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全部位・全病期のがん5年生存率は67.9%、10年生存率は56.3%―国がん

2019.4.10.(水)

 がんの5年生存率・10年生存率ともに前年調査より若干向上している。ただし部位・病期によって生存率は大きく異なり、ステージIの5年生存率を見ると、前立腺では100%(ステージII・IIIでも100%)、乳(女性)では93.9%、甲状腺では92.8%だが、胆のう胆道では28.0%、膵では9.2%にとどまる。また10年生存率は、胃がんや大腸がん、乳がん患者では9割程度となっており、今後「がんとの共生」(治療と仕事の両立など)が極めて重要な政策課題となってくる―。

 国立がん研究センターが4月9日に公表した「全がん協加盟がん専門診療施設の診断治療症例について5年生存率、10年生存率データ更新」から、このような状況が明らかとなりました(国がんのサイトはこちら(概要)こちら(集計表)こちら(報告書))。

前立腺がんはステージIからIIIまで100%、乳がんもステージIなら100%の5年生存率

 国がんでは、従前から全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)と協力して、32の加盟施設(国がん中央病院、がん研有明病院、岩手県立中央病院、九州がんセンターなど)における診断治療症例について「5年生存率」を発表。さらに2016年1月からは、がん研有明病院、岩手県立中央病院など20施設のデータをもとにした「10年生存率」も公表しています(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

 今般、2008-2010年にがんの診断治療を行った14万0675症例を対象として「5年相対生存率」を、2002-2005年に診断治療を行った7万285症例を対象として「10年相対生存率」を推計しました。

 相対生存率とは、がん以外の死因(極端に言えば交通事故など)によって死亡する確率を補正した生存率を意味し、「実測生存率」(死因に関係なくすべての死亡を計算に含めた生存率)÷「対象者と同じ性・年齢分布をもつ日本人の期待生存確率」で計算されます。以下の「生存率」は、すべて相対生存率をさします。

 まず5年生存率について見てみましょう。

全部位・全臨床病期の5年生存率は67.9%でした。前年の67.6%(2007-2009年にがんの診断治療を行った13万2869症例を対象)から0.3ポイント上昇しています。国がんでは「1997-1999年の62.3%から徐々に改善傾向がみられる。化学療法、放射線治療や早期発見技術の進歩が貢献していると考えられる」とコメント。

 もっとも部位別(全臨床病期)に見ると、次のような大きなバラつきがあります。

【90%超】
▼前立腺:100%(前年から増減なし)▼乳:93.9%(同0.4ポイント向上)▼甲状腺:92.8%(同0.7ポイント向上)

【70%以上90%未満】
▼子宮体:85.7%(同0.1ポイント向上)▼大腸:76.6%(同0.6ポイント向上)▼子宮頸:76.2%(同1.4ポイント向上)▼胃:74.9%(同0.4ポイント向上)―など

【50%以上70%未満】
▼卵巣:64.4%(同2.2ポイント向上)

【30%以上50%未満】
▼肺:43.6%(同0.9ポイント向上)▼食道:45.9%(同2.6ポイント向上)▼肝:36.4%(同1.1ポイント向上)

【30%未満】
▼胆のう胆道:28.0%(同1.6ポイント向上)▼膵:9.2%(同0.1ポイント低下)

 多くのがん種では、5年生存率が改善しています、前年には低下(悪化)がみられ、より長期的に動向を把握していく必要があります(関連記事はこちらとこちら)。国がんでは「部位別に増減があるが、臨床的に意味のある変化は認められない」とコメントしています。

 
 さらに5大がんについて病期別の5年生存率を見てみましょう。「ステージが早ければ5年生存率が高い」ことが再確認でき、早期発見・早期治療の重要性が改めて裏付けられた格好です。第3期がん対策推進基本計画に沿って、がん検診等をさらに充実していくことが求められるでしょう(関連記事はこちらこちら)。

【胃がん】
▼ステージI:97.4%(同増減なし)▼ステージII:63.9%(同1.1ポイント低下)▼ステージIII:48.3%(同1.2ポイント向上)▼ステージIV:6.9%(同0.3ポイント低下)

【大腸がん(結腸がんと直腸がん)】
▼ステージI:98.5%(同0.9ポイント向上)▼ステージII:89.9%(同0.1ポイント低下)▼ステージIII:84.2%(同増減なし)▼ステージIV:22.0%(同1.8ポイント向上)

【肝がん】
▼ステージI:61.6%(同2.0ポイント向上)▼ステージII:36.0%(同0.4ポイント向上)▼ステージIII:14.6%(同0.6ポイント向上)▼ステージIV:1.7%(同0.2ポイント低下)

【肺がん(腺がん、扁平上皮がん、小細胞がん、その他)】
▼ステージI:82.0%(同0.2ポイント向上)▼ステージII:50.2%(同1.8ポイント向上)▼ステージIII:21.3%(同0.1ポイント向上)▼ステージIV:4.9%(同0.4ポイント向上)

【乳がん(女性)】
▼ステージI:100.0%(同増減なし)▼ステージII:96.0%(同増減なし)▼ステージIII:80.8%(同増減なし)▼ステージIV:38.5%(同1.4ポイント向上)

 なお、前立腺がんではステージI・II・IIIについて5年生存率が「100%」となりました(ステージIVでは65.9%)。ここでも早期発見・早期治療の重要性を確認できます。
がん5年生存率(2008-2010診断症例)1 190409

