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「3月」分データ、平均在院日数の短縮は停滞、新規患者獲得も進まず―病院報告、2019年3月分

2019.7.2.(火)

 「3月分」のデータを追いかけると、病院の一般病床では2012年から15年にかけて「平均在院日数の短縮」が急速に進んだが、その後、横ばいとなっている。一方、病床利用率の向上が見られず、新規患者獲得が追い付いていない―。

 こうした状況が、厚生労働省が7月1日に公表した今年(2019年)3月分の病院報告から確認できます(厚労省のサイトはこちら)。

2019年2月から3月にかけて、入院・外来ともの病院の患者は減少

 厚労省は毎月、日本全国の病院における(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―を把握し、「病院報告」として公表しています(前月末の状況はこちら、前々月末の状況はこちら、さらにその前月末の状況はこちら)。

 今年(2019年)3月における(1)「1日平均患者数」は、病院全体で▼入院:124万8746人(前月と比べて2万379人・1.6%減)▼外来:131万4613人(同3万4799人・2.6%減)―となりました。

 医療法上の病床種別に入院患者数を見てみると、▼一般病床:68万9358人(前月比1万8641人・2.6%減)▼療養病床:27万6169人(同1032人・0.4%減)▼精神病床:28万1647人(同709人・0.3%減)▼結核病床:1503人(同13人・0.9%増)―などという状況です。
病院報告(2019年3月)1 190701
 
 次に(2)「平均在院日数」を見てみると、病院全体では27.9日で、前月から0.3日延伸してしまっています。病床種別に見ると、▼一般病床:16.4日(前月から変化なし)▼療養病床:137.3日(同5.8日延伸)▼介護療養病床:271.4日(同11.9日短縮)▼精神病床:263.5日(同2.5短縮)▼結核病床:64.7日(同0.9日延伸)―となりました。病床種別によって、動きに差があります。
病院報告(2019年3月)3 190701
 
 さらに(3)「月末病床利用率」に目を移すと、病院全体では77.4%で、前月から4.3ポイントも低下してしまっています。病床種別に見ると、▼一般病床:71.7%(前月比6.8ポイント低下)▼療養病床:86.9%(同0.9ポイント低下)▼介護療養病床:89.5%(同0.9ポイント低下)▼精神病床:85.1%(同0.4ポイント低下)▼結核病床:31.1%(同1.0ポイント低下)―という状況です。すべての病床種別で低下してしまっています。
病院報告(2019年3月)2 190701
 

3月分のデータ、平均在院日数の短縮は2015年でストップ、新規患者獲得も進まず

 また「暦月の変動」を除外するために、一般病床における「3月分」の平均在院日数の動向を見てみましょう。2012年から15年にかけて大きく短縮し、その後、概ね「横ばい」という状況です。

▼2012年:17.9日(厚労省のサイトはこちら

(0.2日短縮)

▼2013年:17.7日(厚労省のサイトはこちら

(0.3日短縮)

▼2014年:17.4日(厚労省のサイトはこちら

(0.8日短縮)

▼2015年:16.6日(厚労省のサイトはこちら

(0.5日短縮)

▼2016年:16.1日(厚労省のサイトはこちら

(0.2日延伸)

▼2017年:16.3日(厚労省のサイトはこちら

(0.1日延伸)

▼2018年:16.4日(厚労省のサイトはこちら

(増減なし)

▼2019年:16.4日(厚労省のサイトはこちら

 
 
 一方、月末病床利用率は、次のように低下と上昇を繰り返しており、「上昇傾向にある」とは言い難い状況です。

▼2012年:72.4%(厚労省のサイトはこちら

(1.2ポイント低下)

▼2013年:71.0%(厚労省のサイトはこちら

(1.8ポイント上昇)

▼2014年:72.8%(厚労省のサイトはこちら

(0.7ポイント上昇)

▼2015年:73.5%(厚労省のサイトはこちら

(0.9ポイント上昇)

▼2016年:74.4%(厚労省のサイトはこちら

(0.4ポイント低下)

▼2017年:74.0%(厚労省のサイトはこちら

(2.6ポイント低下)

▼2018年:71.4%(厚労省のサイトはこちら

(0.3ポイント上昇)

▼2019年:71.7%(厚労省のサイトはこちら

 
 このように「3月分」データからも、「平均在院日数の短縮は実現できているが、病床利用率の上昇は実現できていない」と言わざるを得ません。

 
 繰り返しお伝えしていますが、平均在院日数の短縮は、▼急性期一般病棟(旧7対1・10対1一般病棟)等における「重症患者割合」(重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者の割合)の向上▼DPC特定病院群(旧II群)要件の1つである「診療密度」の向上▼「院内感染」や「ADL低下」などのリスク軽減▼患者のQOL向上(例えば職場への早期復帰を果たし、生活の安定を取り戻す)—といった経営の質・診療の質の向上に直結する要素です。

 ただし、単なる「在院日数の短縮」は「空床」の発生・増加(つまり病床利用率の低下)をもたらし、経営を悪化させてしまいます(出来高・DPCのいずれにおいても入院料が「1日当たり」で設定されているため)。

そこで、病床利用率を向上させるために、▼かかりつけ医等と連携した重症な紹介患者の確保▼救急搬送患者の積極的な受け入れ―といった「重症の」新規入院患者の獲得策を同時に採らなければなりません。しかし、「3月分」の状況からも、「平均在院日数の短縮に、病床利用率が追い付いていない。つまり新規患者獲得などに病院が相当苦労している」と見ることができます。
 
 地方によってはすでに人口減少によって「患者数そのもの」が減少し始め、また都市部でも人口減少(=患者数減少)が始まることから、新規患者の獲得が難しく(病院間で患者の奪い合いが激化する)なってきます。新規患者獲得の努力が実を結んでいない病院におかれては、もちろん「新規患者獲得に向けた新たな手立て」を講じることも必要ですが、客観的に▼地域の医療ニーズ▼競合病院の状況▼自院の機能やリソース―を分析し、機能転換(急性期から回復期・慢性期)や、場合によっては「ダウンサイジング」(病床の削減)、共倒れを防ぐための「近隣病院との再編・統合」なども検討に入れる必要があります(関連記事はこちらこちらこちら)。

 

 

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