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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

新型コロナ対策、病床確保や人工呼吸器・ECMO整備費等を支援する「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」創設―2020年度補正予算案

2020.4.10.(金)

新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、政府は4月7日に▼感染拡大防止策と医療提供体制の整備および治療薬の開発▼雇用の維持と事業の継続のための支援の更なる強化―などを柱とする緊急経済対策を閣議決定(関連記事はこちらこちら)。併せて総額16兆8057億円の2020年度補正予算案も決定しました。

このうち新型コロナウイルス感染症緊急経済対策関係経費は16兆7058億円で、▼感染拡⼤防⽌策と医療提供体制の整備および治療薬の開発:1兆8097億円▼雇⽤の維持と事業の継続:10兆6308億円▼官⺠を挙げた経済活動の回復:1兆8482億円▼強靱な経済構造の構築:9172億円▼今後への備え:1兆5000億円―という内訳です(財務省のサイトはこちらこちら(概要)こちら(フレーム))。

本稿では、厚生労働省の所管する1兆6371億円(うち労働保険特別会計9101億円)を見てみます。

重症患者に対応できる医療スタッフ、ECMO操作可能な医療スタッフ等の確保も推進

厚労省所管の新型コロナウイルス感染症対策に係る2020年度補正予算案は全体で1兆6371億円で、その内訳は次のようになりました(厚労省のサイトはこちら)。
(1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備および治療薬の開発:6695億円
(2)雇用の維持と事業の継続:9627億円
(3)強靱な経済構造の構築:54億円

このうち(1)「感染拡大防止策と医療提供体制の整備および治療薬の開発」では、まず1490億円を投じて「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」(仮称)が創設されます。

この交付金を活用して、緊急に対応が必要な「新型コロナウイルへの医療提供体制」整備が行われます。具体的には、▼入院患者を受け入れる病床の確保、消毒等の支援▼入院医療機関における人工呼吸器、体外式膜型人工肺(ECMO)、個人防護具、簡易陰圧装置、簡易病室等の設備整備▼重症患者に対応できる医師、看護師等の入院医療機関への派遣▼DMAT・DPAT等の医療チームの派遣▼医師が感染した場合の代替医師の確保▼帰国者・接触者外来等におけるHEPAフィルター付き空気清浄機、HEPAフィルター付きパーテーション、個人防護具、簡易診療室等の設備整備▼新型コロナウイルス感染症対応に伴う救急医療等地域医療体制の継続支援、休業等となった医療機関の再開等支援▼外国人が医療機関を適切に受診できる環境の整備▼軽症者の療養体制の確保、自宅療養者の情報通信によるフォローアップ▼帰国者・接触者相談センターなど都道府県等における相談窓口の設置▼患者搬送コーディネーター配置、広域患者搬送体制、ドクターヘリ等による搬送体制の整備▼都道府県における感染症対策に係る専門家の派遣体制の整備▼地方衛生研究所等におけるPCR検査機器等の整備―などの経費に充てられます。

また、重症者・重篤者の治療体制をさらに整備するために、▼人工呼吸器について、医療機器メーカー等に増産や輸入拡大を要請すると同時に、国において必要な量を確保するための費用として265億円▼重篤な患者の治療で必要となる体外式膜型人工肺(ECMO)などの医療機器使用の知識を持つ医師・看護師・臨床工学技士等の要請や確保(全国から募集し、必要とする医療機関へのマッチング、派遣を行う体制)の整備費用として4億3000万円―を計上。

さらに感染症病床を有する病院等(国立病院機構・地域医療機能推進機構)において▼簡易陰圧装置▼陰圧キャリングベッド等の設備整備を支援するために65億円を確保します。

一方、新型コロナウイルス感染症患者の入院医療費を公費で負担するために、さらに電話・情報通信機器で服薬指導等を行った患者に薬局から薬剤を配送等する費用を支援するために188億円が計上されています。感染患者が適切に医療へアクセスする機会を確保するための重要な支援となります。

また、▼感染拡大防止のための歯科医療提供体制の整備(院内感染対策に必要な歯科用吸引装置(口腔外バキューム)の設備整備支援):5000億円▼情報収集・分析体制の整備(医療機関の患者受け入れ状況、医療機器の稼働状況などを迅速に情報収集・分析):17億円―を計上したほか、感染防止に留意して感染患者・疑い患者への診療を行う医療機関について特例的な診療報酬での対応(外来では院内トリアージ実施料、入院では救急医療管理加算の算定等を認める)を行います。



このほか、▼ワクチン・治療薬の開発促進等(新ワクチン開発、既存治療薬等の効果・安全性の検討・検証、新型コロナウイルス関連の消毒・換気等環境管理研究の支援、治療薬候補の購入など):275億円▼国際連携の強化:161億円▼サージカルマスク、N95マスク、ガウン、フェイスシールド、消毒用エタノール等の買い上げと医療機関等への優先配布、使い捨てマスクの高齢者・障害者施設等への配布、布マスクの全家庭への配布など:1838億円▼高齢者・障害者施設等での感染拡大防止のための、消毒用エタノール等購入、多床室の個室化改修費用等の補助:272億円▼PCR検査等に係る地方衛生研究所における検査費、保険適用された検査の自己負担分、新型コロナウイルス感染症の発生動向調査等経費への支援:49億円▼新型コロナウイルス感染症に関する相談窓口等の設置、広報の充実:35億円▼新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から休業要請を受けた通所介護サービス等に対する、代替サービス提供や他事業所との連携に要する経費支援等:157億円―などが計上されています。

医療機関・福祉施設の資金繰り支援や医薬品安定供給の支援なども補正予算で対応

一方、(2)「雇用の維持と事業の継続」では、新型コロナウイルス感染症の影響で休業・事業縮小した医療・福祉事業者の資金繰り支援として、福祉医療機構(WAM)による無利子・無担保等の危機対応融資の拡充を行うために41億円が計上されました(関連記事はこちらこちら)。



また、(3)「強靱な経済構造の構築」に関しては、▼医薬品安定確保のための原薬等設備整備の支援:30億円▼介護支援専門員研修等オンライン化等事業(ケアマネジャー・特別養護老人ホーム等のユニットケア施設職員(ユニットリーダー、施設管理者)が在宅で研修受講できる通信教材の作成):4億6000万円▼「通いの場」(市町村の実施する介護予防等のための総合事業)の活動自粛下における介護予防のための広報・ICT化支援(居宅での健康維持情報の提供や散歩支援機能等の運動管理ツールなど):4億円―などが盛り込まれています。



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