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診療報酬改定セミナー2024 看護モニタリング

K604-2【植込型補助人工心臓】、心移植「不適応」の重症心不全患者に長期循環補助を行う場合にも算定可能に―厚労省

2021.5.10.(月)

K604-2【植込型補助人工心臓(非拍動流型】については、これまで「重症の心不全患者が心臓移植を受けるまでの期間」を対象に点数算定が可能であったが、新たに心移植「不適応」の重症心不全患者に対して長期循環補助を行う場合にも算定可能とする―。

また、局所陰圧閉鎖処置については、入院・入院外ともに「切開創手術部位感染のリスクを低減する目的で、特定保険医療材料の『局所陰圧閉鎖処置用材料』を使用した場合」には点数算定ができない―。

厚生労働省は4月30日に通知「『診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について』等の一部改正について」を示し、こうした点を明らかにしました。5月1日から適用されています(厚労省のサイトはこちら)。

植込型補助人工心臓、対象患者を拡大

今回の通知では、次の3本の通知が改正されており、本稿では(A)に焦点を合わせます。
(A)診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(2020年3月5日付、保医発0305第1号)
(B)特定保険医療材料の材料価格算定に関する留意事項について(2020年3月5日付、保医発0305第9号)
(C)特定保険医療材料の定義について(2020年3月5日付、保医発0305第12号)



まず、入院患者への局所陰圧閉鎖処置についてです。

入院患者に局所陰圧閉鎖処置を行った場合、「局所陰圧閉鎖処置用材料で被覆すべき創傷面の広さ」に応じて、次のようにJ003【局所陰圧閉鎖処置(入院)(1日につき)】の点数算定が可能です。

(1)100平方cm未満:1040点
(2)100平方cm以上200平方cm未満:1060点
(3)200平方cm以上:1100点

また、初回の貼付に限って、【初回加算】として(1)では1690点、(2)では2650点、(3)では3300点が上乗せされます。さらに初回の貼付において、持続洗浄を併せて実施した場合は、【持続洗浄加算】として500点がさらに上乗せされます。

この点、(A)の通知では、▼部位の数は点数に関係しないこと▼本診療報酬項目は「特定保険医療材料の『局所陰圧閉鎖処置用材料』を併せて使用した場合に限り算定できる」こと▼加算を算定するためには一定の留意点があること―などが詳しく示されています。

さらに今般、「切開創手術部位感染のリスクを低減する目的で、特定保険医療材料の『局所陰圧閉鎖処置用材料』を使用した場合には、上記にかかわらず、本診療報酬項目を算定できない」旨が明らかにされました。



次に、入院「外」患者への局所陰圧閉鎖処置についてです。

入院「外」患者に局所陰圧閉鎖処置を行った場合、「局所陰圧閉鎖処置用材料で被覆すべき創傷面の広さ」に応じて、次のようにJ003-2【局所陰圧閉鎖処置(入院外)(1日につき)】の点数算定が可能です。

(1)100平方cm未満:240点
(2)100平方cm以上200平方cm未満:270点
(3)200平方cm以上:3300点

また、初回の貼付に限って、【初回加算】として(1)では1690点、(2)では2650点、(3)では3300点が上乗せされます。

(A)の通知では、本診療報酬項目は▼入院中の患者「以外」の患者に対し「陰圧創傷治療用カートリッジ」を用いて処置を行った場合に限って算定できること▼部位の数は点数に関係しないこと▼▼本診療報酬項目は「特定保険医療材料の『局所陰圧閉鎖処置用材料』を併せて使用した場合に限り算定できる」こと―などが詳しくされています。

今般、入院と同様に「切開創手術部位感染のリスクを低減する目的で、特定保険医療材料の『局所陰圧閉鎖処置用材料』を使用した場合には、上記にかかわらず、本診療報酬項目を算定できない」旨が明らかにされています。



さらに、「植込型補助人工心臓」について、対象患者の拡大が行われています。

重度の心臓病と闘う患者について、心臓移植までの期間、「植込型補助人工心臓」を用いた管理を行う場合、期間に応じてK604-2【植込型補助人工心臓(非拍動流型)】を算定することが可能です。

(1)初日(1日につき):5万8500点
(2)2日目以降30日目まで(1日につき):5000点
(3)31日目以降90日目まで(1日につき):2780点
(4)91日目以降(1日につき):1800点

この点、(A)の通知では、対象患者が次のように拡大されたことが明らかにされました。

まず、「心臓移植適応の重症心不全患者で、薬物療法や体外式補助人工心臓等の他の補助循環法によっても継続した代償不全に陥っており、かつ、心臓移植以外には救命が困難と考えられる症例」に対して心臓移植までの循環改善を目的とした場合に、従前どおり本点数の算定が可能です。

さらに今般、「心臓移植『不』適応の重症心不全患者で、薬物療法や体外式補助人工心臓な どの補助循環法によっても継続した代償不全に陥っている症例に対して、長期循環補助を目的とした場合」にも、本点数の算定が可能となりました。重度の心不全と闘う患者にとって朗報と言えるでしょう。



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