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「2-9月の介護職員処遇改善」補助金の詳細を明示、3月からの賃金改善などでは要件を満たさず―厚労省

2022.2.7.(月)

2-9月を対象とする新たな「介護職員の処遇改善」に向けた補助金について、例えば「2月から賃金改善を行い、2月から介護職員処遇改善加算を算定すること」などが要件となっており、「3月から賃金改善を行う」「3月から加算を算定する」などでは補助金を受けることはできない―。

また、補助金計算のベースには、現行の介護職員処遇改善加算や特定処遇改善を含めた「総報酬」を用いる―。

厚生労働省は1月31日に事務連絡「『介護職員処遇改善支援補助金に関するQ&A(令和4年1月31日)』の送付について」を示し、こうした点に留意するよう介護サービス事業所・施設や自治体に呼びかけました(厚労省のサイトはこちら)。

3月からの賃金引き上げ・処遇改善加算算定では、補助金対象とならない

昨年(2021年)11月19日に閣議決定された新たな「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」、12月20日に成立した2021年度補正予算において、「介護職員について、賃上げ効果が継続される取り組みを行うことを前提として、収入を3%程度(月額9000円)引き上げるための措置(補助金交付)を来年2月(2022年2月)から9月まで実施する」ことが決まりました。厚生労働省は、社会保障審議会・介護給付費分科会委員の意見も踏まえて制度設計を進めています(関連記事はこちら)。

来年(2022年)2-9月における補助金の概要(介護給付費分科会1 211224)



あわせて12月22日の後藤茂之厚生労働大臣・鈴木俊一財務大臣合意で「10月以降は介護報酬で同様の処遇改善(介護職員の収入を3%程度改善できる処遇改善)を行う」方針も決定。介護給付費分科会で「2-9月の補助金を引き継ぐ形で、新たな処遇改善加算を創設する」方向で議論が進められています(関連記事はこちら)。

新たな処遇改善加算の概要(介護給付費分科会1 220112)



今般の事務連絡では前者の「2―9月の補助金」について、詳細を明らかにしています。補助金の概要を確認しながら、事務連絡の内容を見ていきましょう。

まず補助金の交付が行われるのは、(1)今年(2022年)2月サービス提供分以降に介護職員処遇改善加算(I)(II)(III)のいずれかを取得している(2)今年(2022年)2・3月(つまり2021年度中)から実際に賃上げを行っている(3月中(つまり2021年度中)に2月分も含めて賃上げを行っていればよい)―のいずれも満たす事業所です。

補助対象となるか否かについて、次のような考え方が示されています。

▽本年(2022年)4月以降に新規開設する事業所も、他要件を満たせば補助対象となる

▽2月分の賃金改善を実施したが、同年3月に事業所を休廃止した場合は対象とならない

▽2-4月分まで賃金改善を実施し、4月に処遇改善計画書を提出したが、同月(2022年4月)末に事業所を休廃止した場合には、要件を満たしていれば補助対象となる

▽2-5月分まで賃金改善を実施し、4月に処遇改善計画書を提出し、5月交付決定を受けたば、同月(2022年5月)末に事業所を休廃止した場合には、要件を満たしていれば補助対象となる

▽2月からの処遇改善実施や、2月からの処遇改善加算算定等の要件を満たさず、「3月分から賃金改善等を行う、処遇改善加算を算定する」事業所は補助金の対象とならない

就業規則改正等が遅れ、4月以降の賃金改善できない場合には補助対象とならなくなる

また、処遇改善については「ベースアップや、決まって毎月支払われる手当」などで対応する必要があります。ただし、2月・3月については「一時金による対応でもよい」とされています。就業規則や賃金テーブルの見直しには一定の時間がかかることを考慮したものです。

