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診療報酬改定セミナー2024 看護モニタリング

【2024年度介護報酬改定8】介護保険制度の安定性確保のため、「同一建物居住者へのサービス」が著しく多い訪問介護で基本報酬減算を強化

2024.1.25.(木)

Gem Medで報じているとおり、1月22日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会で、2024年度介護報酬改定内容が了承されました。パブリックコメントを募集し(1か月程度)、その結果も踏まえて3月中旬に告示公布・関連通知等発出がなされます。

●新単位数表などはこちら
●改定内容の全体像はこちら
●改定内容の概要はこちら



改定内容は膨大なため、何回かに分けて見ていきます。本稿では「制度の安定性・持続性確保」に焦点を合わせます。

▽訪問看護に関する記事はこちら
▽居宅介護支援(ケアマネジメント)に関する記事はこちら
▽答申に向けた介護給付費分科会論議に関する記事はこちら
▽介護従事者の処遇改善に関する記事はこちら
▽認知症対策に関する記事はこちら
▽医療介護連携に関する記事はこちら
▽リハビリ・口腔管理・栄養管理の一体提供に関する記事はこちら

少子高齢化が進む中で介護保険制度の持続可能性確保が最重要ポイントの1つに

昨年度(2022年度)からいわゆる団塊世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、2025年度には全員が後期高齢者となります。高齢者の増加は「要介護・要支援高齢者の増加」を意味し、結果「介護費の増加」を招きます。

その一方で、支え手となる現役世代人口は2025年度から2040年度にかけて急速に減少していきます。

「減少する一方の支え手」で「増加する一方の高齢者・介護費」を支えなければならないために介護保険制度の制度基盤が極めて脆弱になり、今後も厳しさを増してきます(医療保険制度でも同様の構造にある)。

このため「介護費の伸びを我々国民が負担できる範囲に抑える」方策(適正化)が強く求められており、2024年度の介護報酬改定では、次のような手当を行うことになりました。

●評価の適正化・重点化
▽訪問介護訪問介護において、同一建物等居住者へのサービス提供割合が多くなるにつれて訪問件数は増加し(収益を確保しやすい)、移動時間や移動距離は短く(コストを抑えやすい)実態を踏まえ、【同一建物減算】について「正当な理由なく、事業所において前6か月間に提供した訪問介護サービス提供総数のうち、事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物に居住する者に提供されたものの占める割合が100分の90以上である場合に報酬を25%減算する」新たな区分を設ける(関連記事はこちら

訪問介護における「同一建物減算」の強化1(社保審・介護給付費分科会(8)1 240122)

訪問介護における「同一建物減算」の強化2(社保審・介護給付費分科会(8)1 240122)



▽訪問看護について、「前年度の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士による訪問回数>看護職員による訪問回数」の場合、あるいは「緊急時訪問看護加算、特別管理加算、看護体制強化加算のいずれも算定していない」場合には、「理学療法士等による訪問」の基本報酬を8単位減算する(関連記事はこちら

理学療法士等による訪問看護の適正化をさらに進める1(社保審・介護給付費分科会(8)3 240122)

理学療法士等による訪問看護の適正化をさらに進める2(社保審・介護給付費分科会(8)4 240122)



▽短期入所生活介護について、▼連続する61日以上の長期利用における基本報酬の引き下げ▼連続して30日を超えて同一の介護予防短期入所利用における基本報酬の減算—を行う(関連記事はこちら

ショートステイの長期利用の評価を適正化1(社保審・介護給付費分科会(8)5 240122)



▽居宅介護支援(ケアマネジメント)について、介護報酬が業務に要する手間・コストを評価するものであることを踏まえ、▼ケアマネ事業所の所在する建物と同一の敷地内、隣接する敷地内の建物、またはケアマネ事業所と同一の建物に居住する利用者▼ケアマネ事業所における1か月当たりの利用者が同一の建物に20人以上居住する建物(前記を除く)に居住する利用者—について、基本報酬の5%減算を行う(関連記事こちら

ケアマネジメントにも「同一建物減算」を導入(社保審・介護給付費分科会(8)6 240122)



▽II型の介護医療院、その他型・療養型の老健施設について、多床室入所者に月額8000円程度の室料負担をお願いする(2025年8月1日から、低所得者には補足給付あり)(関連記事はこちらこちら

介護医療院等の一部に多床室の室料負担を導入(社保審・介護給付費分科会(8)7 240122)



●報酬の整理・簡素化
▽介護予防通所リハビリについて、▼【運動器機能向上加算】を廃止し基本報酬への包括化する▼「栄養改善サービス・口腔機能向上サービスを実施」「利用者に栄養改善サービス・口腔機能向上サービスのいずれかを行う日を1か月につき2回以上設置」「栄養改善加算、口腔機能向上加算を算定していない」場合に算定可能な【一体的サービス提供加算】(1か月あたり480単位)を新設する—(関連記事はこちら)。

介護予防通所リハの加算を整理(社保審・介護給付費分科会(8)8 240122)



▽定期巡回・随時対応型訪問介護看護と夜間対応型訪問介護の機能・役割や利用状況等を踏まえ、将来的な一体的実施を図る観点から、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の基本報酬に「夜間対応型訪問介護の利用者負担に配慮した新たな区分」を設ける(関連記事はこちら

定期巡回・随時対応型訪問介護看護に「夜間のみ利用」区分を設ける(社保審・介護給付費分科会(8)9 240122)



▽介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護について、離島・過疎地域「以外」に所在する経過的小規模介護老人福祉施設で他の特養と一体的に運営されている場合は特養の基本報酬に統合する。経過的地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護について、離島・過疎地域に所在する場合を除き、地域密着型特養の基本報酬に統合する(1年間の経過措置)(関連記事はこちら)期間を設けることとする。



▽介護老人保健施設の【地域連携診療計画情報提供加算】と【認知症情報提供加算】を、算定実績が極めて低調な点を踏まえて廃止する(関連記事はこちらこちら



▽介護医療院の【長期療養生活移行加算】について、介護療養型医療施設が本年度(2023年度)末に廃止されることを踏まえて廃止する(関連記事はこちら



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