がん5年生存率(2008-2010診断症例)2 190409

がん5年生存率(2008-2010診断症例)3 190409

がん5年生存率(2008-2010診断症例)4 190409

がん5年生存率(2008-2010診断症例)5 190409

がん5年生存率(2008-2010診断症例)6 190409
 

ステージIの10年生存率、胃89.6%、大腸91.0%、乳(女性)96.1%

 10年生存率に目を移してみましょう。

全部位・全臨床病期の10年生存率は56.3%で、前年の55.5%(2001-2004年に診断治療を行った5万7147症例を対象)から0.8ポイント向上しています。

部位別(全臨床病期)では次のとおりで、やはり大きなバラつきがあります。部位により前年度から増減がありますが、国がんでは「臨床的に意味のある変化は認められない」とコメントしています。

【90%超】
▼前立腺:95.7%(同3.3ポイント向上)

【70%以上90%未満】
▼甲状腺:84.3%(同1.7ポイント低下)▼子宮体:80.0%(同1.0ポイント向上)▼乳:83.9%(同1.1ポイント向上)―など

【50%以上70%未満】
▼大腸:66.3%(同0.4ポイント向上)▼胃:64.2(同0.1ポイント低下)▼腎:63.3%(同0.9ポイント向上)▼子宮頸:69.0%(同0.8ポイント低下)―など

【30%以上50%未満】
▼卵巣:45.0%(同0.5ポイント向上)▼肺:31.0%(同0.6ポイント向上)▼食道:30.3%(同1.9ポイント向上)―など

【30%未満】
▼胆のう胆道:16.2%(同1.0ポイント向上)▼肝:14.6%(同増減なし)▼膵:5.4%(同0.4ポイント向上)

 
 さらに5大がんについて病期別の10年生存率を見ると、次のようになりました。

【胃がん】
▼ステージI:89.6%(同0.1ポイント低下)▼ステージII:51.5%(同0.7ポイント低下)▼ステージIII:36.6%(同0.4ポイント向上)▼ステージIV:5.7%(同0.3ポイント低下)

【大腸がん(結腸がんと直腸がん)】
▼ステージI:91.0%(同0.2ポイント向上)▼ステージII:79.0%(同1.5ポイント向上)▼ステージIII:72.6%(同2.0ポイント向上)▼ステージIV:11.0%(同1.5ポイント向上)

【肝がん】
▼ステージI:26.3%(同0.6ポイント向上)▼ステージII:16.0%(同0.1ポイント向上)▼ステージIII:6.1%(同1.4ポイント低下)▼ステージIV:2.4%(同0.1ポイント低下)

【肺がん(腺がん、扁平上皮がん、小細胞がん、その他)】
▼ステージI:64.5%(同1.2ポイント向上)▼ステージII:27.7%(同0.8ポイント低下)▼ステージIII:13.1%(同0.1ポイント低下)▼ステージIV:2.7%(同0.1ポイント低下)

【乳がん(女性)】
▼ステージI:96.1%(同0.5ポイント向上)▼ステージII:86.3%(同0.3ポイント向上)▼ステージIII:59.4%(同1.6ポイント向上)▼ステージIV:15.9%(同0.5ポイント向上)
がん10年生存率(2002-2005診断症例)1 190409

がん10年生存率(2002-2005診断症例)2 190409

がん10年生存率(2002-2005診断症例)3 190409

がん10年生存率(2002-2005診断症例)4 190409

がん10年生存率(2002-2005診断症例)5 190409

 
 ステージIで適切な診断治療が行われた場合、胃がんや大腸がん、乳がん患者では9割程度が10年間以上生存しています。第3期がん策推進基本計画で、新たに重点事項の1つに掲げられた「がんとの共生」(例えば、仕事と治療の両立をサポートする体制)が、我が国において今後、ますます重要になってきます(関連記事はこちらこちら)。
 
 画期的な抗がん剤(免疫チェックポイント阻害剤など)をはじめとする新たな治療法の開発が進み、さらに遺伝子診断に基づいた「個々の患者に最適な治療法」選択が可能になってきている中では、さらなる生存率の延伸が期待され、「がんとの共生」の重要性が加速度的に高まっていくと考えられます。

 2018年度の診療報酬改定でも、「がんとの共生」を保険制度面でサポートするために、▼【療養・就労両立支援指導料】(6か月に1回、1000点を算定可能):治療担当医と産業医が連携して、就労に必要な指導などを行うことを評価する▼【療養・就労両立支援指導料】を取得し、さらに必要な相談支援に応じる体制の整備を評価する【相談体制充実加算】(500点)―が新設されています(関連記事はこちら)。

がん医療の質向上・経営の質向上を目指すCQI研究会、8月に都内で研究会を開催

 ところで、100超のがん診療連携拠点病院などが参加する CQI(Cancer Quality Initiative)研究会(代表世話人:望月泉:八幡平市病院事業管理者・岩手県立病院名誉院長)では、DPCデータをもと「がん医療の質向上」に向けた研究を行っており、メディ・ウォッチを運営するグローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)がデータ分析等を担当しています。

 今年8月24日には、都内で第14回研究会を開催します。研究会では、「診療の質」と「経営の質」を向上するためのデータ分析方法を議論。GHCの開発した「がん診療分析システム」(下図)を用いて、例えば、結腸がんの「術式の割合」(開腹か、腹腔鏡か)、「平均在院日数」や「周術期の医療行為」などを、参加病院の実データを用いてベンチマーク分析し、自院の課題や改善方向などを探ります。

さらに厚労省のがん対策担当者による講演も予定しており、「がん医療の質・経営の質向上」を検討する絶好の機会です。がん診療連携拠点病院や、がん医療に力を入れる急性期病院におかれては、是非、CQI研究会にご参加ください。

◆「第14回CQI研究会」のお申し込みはこちらから
◆お問い合わせ先:CQI研究会事務局(GHC内、担当:八木、森、安斎 E-mail : cqi@ghc-j.com)

 
 

 

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