Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

カルプロテクチン量測定検査、「クローン病の病態把握」目的でも12月から保険診療の中で実施可―厚労省

2021.12.3.(金)

クローン病の【病態把握】を目的に「カルプロテクチン量」を測定する場合でも、D003【自己抗体検査】の「9 カルプロテクチン(糞便)」を算定することを認める―。

厚生労働省は11月30日に通知「検査料の点数の取扱いについて」を発出し、こうした点を明らかにしました。12月1日から適用されています(厚労省のサイトはこちら)。

急性リンパ性白血病の診断補助・治療効果測定を行う新検査を保険適用

潰瘍性大腸炎(告示番号97)やクローン病(告示番号96)は指定難病に指定される難治性の希少疾病です。大腸の粘膜が侵され、びらんや潰瘍を形成し、血便、粘血便、下痢、血性下痢などが生じる疾患で、原因は明らかになっていません。ただし、炎症が生じている腸上皮において「好中球が『カルプロテクチン』というタンパク質を放出している」ことが知られています。

このため「糞便中のカルプロテクチン量」を測定・把握することで、潰瘍性大腸炎の病態・活動性を把握することが可能となり、例えば「カルプロテクチンの量が少ない場合には、炎症性腸疾患が寛解と考えられる」などの判定補助が可能になるのです。

そこで、2017年6月に糞便中のカルプロテクチン量を測定する検査(当初は病態把握のための検査、後に診断補助のための検査)が保険適用されています(D003【自己抗体検査】の「9 カルプロテクチン(糞便)」、関連記事はこちら)。

このカルプロテクチン量を測定するための検査は、これまで▼慢性的な炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病等)の【診断補助】を目的として実施する場合▼潰瘍性大腸炎の【病態把握】を目的として実施する場合—に保険診療として点数算定することが認められ、その検査手法は次のように順次拡大されてきています。

慢性的な炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病等)の【診断補助】を目的とする場合
FEIA法(2017年12月から保険適用)
LA法(2020年10月から)

潰瘍性大腸炎の【病態把握】を目的とする場合
ELISA法(2017年6月から)
FEIA法(2017年12月から)
金コロイド凝集法(2020年5月から)
イムノクロマト法(2020年10月から保険適用)
LA法(2020年10月から)



さらに今般、「クローン病の【病態把握】を目的」として本検査を行うことが、保険診療の中で認められました。次のように整理できます。

●病態把握目的の検査
【潰瘍性大腸炎】
(従前どおり)
→「ELISA法」、「FEIA法」、「金コロイド凝集法」、「イムノクロマト法」または「LA法」によって病態把握を目的に糞便中のカルプロテクチン量を測定する場合に、3か月に1回を限度にD003【自己抗体検査】の「9 カルプロテクチン(糞便)」(276点)を算定できる

【クローン病】(新)
→「FEIA法」によって病態把握を目的に糞便中のカルプロテクチン量を測定する場合に、3か月に1回を限度にD003【自己抗体検査】の「9 カルプロテクチン(糞便)」(276点)を算定できる(従前どおり)

また、医学的な必要性から「本検査を1か月に1回行う」場合には、その詳細な理由・検査結果を診療録とレセプトの摘要欄に記載することが求められます(潰瘍性大腸炎の病態把握目的の検査では、従前からこのルールが存在し、今般「クローン病の病態把握」目的の検査が保険適用され、このルールが同様に適用されることが明確にされた)。

さらに、慢性的な炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病など)の診断補助・病態把握を目的として、本検査とD313【大腸内視鏡検査】(検査手法や部位により900-1550点)とを「同一月中」に併せて行った場合には「主たるもの」のみ算定が可能です(慢性的な炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病など)の診断補助目的の検査および潰瘍性大腸炎の病態把握目的の検査では従前からこのルールが存在し、今般「クローン病の病態把握」目的の検査が保険適用され、このルールが同様に適用されることが明確にされた)。



なお、慢性的な炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病など)の【診断補助】目的のカルプロテクチン測定に関するルール(FEIA法、LA法による場合に本点数を算定できる。ただし、腸管感染症が否定され下痢、腹痛や体重減少などの症状が3か月以上持続する患者で、肉眼的血便が認められない患者において、慢性的な炎症性腸疾患が疑われる場合の内視鏡前の補助検査として実施し、その要旨を診療録・レセプトの摘要欄に記載する)は変わっていません。