この点、事務連絡では「2月分・3月分の賃金改善は一時金で対応した場合であっても、4月分以降はベースアップ(時給・日給の引き上げでも可)等による毎月の賃金改善を行うことが必要となる」ことを確認しています。なお、「2月分・3月分として見込まれる補助金額のすべてを、2月分・3月分の賃金改善に充てる必要はない」(毎月ごとに賃金改善額が補助額を上回ることを求めるものではない)点にも留意が必要です(2―9月の期間全体で「補助金合計額<賃金改善額」となっていればよい)。

ほか、▼2月分・3月分で一時金対応をしたとしても、2―9月の8か月間の賃金改善額の3分の2は「ベースアップ等に充てる」ことが必要▼ベースアップ等の要件は「介護職員」「その他職員」のグループごとに満たすことが必要▼法定福利費等の事業主負担の増加分については、ベースアップ等による賃金改善には当たらないが、ベースアップ等に充てた 額以外の分として賃金改善に含めることは可能▼就業規則等の改正が間に合わず、4月以降にベースアップ等による賃金改善が実施できない場合は本補助金の対象外となる―ことを明らかにしています。

また、ベースアップ等による賃金改善の後に「利用者増などによって補助金の受給額が計画書作成時の見込額を上回り、ベースアップ等に充てるべき額が増加した」場合には、必要に応じて都度、就業規則等を改正し「基本給」または「決まって毎月支払われる手当」を更に引き上げることが必要となります。

なお、「●月分の賃金改善」については、▼「●月の労働に対する賃金を引き上げる」または「●月に支払われる賃金を引き上げる」のいずれでも良い▼ただし、現行の処遇改善加算等と異なる取り扱いとなってはいけない―旨が示されました。この2点を踏まえて、各事業所・施設で判断することになります。

ベースアップ等の要件は「期間全体」で満たせばよい

上記の賃上げなどについては、都道府県に「計画書」(処遇改善計画書)を提出し、さらに実績の報告を行うことが必要です。貴重な税金を財源にしていることから「補助金が確実に介護職員等の賃金引き上げに充てられている」ことを確認する必要があるためです。

厚労省は、次のような点を事務連絡で明確にしています。

▽ベースアップ等に係る要件は「賃金改善実施期間全体で満た」せばよく、2月・3月に限った記載は求めない

▽処遇改善計画書の「介護職員等の賃金の総額」には、介護職員処遇改善加算・特定処遇改善加算を取得し実施される賃金改善額、ならびに各介護サービス事業所等の独自の賃金改善額を含む額を記載する

補助金計算のベースには介護職員処遇改善加算・特定処遇改善加算を含める

事業所・施設に交付される補助金は「事業所・施設の介護職員(常勤換算)について、1人当たり月額平均9000円の賃金引き上げを行える金額」とされ、具体的には次のように計算します。

▼各事業所の総報酬(毎月、請求する介護報酬の総単位数、既存の処遇改善加算なども含む)
×
▼サービス種類ごとの交付率(下表)

補助金は、各事業所・施設における「毎月の総介護報酬」に交付率(サービス種類ごと)を乗じて計算する(介護給付費分科会2 211224)



この点、次のような事項が明確にされました。

▽補助額の算出に用いる総報酬には、【介護職員処遇改善加算】【特定処遇改善加算】分を含める

補助金の債権譲渡は「不適当」である

このほか、補助金について次のような点も明らかにされました。

▽補助金を債権譲渡することは適当でない(補助金請求権が譲渡され、国保連に登録されている事業所の口座に補助金を振り込むことが適当でないと考えられる場合には、支払方法を都道府県で検討してほしい。事業所に補助金が交付されなければ処遇改善ができない)

▽月遅れ請求等により「事後的に報酬が増額した場合」「事後的に報酬が減額したが、当月の総報酬がプラスである場合」には、補助金額の調整を国保連で行う

▽月遅れ請求等により「事後的に総報酬が減額し、当月の総報酬がマイナスとなった場合」には、「交付対象期間全体でみたときに補助金額が適正なものとなる」よう都道府県で個別対応を行う



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