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「9月」分データ、平均在院日数短縮と病床利用率向上とを両立―病院報告、2019年9月分

2019.12.27.(金)

「9月分」のデータを追いかけると、病院の一般病床では2012年以降「平均在院日数の短縮」と「病床利用率の向上」とを一定程度、両立できている―。

こうした状況が、厚生労働省が12月25日に公表した今年(2019年)9月分の病院報告から分かりました(厚労省のサイトはこちら)。

2019年9月、前月に比べて入院・外来ともに患者数はやや減少

厚労省は毎月、日本全国の病院における(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―を把握し、「病院報告」として公表しています(前月の記事はこちら)。

今年(2019年)9月の(1)「1日平均患者数」は、病院全体で▼入院:122万7174人(前月と比べて1万1167人・0.9%減)▼外来:129万6867人(同1万68人・0.8%減)―となりました。

医療法上の病床種別に入院患者数を見てみると、▼一般病床:67万3901人(前月比9163人・1.3%減)▼療養病床:26万9276人(同9163人・0.4%減)▼精神病床:28万2434人(同779人・0.3%減)▼結核病床:1491人(同28人・1.8%減)―などという状況です。

2019年9月、入院・外来ともに、前月から患者数は若干減少した(病院報告(2019年9月)1 191225)



また(2)「平均在院日数」は、病院全体では27.7日で、前月から1.0日延伸してしまいました。病床種別に見ると、▼一般病床:16.1日(前月から0.5日延伸)▼療養病床:139.2日(同0.7日延伸)▼介護療養病床:298.2日(同32.1日短縮)▼精神病床:267.9日(同0.2日短縮)▼結核病床:70.3日(同3.5日延伸)―となりました。病床の種類によって、前月からの動きが異なります。

2019年9月、一般病床の平均在院日数は、前月から延伸してしまった(病院報告(2019年9月)3 191225)



さらに(3)「月末病床利用率」を見ると、病院全体では78.9%で、前月から0.9ポイント向上しました。病床種別に見ると、▼一般病床:74.2%(前月比1.9ポイント向上)▼療養病床:86.3%(同0.7ポイント低下)▼介護療養病床:89.7%(同0.5ポイント低下)▼精神病床:85.7%(同0.3ポイント低下)▼結核病床:34.2%(同0.6ポイント低下)―という状況です。一般病床のみ「向上」しています。

2019年9月、一般病床の利用率は前月から向上した(病院報告(2019年9月)2 191225)

一般病床の9月分データ、平均在院日数短縮と病床利用率向上を一定低程度、両立

ここで「暦月の変動」を除外するために、一般病床における「9月分」の平均在院日数の動向を見てみましょう。2012年から16年にかけて「概ね短縮」傾向にあり、その後、若干の増減がありますが、「横這い」と言えるでしょう。

▼2012年:17.8日(厚労省のサイトはこちら

(0.3日短縮)

▼2013年:17.5日(厚労省のサイトはこちら

(1.0日短縮)

▼2014年:16.5日(厚労省のサイトはこちら

(増減なし)

▼2015年:16.5日(厚労省のサイトはこちら

(0.3日短縮)

▼2016年:16.2日(厚労省のサイトはこちら

(0.2日短縮)

▼2017年:16.0日(厚労省のサイトはこちら

(0.5日延伸)

▼2018年:16.5日(厚労省のサイトはこちら

(0.4日短縮)

▼2019年:16.1日(厚労省のサイトはこちら



一方、月末病床利用率は、次のような状況です。増減を繰り返しながら、徐々に向上していると見ることもできそうです(もちろん2020年9月の数字次第で「単なる増減の繰り返し」と判断されることも十分にありうる)。

▼2012年:70.9%(厚労省のサイトはこちら

(2.1ポイント向上)

▼2013年:73.0%(厚労省のサイトはこちら

(0.1ポイント向上)

▼2014年:73.1%(厚労省のサイトはこちら

(0.9ポイント向上)

▼2015年:74.0%(厚労省のサイトはこちら

(1.1ポイント低下)

▼2016年:72.9%(厚労省のサイトはこちら

(2.4ポイント低下)

▼2017年:70.5%(厚労省のサイトはこちら

(0.1ポイント向上)

▼2018年:70.6%(厚労省のサイトはこちら

(3.6ポイント低下)

▼2019年:74.2%(厚労省のサイトはこちら



このように「9月分」データを見ると、2012年以降、大きく見れば「平均在院日数の短縮」と「病床利用率の向上」を一定程度、実現できていると考えることもできそうです。

Gem Medで繰り返しお伝えしていますが、平均在院日数の短縮は▼急性期一般病棟(旧7対1・10対1一般病棟)等における「重症患者割合」(重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者の割合)の向上▼DPC特定病院群(旧II群)要件の1つである「診療密度」の向上▼「院内感染」や「ADL低下」などのリスク低減▼患者のQOL向上(例えば職場への早期復帰を果たし、生活の安定を取り戻す)—といった経営の質・診療の質の向上に直結する要素です。

ただし、「在院日数の短縮」は▼空床の発生・増加 → ▼病床利用率の低下 → ▼病院経営の悪化―にも繋がる、両刃の剣です(出来高・DPCのいずれにおいても入院料が「1日当たり」で設定されているため)。

このため、「在院日数の短縮」によって医療の質向上を図ると同時に「病床利用率を向上」させ、病院経営を安定させなければなりません。具体的には、▼かかりつけ医等と密接に連携して紹介患者を確保する▼救急搬送患者を積極的に受け入れる―などし、「重症の新規入院患者」獲得に力を入れることが必要不可欠です。この点、「9月分」の状況を見れば両者を一定程度、実現でき「理想」的な状況にあることが分かります。

ただし、地域によっては人口減少モードに入っており(日本全国では人口減少が進んでいるが、大都市では増加しているところもある)、多くの地域で「患者数そのものの減少」が進んでいます。近い将来、大都市部でも多くで人口減少(=患者数減少)が始まります。そうした中では、「減少する患者を、多くの病院で奪い合う」状況が生じ、個別病院の「集患努力」が結実しないケースが多くなってきます。

客観的に▼地域の医療ニーズ▼競合病院の状況▼自院の機能やリソース―を分析し、病床の機能転換(急性期から回復期・慢性期)や、「ダウンサイジング」(病床の削減)、さらに共倒れを防ぐための「近隣病院との再編・統合」なども検討していく必要があります。厚労省は、公立病院・公的病院等の一部(424病院)について「再編統合の再検証が特に強く要請される」との考えを示しており、また2020年度予算では「医療法上の病床を稼働病床数の1割以上削減する」病院について、病床削減割合に応じた補助金(84億円)が創設されます。こうした状況を踏まえ、一度「自院の状況・地域の状況」を再確認してみることが重要です。

2020年度厚生労働省予算で病床ダウンサイジングを支援する補助金が創設された(2020年度厚労省予算案 191220)

 

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