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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

医師から診療放射線技師や臨床検査技師などの医療関係者職への「タスク・シフト」について現場の疑問に回答—厚労省

2024.6.17.(月)

「カテーテルやガイドワイヤー等を使用できる状態に準備する行為や医師に手渡しする行為」などは、診療放射線技師に限らず、「臨床検査技師、臨床工学技士を含む他の医療関係職種」について、清潔区域への立ち入り方法等について医師・看護師の十分な指導を受けたうえで行うことが可能である—。

診療放射線技師は、▼下部消化管検査のための肛門へのカテーテルの挿入→▼当該カテーテルからの造影剤および空気の注入、撮像▼当該カテーテルからの造影剤及び空気の吸引→▼肛門からの当該カテーテルの抜去—までを一連の行為として行うことができる—。

厚生労働省が6月14日に事務連絡「『現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について』等に関するQ&Aについて」を示し、こうした点を明らかにしました。

医師働き方改革実現のためには、医師から多職種へのタスク・シフトが重要

ついに、この4月(2024年4月)から、【医師の働き方改革】がスタートしました。

すべての勤務医に対して新たな時間外労働の上限規制(原則:年間960時間以下(A水準)、救急医療など地域医療に欠かせない医療機関(B水準)や、研修医など集中的に多くの症例を経験する必要がある医師(C水準)など:年間1860時間以下)を適用するとともに、追加的健康確保措置(▼28時間までの連続勤務時間制限▼9時間以上の勤務間インターバル▼代償休息▼面接指導と必要に応じた就業上の措置(勤務停止など)―など)を講じる義務が医療機関の管理者に課されるものです。

医師働き方改革の全体像(中医協総会1 210721)



医師の働き方改革、労働時間短縮を進めるためには、「業務内容の把握・整理・見直し」「労働と研鑽との切り分け」「宿日直許可の取得」「他職種へのタスク・シフト」などが重要となります。

このうち「医師から他職種へのタスク・シフト」に関しては、▼診療放射線技師▼臨床検査技師▼臨床工学技士▼救急救命士―が実施可能な医行為の幅を広げる法令改正が行われています(厚労省サイトはこちら(2021年7月の通知「臨床検査技師等に関する法律施行令の一部を改正する政令等の公布について」、〇は法改正が行われたもの、▽は政省令改正で対応されたもの)
【診療放射線技師】
〇造影剤を使用した検査・RI検査(放射性医薬品を用いる検査)のための静脈路確保
〇RI検査医薬品を注入するための装置接続と操作
〇RI検査医薬品投与終了後の抜針・止血
▽動脈路への造影剤注入装置接続(動脈路確保のためのものを除く)と操作
▽下部消化管検査(CTコロノグラフィ検査を含む)のための注入した造影剤・空気の吸引
▽上部消化管検査のために挿入した鼻腔カテーテルからの造影剤注入、造影剤投与終了後に鼻腔カテーテル抜去
〇医師・歯科医師が診察した患者に対する、その医師等の指示に基づく、医療機関以外の場所に出張して行う超音波検査

【臨床検査技師】
〇採血に伴う静脈路確保と、電解質輸液(ヘパリン加生理食塩水を含む)への接続
▽直腸肛門機能検査(バルーンおよびトランスデューサーの挿入(バルーンへの空気注入を含む)・抜去を含む)
▽持続皮下グルコース検査(検査のための機器装着・脱着を含む)
▽運動誘発電位検査・体性感覚誘発電位検査に係る電極(針電極を含む)の装着・脱着
▽検査のための経口・経鼻・気管カニューレ内部からの喀痰吸引採取
▽消化管内視鏡検査・治療における、医師立会いの下でも、生検鉗子を用いた消化管からの組織検体採取
〇静脈路を確保し、成分採血のための装置接続と操作、終了後の抜針・止血
〇超音波検査に関連する行為としての静脈路確保、造影剤接続・注入、造影剤投与終了後の抜針・止血

【臨床工学技士】
〇手術室等で生命維持管理装置を使用して行う治療における▼静脈路確保と装置や輸液ポンプ・シリンジポンプとの接続▼輸液ポンプ・シリンジポンプを用いた薬剤(手術室等で使用する薬剤に限る)投与▼当該装置や輸液ポンプ・シリンジポンプに接続された静脈路の抜針・止血―
▽血液浄化装置の穿刺針その他の先端部の動脈表在化・静脈への接続、動脈表在化・静脈からの除去
〇心・血管カテーテル治療における生命維持管理装置を使用して行う治療に関連する業務として、身体に電気的負荷を与えるための当該負荷装置操作
〇手術室での鏡視下手術における体内に挿入されている内視鏡用ビデオカメラの保持、術野視野を確保するための内視鏡用ビデオカメラ操作

【救急救命士】
〇「医療機関に搬送されるまでの間(病院前)に重度傷病者に対して実施可能な救急救命処置」について、救急外来(救急診療を要する傷病者が来院してから入院(病棟)に移行するまで(入院しない場合は帰宅するまで)に必要な診察・検査・処置等を提供される場)での実施

医師から多職種へのタスク・シフトが可能な業務例1

医師から多職種へのタスク・シフトが可能な業務例2



今般、こうした見直しに関し、厚労省は医療現場からの疑問に次のような解釈を示しました。

▽血管造影・画像下治療における医師の補助として、▼カテーテルやガイドワイヤー等を使用できる状態に準備する行為、医師に手渡しする行為▼カテーテルおよびガイドワイヤー等を保持する行為▼医師が体内から抜去したカテーテルおよびガイドワイヤー等を清潔トレイ内に安全に格納する行為—などの医行為に該当しない補助行為は、「清潔区域への立ち入り方法等について医師・看護師の十分な指導を受けた診療放射線技師が行う」ことが可能とされた
→これらの行為については、「心臓・血管カテーテル検査、治療に従事する臨床検査技師、臨床工学技士を含む他の医療関係職種」が、同様に清潔区域への立ち入り方法等について医師・看護師の十分な指導を受けたうえで行うことが可能である

▽診療放射線技師は、「下部消化管検査のために肛門に挿入したカテーテルから注入した造影剤および空気を吸引する行為」を実施可能とされた
→「肛門から当該カテーテルを抜去する行為」も、診療放射線技師が▼下部消化管検査のための肛門へのカテーテルの挿入→▼当該カテーテルからの造影剤および空気の注入、撮像▼当該カテーテルからの造影剤及び空気の吸引→▼肛門からの当該カテーテルの抜去—までを一連の行為として行うことができる
→画像誘導放射線治療のために「肛門に挿入されたカテーテルの抜去」も、一連の行為として行うことができる



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