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2019年度、東京都の専攻医定員数は2018年度から5%削減―日本専門医機構

2018.8.6.(月)

 新専門医制度が2018年度から全面スタートしたが、東京都への専攻医(専門医資格取得を目指す後期研修医)集中を避けるために、2019年度における東京都の専攻医定員数は2018年度採用数から5%削減して設定する―。

 日本専門医機構は8月3日に理事会を開催し、こうした方針を決定しました。また、2019年度の専攻医募集開始は、当初「2018年9月1日から」とされていましたが、諸課題を解決する時間などを考慮し「2018年10月半ばを目指す」と後ろ倒しされます(関連記事はこちら)。

8月3日の日本専門医機構・理事会終了後に、記者会見に臨んだ寺本民生・新理事長(帝京大学・臨床研究センター長、写真中央)、兼松隆之氏・新不二理事長(長崎市立病院機構・理事長、写真向かって右)、今村聡・新副理事長(日本医師会副会長、写真向かって左)

8月3日の日本専門医機構・理事会終了後に、記者会見に臨んだ寺本民生・新理事長(帝京大学・臨床研究センター長、写真中央)、兼松隆之氏・新不二理事長(長崎市立病院機構・理事長、写真向かって右)、今村聡・新副理事長(日本医師会副会長、写真向かって左)

 

「東京都のみで完結する研修プログラム」は遠慮してもらう

 2018年度から、新たな専門医制度がスタートしました。従前、各学会が独自に行っていた専門医の養成・認定を、学会と日本専門医機構が共同して行うことにより、「質を担保」しつつ、「国民に分かりやすくする」ことを目指すものです。

ただし、「質の担保を追求するあまり、専門医を養成する基幹施設などのハードルが高くなり、地域間・診療科間の医師偏在が助長されるのではないか」といった指摘があります。そこで、日本専門医機構や都道府県、厚生労働省などが重層的に「医師偏在の助長を防ぐ仕組み」を設けており、その1つとして、「5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)において、▼外科▼産婦人科▼病理▼臨床検査—の4領域を除き、専攻医の募集定員を過去5年の後期研修医の採用実績数などの平均値以下に抑える」といったルールが設定されました(シーリング)(関連記事はこちら)。

2018年度の採用実績を見ると、東京都では「初期研修医1350名」に対し、「専攻医1825名」となり、その差475名が「地方から東京」へ流れていることが分かりました。この点、日本専門医機構では「東京都の基幹病院に採用された専攻医の相当数(1年目には207名、2年目に394名、3年目には483名)が近隣県に出向する」ことなどを踏まえ、「少なくとも医師の東京への集中が助長されてはいない」との見解を示しました(関連記事はこちらこちら)。

しかし、厚労省の「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」では、「明らかに東京への医師集中が『増悪』している」(渋谷健司構成員:東京大学大学院国際保健政策学教授)などの強い批判も出ていました(関連記事はこちら)。

日本専門医機構の新執行部では、こうした批判に応える必要があると考え、2019年度のシーリング(専攻医の定員上限)について▼東京都では、2018年度採用実績から5%削減する(専攻医数が少ない診療科もあるため、今後、詳細を詰める)▼東京都以外の4都市(神奈川、愛知、大阪、福岡)では、2018年度と同じ考えとする▼「外科・産婦人科・病理・臨床検査—の4領域はシーリングから除外する」ルールを維持する―方針を固めました。

詳細については、理事会の下に設置される「シーリング(定員問題)検討委員会」で早急に詰め、「運営委員会」→「理事会」へとあげられることになります(議論の透明性を確保するために、原則として「各委員会 → 運営委員会 → 理事会」という流れで所施策を決定する)。この点、8月3日の理事会終了後に記者会見に臨んだ寺本民生・新理事長(帝京大学・臨床研究センター長)は、「東京都のみで完結する研修プログラムは遠慮してもらう(できるだけ、近隣県の病院等を連携施設・協力施設として組み込む)」「外科などはシーリングから除外するが、『地方の病院等へ医師を派遣する研修プログラム』を優先する」考えも明らかにしています。

 
また、シーリングはもちろん、地域医療対策協議会(いわば「地域医療の課題を吸い上げる場」、各都道府県に設置)から寄せられる意見などへ対応する時間を考慮し、日本専門医機構では「2019年度の専攻医募集開始を10月半ば目途に後ろ倒しする」方針も固めました(当初は、2018年9月1日の募集開始を目指していた)。
 
 
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