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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

都道府県別・診療科別の必要医師数、「都市部と過疎地で診療実態が異なる」点など勘案すべき―医師需給分科会

2020.2.12.(水)

新専門医制度における専攻医採用数の上限(シーリング)設定などに活用されている「診療科別・都道府県別の必要医師数」について、▼入院需要と外来需要を峻別する▼診療科の特性を踏まえる(小児人口を精緻に推計するなど)▼病院とクリニックで峻別する―などの改善を行う―。

1月29日に開催された「医師需給分科会」(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)で、こういった改善・修正内容が概ね了承されました。今春をめどに、改善内容を踏まえた新推計結果が示される見込みです(前回会合の議論に関する記事はこちら)。

1月29日に開催された、「第32回 医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会」

必要医師数、「病院とクリニック」「入院と外来」で峻別した推計などの改善

医師需給分科会では、名称どおり「医師の需要と供給について科学的な分析を行い、医師養成数を考える」検討会です。医師の需要については、昨春(2019年春)に厚生労働省から「診療科別・都道府県別の必要医師数」が推計され、これをベースに「各都道府県による医師確保計画」の作成や、新専門医資格取得を目指す「専攻医の採用数上限(シーリング)」の設定などが行われています。

ただし「診療科別・都道府県別の必要医師数」については、「診療科によって入院患者と外来患者にかける診療時間の差が異なり、そこを考慮すべき」「診療科の特性を考慮すべき(例えば精神科では精神保健指定医業務なども考慮すべき)」「医師は多数いるが、病院の勤務医が少ないという状況などを勘案すべき」という指摘が自治体や関係学会から出されています。そこで厚生労働省は1月29日の会合に、次のような「診療科別・都道府県別の必要医師数」推計の改善案を提示。概ね了承されました。

▽診療科ごとに入院・外来の比重は異なると考えられるため、医師数を「入院患者数」および「外来患者数」で除した値の比を用いる

▽診療科毎の特性を踏まえる(例えば小児科では、小児の将来需要を患者調査の15歳未満人口の将来推計をベースに推計するなど)

▽入院需要と病院勤務医数を用いた必要医師数を試算する

厚労省では、この改善内容を踏まえて、春頃(2020年春)にも新たな「診療科別・都道府県別の必要医師数」推計結果を示す考えです。



もっとも1月29日の会合では、「診療科別・都道府県別の必要医師数」の活用方法についてさまざまな意見・指摘が出されました。活用方法は、各施策を検討する場(例えば、専攻医の採用上限(シーリング)については、医道審議会・医師分科会「医師専門研修部会」)で議論するのが筋ですが、大本となる医師需給分科会でも「どう活用すべきか、活用に当たって留意すべき点はどこか」を議論すべきとの声が多数出ている格好です。

例えば、小川彰構成員(岩手医科大学理事長)や福井次矢構成員(聖路加国際大学学長)、山口育子構成員(人ささえあい医療人権センターCOML理事長)らは「地域によって医師の診療状況は大きく異なる。全国一律に考えることはできない」点を強調しました。例えば東京都や大阪府の中心部では多数の大規模医療機関があり「専門医は自分の専門領域のみを診療する」といった診療形態が可能でしょう。しかし、地方では「自分の専門領域しか診ない」といったことは許されず、総合的な診療能力を持つことが期待されます。当然、「ある疾患をどの診療科の医師が診ているのか」の状況も地域によって変わってくるため、「将来の必要医師数」の活用方法も地域によって変わってくるのではないかと小川構成員らは指摘します。

また山内英子構成員(聖路加国際病院副院長)は、「現在の診療状況などをスライドさせるのではなく、医療の理想像を描き、そのためにはどの程度の医師数が必要であるというロジックで検討すべきではないか」と提案しました。

さらに今村聡構成員(日本医師会副会長)は「医師から他職種へのタスク・シフティング論議が進み、2020年度診療報酬改定でも相当の対応が行われる。タスク・シフティングが進めば、医師の必要数にも一定の影響が出る。必要数推計のスケジュールを一定程度明確にしておくべき」とも提案しています。

佐々木医事課長は、こうした意見も踏まえて推計の改善を行い、さまざまな場面での活用に供していく(当然、その際には活用を検討する場で、留意点や限界などを踏まえて活用方法を検討する)考えを強調しています。

日本の医師免許取得を考える海外医学部学生、厚労省ホームページに登録を

なお、1月29日の医師需給分科会では「海外の医学部を卒業し、我が国で医師免許を取得する医師」が増加してきている(2018年度には95名で、大学医学部1つ分に相当)状況を踏まえ、▼マクロ需給推計の医師供給数に海外医学部卒の医師数の将来的な伸びを反映させる▼日本の医師国家試験受験を考慮している外国医学部学生に任意で登録してもらうシステムを構築する(大学を通じて学生に周知し厚労省ホームページへの登録を促す、学生段階から医師供給数の推計が一定程度可能となる)▼医師偏在対策に資するよう、医師少数県で臨床実習やマッチングが可能となるような調整を検討する―ことなどが固められました。

人口減少社会に入っている我が国において、近い将来「医師養成数の減少」(医学部入学定員の削減)が本格的に検討されると予想されています。そうした中で海外医学部出身者の増加(茨城県などでは、奨学金を支給し、海外医学部で学び、県内医療機関に勤務してもらうことを推奨している)が続くことをどう考えるかという問題があります。そこでは「米国やカナダのように、海外医学部出身者には地方での一定期間勤務を課す仕組みを検討すべき」という声もあれば、「海外医学部出身者は極めて優秀であり、国内医学部出身者との区別は好ましくない」との声もあります。まず登録システムによって実態を把握し、そのうえで「海外医学部出身者の医療機関勤務をどう考えるか」を検討していくことになります。

米国、カナダでは海外医学部出身者の処遇について自国医学部出身者と区分けを行っている(医師需給分科会4 191127)



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