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看護師・准看護師・看護補助者の業務内容や指示ルートを院内業務基準等に明示せよ―日看協

2019.3.12.(火)

 日本看護協会が先ごろ、「看護チームにおける看護師・准看護師及び看護補助者の業務のあり方に関するガイドライン及び活用ガイド」を公表しました(日看協のサイトはこちら)。

 看護師においても、この4月(2019年4月より▼原則として、時間外労働の限度を1か月当たり45時間、かつ1年当たり360時間とする▼労使が合意して協定(いわゆる36協定)を結ぶ場合においても、上回ることができない時間外労働時間(特例)を年720時間(=月平均60時間)とする―などの改正労働基準法が適用されます。多忙な看護師においては、この上限をクリアするために看護補助者などへの業務移管(タスク・シフティング)を進めることが求められます。

 また何よりもチームを組んで質の高い看護・医療を提供するためには、チームの構成員それぞれが自分自身の役割を理解し、その中で最大のパフォーマンスを上げることが求められます。

 各医療現場において、今般のガイドライン・活用ガイドを参考にチームの体制を確認し、必要があれば見直すことが重要でしょう。

法令等に照らし、看護師・准看護師・看護補助者の役割や業務の範囲を整理

 まずガイドラインでは、法令等に照らし▼看護師▼准看護師▼看護補助者―それぞれの位置づけと業務の在り方を次のように整理しています。

【看護師】
▽実施可能な業務:傷病者もしくは褥婦に対する療養上の世話または診療の補助を行う(保健師助産師看護師法)

▽役割:多様な傷病者等の情報を収集し、総合的に状態的をアセスメントし、▼看護課題の優先順位の判断▼意思決定の支援▼看護計画の立案と提供▼他職種との連携・協働―を行う

▽責任:傷病者等の療養上の世話・診療の補助を実施するとともに、准看護師、看護補助者への指示等を行う

 
【准看護師】
▽実施可能な業務:医師、歯科医師または看護師の指示を受けて、傷病者もしくは褥婦に対する療養上の世話または診療の補助を行う(保健師助産師看護師法)

▽役割:看護師等の指示のもと、▼対象者の状態や変化を観察し、記録・報告する▼他職種と協調しつつ、安全に看護を提供する―

▽責任:看護師等から指示を受け、療養上の世話・診療の補助を安全に実施する責任を負う

 
【看護補助者】
▽実施可能な業務:看護師長および看護職(保健師・助産師・看護師・准看護師、以下同)の指導の下に、原則として▼療養生活上の世話(食事、清潔、排泄、入浴、移動等)▼病室内の環境整備やベッドメーキング▼病棟内における看護用品・消耗品の整理整頓▼看護職員が行う書類・伝票の整理・作成の代行▼診療録の準備―などの業務を行う(診療報酬に関する厚生労働省告示・通知)

▽役割:看護チームの一員として看護師の指示のもと、看護師長・看護職の指導のもとに「看護の専門的判断を要しない看護補助業務」を行う

▽責任:看護師の指示を受け、安全に看護補助業務を実施する責任を負う

 
 こうした整理をした上で、看護師・准看護師・看護補助者の協働について、例えば次のような考え方を示しています。

▽看護計画の立案・評価は看護師が担う

▽「療養上の世話」に関する准看護師への指示は、看護計画に基づいて看護師が行うことが望ましい

▽看護計画ない、予測されなかった変化への対応を准看護師が行う場合には、改めて看護師が適切な指示を行う(このため、患者等の状態が変化する可能性の高い医療機関等では、常時、看護師が勤務していることが求められ、そうでない医療機関や介護施設、訪問看護ステーションでも、直ちに看護師に連絡を取り、指示を受けられる体制が求められる)

▽訪問看護におけるオンコールにおいて、看護計画の変更が必要な場合には、看護師が対応する

▽新人看護師の指導、評価を行う実地指導者は看護師であることが期待される

▽「食事」「清潔」「排泄」「入浴」「移動」などの直接ケアが「療養上の世話」であるか否かの判断は看護師が行い(「療養上の世話」でないと判断された行為は看護補助者が実施可能)、看護師はその判断・指示内容に責任を負う

▽看護師・准看護師は、看護補助者に業務の適切な指導を行う

 
 なお、ガイドラインでは、こうした点について業務基準や業務マニュアルなどに明文化を行うことも求めています。ガイドラインが重視しているのは、法律上、役割や責任が明文化されていない「看護補助者」の業務等についてです。▼どういった役割を果たすのか▼業務の範囲はどこまでか(実施可能な業務はどこまでか)▼業務指示などの運用をどう考えるのか―などを、具体的に記載することが医療安全確保等のために重要であると強調しています。

 とくに、食事や清潔保持など「直接ケア」に関わる業務については、患者の状態やその場の状況に応じて、「看護補助者に任せてもよいのか」「看護師自ら行うべきか」などが異なるため、指示ルート(指示者を含めて)、指示内容などを記録することを要求。さらに、▼看護補助業務の標準化▼看護補助者への教育・研修▼就労環境の整備―なども行うよう求めています。

看護補助加算取得のためには「院内での看護補助者研修」等が必要に

 各医療機関等では、このガイドラインを踏まえて「院内の業務基準や業務マニュアル」を作成、実行していくことになりますが、「どう基準を整備すればよいのか」と悩んでしまう医療機関等もあることでしょう。

 そこで日看協では、ガイドラインを活用するための手引書(活用ガイド)を整備。そこでは、基準やマニュアルへの具体的な「記載例」などが提示されています。

例えば、「看護補助者の業務内容」を具体的に示すとともに、「看護補助者への業務指示」に関しては、「看護師が実施する」ことを明示。さらに、▼直接ケアは、対象者を指定して業務指示を行う▼指示を出した看護師・指示を受けた看護補助者は、その業務に責任を負う▼直接ケアについては、指示を出した看護師が指示内容を危篤する―などの留意点も明記するよう求めています。
看護師・准看護師・看護補助者の業務GL(日看協)1 190226
看護師・准看護師・看護補助者の業務GL(日看協)2 190226
 
 この4月1日(2019年4月1日)からは、例えば、診療報酬上の【看護補助加算】等を届け出るためには、看護補助者に▼医療制度の概要、病院の機能と組織の理解▼医療チーム・看護チームの一員としての看護補助業務の理解▼看護補助業務遂行のための基礎的な知識・技術▼日常生活にかかわる業務▼守秘義務、個人情報保護▼医療安全と感染防止対―などの基礎知識を習得できる内容を含む院内研修を年1回以上受講させることが必要となります(関連記事はこちら)。病院経営の側面からも、ガイドライン・活用ガイドは重要な内容を含んでいます。

 今般の活用ガイドでは、以下のような「看護補助者の研修プログラム」案も提示されており、各病院では、これらも参考に研修内容を検討・策定することが重要でしょう。
看護師・准看護師・看護補助者の業務GL(日看協)3 190226
看護師・准看護師・看護補助者の業務GL(日看協)4 190226

 
 
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