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「12月」分データを追いかけると、2012年以降、在院日数短縮と新規患者獲得を一定程度両立―病院報告、2018年12月分

2019.4.4.(木)

 「12月分」のデータを追いかけると、病院の一般病床では2012年以降、「平均在院日数の短縮」と「病床利用率の向上」とを一定程度両立できているのではないか―。

 こうした状況が、厚生労働省が4月3日に公表した昨年(2018年)12月分の病院報告から分かりました(厚労省のサイトはこちら)。

2018年11月から12月にかけて、入院患者は減少、外来患者は大幅減

 厚労省は、全国の病院における(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―を「病院報告」として、毎月、公表しています(2018年11月末の状況はこちら、2018年10月末の状況はこちら、2018年9月末の状況はこちら)。

 昨年(2018年)12月における(1)「1日平均患者数」は、病院全体で▼入院:122万6039人で前月比1万2551人・1.0%減▼外来:130万7197人で同じく8万6099人・6.2%減―となりました。

 医療法上の病床種別に入院患者数を見てみると、▼一般病床:66万6511人(前月比1万1365人・1.7%減)▼療養病床:27万5923人(同86人・0.0%減)▼精神病床:28万1967人(同1093人・0.0%減)▼結核病床:1570人(同7人・0.4%減)―などとなっています。
病院報告(2018年12月)1 190403
  
 次に(2)「平均在院日数」を見てみると、病院全体では27.4日で、前月から0.3日延伸してしまっています。病床種別に見ると、▼一般病床:15.9日(前月から0.1日延伸)▼療養病床:138.0日(同1.3日延伸)▼介護療養病床:318.9日(同15.6日延伸)▼精神病床:272.1日(同7.8日延伸)▼結核病床:62.2日(同0.6日短縮)―となり、結核病床を除き延伸してしまっています。
病院報告(2018年12月)3 190403

  
 さらに(3)「月末病床利用率」に目を移すと、病院全体では71.9%で、前月から7.7ポイントも低下しました。病床種別に見ると、▼一般病床:62.0%(前月比13.2ポイント低下)▼療養病床:86.7%(同0.2ポイント低下)▼介護療養病床:90.5%(同0.1ポイント低下)▼精神病床:85.4%(同0.2ポイント低下)▼結核病床32.6%(同0.9ポイント向上)―という状況です。一般病床で著しい低下が目立ちますが、「年末年始はなんとか自宅に戻りたい」という患者の要請に応えているという背景もあり、例年も同様の傾向にあることからさほど驚く必要はありません。
病院報告(2018年12月)2 190403

 

12月分のデータ、2012年以降、大きく見れば理想的な動き

 このような暦月の変動を除外するために、一般病床における「12月分」の平均在院日数の動向を見てみると、2012年から15年にかけて減少が続きましたが、その後、横ばい状態となっています。

▼2012年:17.2日(厚労省のサイトはこちら

(0.3日短縮)

▼2013年:16.9日(厚労省のサイトはこちら

(0.7日短縮)

▼2014年:16.2日(厚労省のサイトはこちら

(0.3日短縮)

▼2015年:15.9日(厚労省のサイトはこちら

(0.1日延伸)

▼2016年:16.0日(厚労省のサイトはこちら

(0.2日短縮)

▼2017年:15.8日(厚労省のサイトはこちら

(0.1日延伸)

▼2018年:15.9日(厚労省のサイトはこちら

  
 一方、月末病床利用率は、次のように低下と上昇を繰り返しながら、緩やかに上昇しているように見えます。

▼2012年:61.4%(厚労省のサイトはこちら

(1.1ポイント低下)

▼2013年:60.3%(厚労省のサイトはこちら

(0.6ポイント上昇)

▼2014:60.9%(厚労省のサイトはこちら

(1.4ポイント低下)

▼2015年:59.5%(厚労省のサイトはこちら

(1.3ポイント上昇)

▼2016年:60.8%(厚労省のサイトはこちら

(1.9ポイント上昇)

▼2017年:62.7%(厚労省のサイトはこちら

(0.7ポイント低下)

▼2018年:62.0%(厚労省のサイトはこちら

 
 大きくみると、「平均在院日数の短縮」と「病床利用率の上昇」とを一定程度実現できているように思われます。

 
 メディ・ウォッチで繰り返しお伝えしているとおり、平均在院日数の短縮は、▼急性期病院においては「重症患者割合」(重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者の割合)の向上▼DPC特定病院群(旧II群)要件の1つである「診療密度」の向上▼「院内感染」や「ADL低下」などのリスク軽減▼患者のQOL向上(例えば職場への早期復帰を果たし、生活の安定を取り戻す)—といった経営の質・診療の質の向上に直結します。

 もっとも、「在院日数の短縮」は「空床」発生・増加にもつながり、出来高・DPCのいずれにおいても入院料が「1日当たり」で設定されているため経営悪化につながりかねません。そこで、▼かかりつけ医等と連携した重症な紹介患者の確保▼救急搬送患者の積極的な受け入れ―といった新規入院患者の獲得策を同時に採る必要があります。

 「12月分」の状況をみると、2012年以降、この難しい両立を一定程度実現できていると考えることができます。

 もっとも、地方によってはすでに人口減少によって「患者数そのもの」が減少し始め、また都市部でも人口減少(=患者数減少)が始まることから、新規患者の獲得が難しく(病院間で患者の奪い合いが激化する)なってきます。各病院におかれては、やはり「ダウンサイジング」(病床の削減)や共倒れを防ぐための「近隣病院との再編・統合」なども視野に入れた検討を早急に進める必要があります(関連記事はこちら)。

 
 
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