病院ダッシュボードχ 病床機能報告MW_GHC_logo

【関連記事】

急性リンパ性白血病、前立腺がんの診断を補助する新検査方法を11月から保険適用―厚労省
難病の診断を補助する新検査法を10月から保険適用、診療報酬請求上の留意点を整理―厚労省
「濾胞性リンパ腫の遺伝子変異」「ランバート・イートン筋無力症候群」の鑑別検査、保険診療の中で実施可―厚労省
がんの遺伝子検査(マイクロサテライト不安定性検査)、保険診療の中で「すべての固形がん」に実施可―厚労省
コロナ患者等のサイトカインストーム発生を予測する「インターロイキン-6」検査、検査手法を拡大―厚労省
アトピーの重症度評価を行う「TARC」検査、コロナ患者の「重症化リスク」鑑別補助にも使用可―厚労省
鳥関連の過敏性肺炎、全身性脂肪萎縮症、クロウ・深瀬症候群の診断補助する検査を6月1日から保険適用―厚労省
百日咳菌を簡便・迅速・高精度に検出する新検査を5月1日から保険適用―厚労省
卵巣がんの診断を補助する新検査「血清中TFPI2測定」を4月1日から保険適用―厚労省
小児アトピーの重症度を評価する「血中のSCCA2測定」検査を2月1日から保険適用―厚労省
サイトカインストームの発生予測、多発性硬化症患者の薬剤投与量判断などの検査を1月1日から保険適用―厚労省
大腸がんの術後抗がん剤選択での「マイクロサテライト不安定性検査」、保険診療で実施可能に―厚労省
新型コロナと季節性インフルとを、唾液を用いて迅速に同時鑑別できる検査法を保険適用―厚労省
急性膵炎の診断を迅速・簡便に補助する検査を11月1日から保険適用―厚労省
新型コロナのPCR検査の検体は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針」に沿う―厚労省
潰瘍性大腸炎等の診断補助・病態把握のための「カルプロテクチン量」測定、検査手法を拡大―厚労省
悪性リンパ腫の病型分類補助でも、「ALK融合タンパク」(2700点)を算定可能に―厚労省
大腸がん治療薬や脊髄性筋萎縮症(SMA)治療薬の事前効果判定をする検査を8月1日から保険適用―厚労省
新型コロナが医療現場・医療機関経営に及ぼす影響踏まえ、診療報酬と絡めて議論すべきか—中医協総会(2)
新型コロナと他疾患(季節性インフルエンザなど)とを同時鑑別できる新検査法を保険適用―厚労省
抗リン脂質抗体症候群(APS)の診断を的確に行う新検査方法を7月1日から保険適用―厚労省
潰瘍性大腸炎・クローン病の「活動期」を把握する新検査法を6月1日から保険適用―厚労省
潰瘍性大腸炎の病態把握を目的とする新検査法、5月から保険適用—厚労省
20種類の呼吸器感染症病原体を高精度・短時間に同定する新検査を11月から保険適用—厚労省
「FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症」の診断・治療効果判定を補助する検査を保険適用—厚労省
深在性真菌感染症の治療法選択等に用いる「(1→3)-β-D-グルカン」検査、8月から検査手法拡大—厚労省
昨冬に保険収載された「FLT3遺伝子検査」、点数算定の取り扱いを一部訂正—厚労省
骨粗鬆患者への薬剤治療方針選択を補助する検査、7月から検査手法を拡大—厚労省
大規模な院内感染を引き起こすCDI、鑑別診断のための検査法を2019年4月から保険収載—厚労省
急性白血病等の治療法選択に当たり、新たな遺伝子検査を、2019年2月から保険収載—厚労省
「膀胱がんの再発」「褐色細胞腫」を診断する新たな検査を、2019年1月から保険収載—厚労省
「画期的な抗がん剤」治療の効果を確認する遺伝子検査を12月から保険収載—厚労省
ヒト精巣上体蛋白4や淋菌核酸検出など、11月から新たな検査手法を保険診療に追加—厚労省
天疱瘡と水疱性類天疱瘡との鑑別診断補助のための新検査を10月から保険収載—厚労省
骨粗鬆症治療における薬剤治療方針の選択に当たり、新検査を9月から保険収載—厚労省
大腸がんの治療法選択等に重要なBRAF遺伝子検査、8月から保険収載—厚労省
肝臓の線維化ステージ診断のためのオートタキシン検査、6月から保険収載—厚労省
カルニチン欠乏症診断のための検査、2月から保険収載—厚労省
肺生検困難ながん患者のEGFR遺伝子検査、1月から初回治療前でも算定可能に―厚労省
潰瘍性大腸炎の診断補助する新検査法を12月から保険収載—厚労省
ヒトT細胞白血病ウイルス感染の有無を判断する新検査方法を11月から保険収載—厚労省
非小細胞肺がんのリンパ節転移診断を補助する検査などを10月から保険収載—厚労省
急速進行性糸球体腎炎の治療方針決定のため、新検査方法を9月から保険収載―厚労省
肺生検困難な肺がん患者について、血漿による遺伝子検査を7月から保険収載―厚労省
肺がん患者に抗がん剤「クリゾチニブ」投与が有効か調べる遺伝子検査、6月から保険収載―厚労省
ビタミンD欠乏性くる病・骨軟化症診断の新検査法を5月1日から保険収載―厚労省
卵巣腫瘍が悪性か良性かを診断する「ヒト精巣上体蛋白4」を4月1日から保険収載―厚労省
急性腎障害の早期診断を行う尿中NGAL検査を2月1日から保険収載―厚労省
慢性好酸球性白血病患者、適切な治療法選択のための遺伝子検査を12月1日から保険収載―厚労省
百日咳の診断補助を行う新たな臨床検査を11月1日から保険収載―厚労省
2018年度改定に向けて、入院患者に対する「医師による診察(処置、判断含む)の頻度」などを調査―中医協総会
皮膚筋炎の診断補助を行う新たな臨床検査を10月1日から保険収載―厚労省