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急性リンパ性白血病、前立腺がんの診断を補助する新検査方法を11月から保険適用―厚労省

2021.11.1.(月)

急性リンパ性白血病、前立腺がんの診断を補助する新検査方法を保険適用する―。

厚生労働省は10月29日に通知「検査料の点数の取扱いについて」を発出し、こうした点を明らかにしました。11月1日から適用されています(厚労省のサイトはこちら)。

急性リンパ性白血病の診断補助・治療効果測定を行う新検査を保険適用

10月13日に開催された中央社会保険医療協議会・総会において、(1)白血病(2)前立腺がん―の診断を補助する2つの新たな検査手法を保険適用することが了承されました(中医協資料はこちら(厚労省のサイト))。

(1)は「minor BCR-ABLを有するフィラデルフィア染色体(Ph)陽性の急性リンパ性白血病(ALL)」について診断の補助、治療効果のモニタリングを行う検査です。

急性リンパ球性白血病(ALL)の予後不良因子として「フィラデルフィア染色体(Ph)」の存在が知られています。Ph陽性の急性期リンパ球性白血病患者では、▼minor BCR-ABL▼Major BCR-ABL―という2つの型の融合遺伝子がある(両者を合わせて「BCR-ABL1融合遺伝子」と呼び、前者が70%、後者が30%を占める)ことが知られており、この融合遺伝子の型を探索することが治療法選択などに有用です。

またminor BCR-ABLのある急性リンパ球性白血病の治療では「BCR-ABL1 融合遺伝子の測定」が治療効果を測定するために必要とされています(Ph陽性の急性リンパ球性白血病の治療奏功の指標として「BCR-ABLが検出不能になる」ことが求められている)。

こうした状況を踏まえて、中医協では「minor BCR-ABLを有するフィラデルフィア染色体(Ph)陽性の急性リンパ性白血病(ALL)」の診断補助、治療効果モニタリングを行う新検査方法の保険適用を了承。厚労省が本検査を保険診療の中で行う場合の留意事項を明示したものです。

具体的には、診断補助またはモニタリングを目的としてリアルタイムRT-PCR法によって「minor BCR-ABL mRNA」を測定した場合に、D006-3【Major BCR-ABL1】(mRNA定量(国際標準値))の「1 診断の補助に用いるもの」(2520点)を算定できることが明示されました。

前立腺がんの診断を補助する新検査法を保険適用、不要な針生検の削減に期待

また(2)は前立腺がんの診断を補助する検査です。前立腺がんは、▼スクリーニング1次・2次検査 → ▼確定診断 → ▼病気診断―の3段階で診断が行われます。このうちスクリーニング検査は「1次検査でPSA(前立腺特異抗原)を測定し、基準値以上であれば、2次検査として直腸診・経直腸的超音波・MRIなどの検査を行う」ことになります。

ところでPSAがグレーゾーンの患者(▼50歳以上かつ血清PSAが4.0-10ng/mL▼PSA基準値が50-64歳では3.0ng/mL、65-69歳では3.5ng/mL、70歳以上では4.0ng/mLの基準値上限かつ10ng/mL以下―のいずれか)では、針生検による陽性率が30-40%となり、逆に言えば60―70%では、結果論ながら「生検が不要であった」と考えることもできます。

こうした状況を受けて今般、PSAグレーゾーンの患者について前立腺がんの診断を補助する検査法が開発され、その有用性(高い確率で前立腺がんを検出でき、不要な針生検を削減できる)を中医協で確認。保険適用が認められることになりました。

厚労省では、新検査項目として「プロステートヘルスインデックス(phi)」をD009【腫瘍マーカー】に位置づけ、保険診療の中で本検査を実施する場合の留意事項を整理しています。

まず本検査の対象となる患者は、診療・他の検査(前立腺特異抗原(PSA)など)の結果から前立腺がんであることが強く疑われ、以下のいずれかに該当する患者に限られます。
▽前立腺特異抗原(PSA)値が 4.0ng/mL以上かつ10.0ng/mL以下
▽50歳以上65歳未満で、PSA値が3.0ng/mL以上かつ10.0ng/mL以下
▽65歳以上70歳未満で、PSA値が3.5ng/mL以上かつ10.0ng/mL以下

これらの基準を満たすグレーゾーン患者に対して、CLEIA法によって▼前立腺特異抗原(PSA)▼遊離型PSA▼[-2]proPSA―を測定し、プロステートヘルスインデックス (phi)を算出した場合、「281点」(D009【腫瘍マーカー】の「8 立腺特異抗原(PSA)」(127点)+「15 遊離型PSA比(PSA/T比)」(154点))の算定が、前立腺がんの診断確定または転帰決定までの間に、原則として1回認められます。ただし、前立腺針生検法などで前立腺がんの確定診断がつかない場合には、3か月に1回に限り、3回を限度に本点数の算定が可能です。

また、本検査とD009【腫瘍マーカー】の「8 立腺特異抗原(PSA)」(127点)とをあわせて実施した場合、本検査とD009【腫瘍マーカー】の「15 遊離型PSA比(PSA/T比)」(154点)とをあわせて実施した場合には、「主たるもの」のみの算定が認められる点に留意が必要です。

本検査を算定する場合にはレセプトの摘要欄にPSA測定年月日・測定結果を記載することが、また本検査を2回以上算定する場合にはレセプトの摘要欄にその必要性を記載することが求められます。





なお、鼻咽頭拭い液を検体として、マイクロアレイ法によって▼新型コロナウイルス▼季節性インフルエンザウイルス▼コロナウイルス▼パラインフルエンザウイルス▼ヒトメタニューモウイルス▼アデノウイルス▼RSウイルス▼ヒトライノウイルス/エンテロウイルス▼細菌(マイコプラズマ・ニューモニエ、クラミジア・ニューモニエ、百日咳菌)―を同時に検出できる画期的な検査法が昨年(2020年)7月に保険適用されていますが、この同時検出可能な病原体の中に「パラ百日咳菌」が新たに加わりました。新型コロナウイルス感染症と他の疾患との鑑別を行うために本検査を実施した場合には、▼1800点(検査を他施設に委託する場合)▼1350点(自施設で検査する場合)―を算定可能です。



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