴う収入も大きく変動してしまう(DPCでは包括点数部分に係数を乗じて包括報酬を計算するため、係数変動は収入変動に直結してしまう)」ところが出てきます。そこで厚労省は、改定の前後で診療報酬収入(推計)が2%を超えて変動しないよう、係数を調整する「激変緩和措置」を設定しています。

 しかし2018年度の次期改定では暫定調整係数の機能評価係数IIへの置き換えが完了すること、これまでの激変緩和措置では「過去の調整が継続され、激変緩和の循環が生じてしまっている」ことなどから、厚労省は19日の診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会に次のような見直し方針を示しています。

(1)現行の激変緩和措置は廃止する
(2)係数の置き換え完了後も大きな収入変動が生じる病院が出ると考えられるため、例えば「1年間」などの期限を定めた新たな緩和措置を設ける

 このうち(2)は、例えば▽改定1年目(直近では2018年度)には収入変動の緩和措置を行う(係数の引き上げなど)▽改定2年目(同2019年度)には緩和措置は行わない—とする仕組みで、2019年度には係数の引き上げが行われないため、2020年度以降の「激変緩和の循環」発生を防止する効果があると説明されています。

この点について、全国公私病院連盟や国立大学附属病院長会議、日本病院会、全日本病院協会など13の病院団体で構成される日本病院団体協議会の代表者会議では、「1年間という緩和措置期限の中で、果たして、収入変動の影響を個々の病院が吸収できるのだろうか。その点については、実額(「緩和措置が行われた場合の収入」と「緩和措置が行われない場合の収入」との差など)を見なたうえで、詳細な検討をしなければならない」といった旨の意見が多数出されたことが山本副議長から明らかにされました。今後、DPC評価分科会などに提案・要望される模様です。

もっとも19日のDPC評価分科会でも、同様の提案・要望が石川広己委員(千葉県勤労者医療協会理事長)らから出されていますが、厚労省保険局医療課の迫井正深課長は「病院の状況は千差万別で、ある病院の激変緩和の事例を他の病院に適用・敷衍して考えることはできない」と答弁しており、今後、どのような調整が行われるのか注目したいところです(関連記事はこちら)。

地域包括ケア病棟の機能に応じた評価が次期改定の目玉、日病協も注目

また原澤議長は、21日の診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」において、地域包括ケア病棟にも2つの機能(急性期後の患者を主に診るpost acute機能、在宅患者などの急変時に対応するsub acute機能)があり、評価を分けていく方向で議論が進んでいる点について、日病協の代表者会議でも「地域包括ケア病棟の評価が『2018年度改定の目玉』になるため議論の動向を見守る」ことが確認されたことを明らかにしています。もっとも、例えば「上記の2機能の分離して評価すべき」などの統一見解は得られていません。

ところで日病協は前述のように13の病院団体で構成されており、それぞれ会員病院の規模や機能などが大きく異なります(1つの病院団体の中でもさまざま)。このため例えば2016年度の前回診療報酬改定で見直された地域包括ケア病棟の包括範囲(2016年度改定で手術と麻酔が出来高になった)に対しても、必ずしも「統一見解」と呼べる要望・提案は示されておらず(中央社会保険医療協議会や入院医療等の調査・評価分科会でも賛否両論が出された)、2018年度改定に向けてどのような議論・調整が行われるのか注目が集まります。

また日病協代表者会議では、医薬品や医療機器などにおける費用対効果評価の制度化(本格導入)について「頻繁に価格が変更されてはシステム改修などが大変である。通常の2年に1回、多くても中間年を含めた1年に1回の見直しにとどめるべき」との見解で意見が一致していることも原澤議長から明らかにされました(関連記事はこちらこちらこちら)。

 
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